パリ5大ジュエラー(グランサンク)の格付けと価値とは?

パリ5大ジュエラー(グランサンク)とは、フランス・パリに本拠を置く世界的に著名な高級宝飾ブランドの総称です。
本記事では、そんなグランサンクの歴史や選ばれし5ブランドの特徴を解説します。
この機会にお手持ちのジュエリーの価値を知り、新たな価値へとつなげるきっかけとなれば幸いです。
パリ5大ジュエラーとは?
「パリ5大ジュエラー」とは、フランス・パリに本店を構える世界的に有名な高級宝飾ブランドの総称です。
これらのブランドは長い歴史と伝統を持ち、芸術性と職人技を兼ね備えたジュエリーで多くの人々を魅了してきました。
特に、王族や貴族、そしてハリウッドセレブなど、名だたる著名人に愛されてきたことでも知られています。
もともとこの呼び名は「グランサンク(Les Grand Cinq)」というフランス語に由来し、パリ5大宝飾店やフランス高級宝飾店協会などとも呼ばれています。
特定のブランド名を示すというよりは、格式の高さや芸術的な価値を評価する文脈で使われてきた表現です。
グランサンク(Les Grand Cinq)の意味と起源
「グランサンク」という言葉を聞くと、どこか格式ばった響きを感じるかもしれません。
実際にこの名称が定着したのは20世紀半ば以降とされ、ジュエリー業界において一定の品質と伝統を持つブランドに対する尊称のような意味合いで使われてきた歴史があります。
語源である「Grands」は「偉大な」や「重要な」、「Cinq」は数字の「5」を指します。
パリ5大ジュエラーには、メレリオ(旧メレリオ・ディ・メレー)、ヴァンクリーフ&アーペル、ブシュロン、ショーメ、モーブッサンの5つが選ばれていますが、これらのブランドに共通する重要な要素のひとつが「ヴァンドーム広場」に本店を構えている、あるいは過去に構えていたことです。
パリ1区に位置するこの美しい八角形の広場は、かつてルイ14世が都市整備の一環として整備した由緒ある場所で、今では高級宝飾店と一流ホテルが軒を連ねるラグジュアリーの聖地とされています。
この場所に店舗を構えるということは、ただの販売拠点というだけでなく、「芸術性」「格式」「信頼性」を備えた証とも言えるでしょう。
実際に、ヴァンドーム広場の住所を冠するブランドのジュエリーには、他とは一線を画す輝きが宿っているといわれています。
パリ5大ジュエラー(グランサンク)に選ばれし5ブランド
ここからは、パリ5大ジュエラーそれぞれのブランドが持つ世界観や、代表的なジュエリーについても触れながら、その魅力に迫ってまいります。
メレリオ(Mellerio)
1613年創業という驚くべき歴史を持つメレリオ・ディ・メレルは、現存する世界最古のジュエリーメゾンとして知られています。
長きに渡り「MELLERIO dits MELLER(メレリオ・ディ・メレー)」というブランド名で親しまれていましたが、現在はメレリオ(Mellerio)に名称が変更されています。
創業地はイタリアに近いフランス・ロレーヌ地方ですが、17世紀からパリで活動しており、ルイ13世の時代にはすでに王室御用達として名を馳せていました。
宮廷文化が花開いた時代、メレリオは多くの王妃や貴族に愛され、とりわけマリー・アントワネットのお気に入りブランドだったという逸話も残っています。
そのため、ただ古いだけでなく、フランス王家と深いつながりを持つ由緒正しき存在なのです。
メレリオのジュエリーは、時代ごとに流行が変わってもなお、品格と静かな華やかさを失いません。
宝石の配置や金細工の繊細さに、古き良きヨーロッパの職人魂が宿っています。現在もパリに本店を構え、ジュエリー製作を続けており、伝統とモダンが融合したデザインで再評価されつつあります。
もしも手元に古いメレリオのジュエリーがあるなら、それは単なる装飾品ではなく、歴史的な価値を持つ文化財のような存在かもしれません。
ヴァンクリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)
1906年、宝石商の家系に生まれたアルフレッド・ヴァンクリーフと、宝石商の娘エステル・アーペルが結婚したことにより誕生したのが、ヴァンクリーフ&アーペルです。
ブランドは創業当初から、詩的でロマンティックなデザインを追求し、多くの女性たちの心をとらえてきました。
パリのヴァンドーム広場に本店を構えたこともあり、グランサンクの一員として確固たる地位を築いています。
ヴァンクリーフ&アーペルといえば、四つ葉のクローバーをかたどった「アルハンブラ」シリーズが特に有名です。
このコレクションは幸運の象徴として愛され続けており、シンプルでありながら品格を漂わせるデザインが特徴です。
また「ミステリーセッティング」と呼ばれる、宝石の留め具が見えない独自の技法を開発したことでも知られています。
この技術によって、宝石の輝きがより際立ち、まるで布地のように滑らかな表面を持つジュエリーが生み出されるのです。
自然や童話からインスピレーションを得たデザインが多く、妖精や花、蝶などをモチーフにした作品には、どこか夢見るような優しさが宿っています。
また、ヴァンクリーフ&アーペルは世界5大ジュエラーにも選ばれている世界的な認知と評価を得ているブランドでもあります。
参考:世界5大ジュエラーとは?ジュエリーブランド格付けと共通する価値
ブシュロン(Boucheron)
1858年にフレデリック・ブシュロンが創業したこのブランドは、革新性と自由な発想で知られています。
ヴァンドーム広場に最初に店舗を構えたジュエラーとしても知られ、パリのジュエリー界におけるパイオニア的な存在です。
歴史の中でブシュロンが大切にしてきたのは、「自然からのインスピレーション」。その姿勢は、ジュエリーの一つ一つにしっかりと表れています。
ブシュロンの代表作には、蛇や孔雀をモチーフにしたアニマルコレクションや、建築や芸術を思わせる幾何学的なデザインの「キャトル」シリーズがあります。
こうした作品は、ただの装飾品ではなく、身につける芸術品としての位置づけにあります。
大胆でありながらエレガントで、どの角度から見ても美しいという点が、ブシュロンならではの魅力です。
ご自身のジュエリーコレクションにブシュロンの名があれば、それは極めて高い芸術的価値を持つ一点である可能性が高いでしょう。
ショーメ(Chaumet)
ショーメは、1780年にマリー=エティエンヌ・ニトーによって設立された、フランス王室と深いつながりを持つ老舗ジュエリーメゾンです。
その歴史を語るうえで欠かせないのが、ナポレオン・ボナパルトと皇妃ジョゼフィーヌとの関係です。
ショーメは、ナポレオンの公式ジュエラーとしてティアラやブローチなど、宮廷用の豪華な装身具を数多く手がけました。
そのため、ブランドの世界観には常に「皇帝の気品」や「宮廷文化のエレガンス」が色濃く反映されており、他のブランドとはひと味違ったクラシックな魅力が際立っています。
ショーメの作品には、洗練された曲線やシンメトリーを重視した美しさがあります。
なかでも有名なのが「ジョゼフィーヌ」コレクション。これは皇妃ジョゼフィーヌをオマージュしたシリーズで、ティアラを模したリングや、ドロップ型のダイヤモンドが印象的なネックレスなど、どれも気品にあふれています。
また、「リアン」コレクションは“絆”をテーマにしたデザインが特徴で、贈り物として選ばれることも多く、長年にわたり女性たちの心をつかんできました。
もしお持ちのジュエリーにショーメの刻印があれば、それはまさにフランス王室の文化を受け継ぐ、由緒ある逸品といえるでしょう。
モーブッサン(Mauboussin)
モーブッサンは1827年に創業し、長い歴史を持ちながらも、他のグランサンクブランドとは少し異なる個性を大切にしているメゾンです。
フランス国内での知名度は高く、ジュエリーをより幅広い層に届けるという姿勢から、百貨店などでの展開も積極的に行っています。
しかしその品質やデザインに対するこだわりは本物で、長年にわたり芸術性と職人技の両立を追求してきたブランドです。
モーブッサンが他のジュエラーと一線を画す点は、「カラーストーン」の活用にあります。
一般的にジュエリーといえばダイヤモンドが主役となることが多い中、モーブッサンは色とりどりのサファイア、ルビー、エメラルドなどを初めて取り扱ったと言われています。
色石の個性を最大限に引き出すためのセッティング技術やデザイン力に長けており、装いに華やかさと明るさを添えるジュエリーを多数展開しています。
お手持ちの中にカラーストーンを使ったモーブッサンのリングやネックレスがあれば、それは希少性とデザイン性を兼ね備えた名品である可能性が十分にあります。
お役目を終えたジュエリーに新たな価値を
ここまで、フランスを代表するパリ5大ジュエラー(グランサンク)についてご紹介してまいりました。
それぞれのブランドが持つ背景や、独自のデザイン美学、そして歴史の重み。どれをとっても単なる装飾品という枠を超え、文化的な価値を感じさせてくれる存在ばかりです。
ご自身がかつて手にしたジュエリーが、実はフランス王室や歴史あるブランドとつながりを持っていたとしたら、少し見方も変わってきたかもしれません。
現在、生前整理や断捨離を進められていて、こうしたお手持ちのジュエリーを「処分するべきか、残すべきか」とお悩みになる事もあると思います。
ですが、まずは「そのジュエリーにどんな物語があるのか」を知ってからでも、遅くはありません。
パリ5大ジュエラーのようなメゾンの作品は、時代を超えて受け継がれる価値を持つものです。
価値の有無だけでなく、その美しさや背景を一度見つめ直すことが、豊かな時間の一歩になるのではないでしょうか。
そのうえで、お手持ちのジュエリーに新たな使い道をお考えであれば、支援寄付という方法もあります。
お宝エイドでは、ブランドジュエリーをはじめ、様々な物品を通じたNPO団体の支援を行うことができます。
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※もし、ご支援される際に「譲渡所得税」や「寄付金控除」についてご心配の場合は、ご支援される団体様までお問い合わせください。
<参考文献>
[1]MELLERIO,available at https://mellerio.jp/
[2]Van Cleef & Arpels,available at https://www.vancleefarpels.com/jp/ja/home.html
[3]Boucheron,available at https://www.boucheron.com/ja_jp/
[4]CHAUMET,available at https://www.chaumet.com/jp_ja
[5]Mauboussin,available at https://mauboussin.jp/
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