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増える「金密輸」と罰則強化!海外からの金の持ち込みルールと注意点とは

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日本では近年、金の価格高騰とともに「金密輸」という言葉を耳にする機会が増えています。

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ニュースで「空港で多額の金が押収された」といった報道を見て、海外旅行やクルーズなどで金製品を購入し、日本に持ち帰る際に「どこまでが合法なのか」「知らずに違法行為にならないか」と不安を感じた方も多いのではないでしょうか。

実は、正しい手続きを踏めば海外から金を持ち込むことは可能です。

しかし、申告を怠ったり、課税を逃れようとした場合は「密輸」と見なされ、重い罰則が科される可能性があります。

この記事では、金密輸の実態や罰則の内容、そして安心して金を持ち込むための正しいルールについて、分かりやすくご紹介します。

金密輸とは?

「金密輸」とは、本来は税関で申告や課税を受けなければならない金を、隠したり虚偽申告をして日本に持ち込む行為を指します。

一般的には、金塊や金製品をスーツケースや衣類の中に隠して入国するケースが多く、目的は「消費税分の脱税」であることが多くを占めます。

日本では2014年に消費税が8%に引き上げられて以降、金密輸の件数が急増しました。

これは、海外で金を購入して日本に持ち込む際、消費税分の課税を免れることで、大きな利益を得ようとする人が増えたためです。

たとえば、1kgの金塊には数十万円分の税金がかかるため、複数個を密輸すれば数百万円単位の不正利益になることもあります。

金密輸は個人の小さな行為から、組織的な国際犯罪まで幅広く存在しています。

そして、たとえ「知らなかった」としても、税関申告を怠れば違法行為として処罰の対象になります。

つまり「うっかり」は通用しない、非常に厳しいルールなのです。

金密輸が近年再び増加している背景

ここ数年、再び金密輸が増加傾向にあり、その背景にはいくつかの要因が重なっています。

まず第一に、世界的な金価格の高騰です。

2020年代に入り、経済不安や円安の影響から金相場が上昇し、現在では1グラムあたり2万円を超える水準で推移しています(2025年11月執筆時点)。

金が「資産」として注目を浴びる一方で、その価値の高さが密輸の動機にもつながっているのです。

次に、国際旅行の再開も影響しています。

新型コロナウイルスの影響で一時的に海外渡航が制限されていた時期には金密輸件数も減少しましたが、2023年以降の旅行需要回復により、再び密輸が活発化しています。

特に昨今の密輸発覚の事例では、アジア諸国で購入した金を日本に持ち込むケースが目立っています。

さらに、組織的な密輸グループの巧妙化も深刻で、個人客を装って複数人が少量ずつ金を運ぶ「分散型密輸」が増えており、発見が難しくなっています。

こうした状況を受けて、日本の税関当局も取り締まりを一層強化しているのです[1]。

2025年に入ってからも、日本各地で金密輸に関する摘発が相次いでいます。報道を見ても、その規模や手口の巧妙さが年々増していることが分かります。

ここでは、実際に話題となった3つの事例を取り上げ、現状を詳しく見ていきましょう。

全国2番目の押収量として話題に!15億円相当の金密輸

2025年1月、全国で2番目となる規模の金密輸事件が発覚しました。

押収された金の総額は約15億円相当。犯行グループは海外で金塊を仕入れ、複数の旅行者に分散して日本へ持ち込ませるという巧妙な手口を使っていました。

税関職員がスーツケースの重量の不自然さに気づき、検査したことで摘発に至ったとされています。

この事件では、組織的な指示役の存在も浮上しており、単なる個人の犯行ではなく国際的なネットワークを利用した大規模な犯罪だったことが明らかになりました。

高額な利益を得ようとする一方で、関わった人すべてが刑事責任を問われるという厳しい結果を招いています[2]。

下着に隠し砂金8kg・時価9871万円相当の密輸

同年10月には、砂金約8kg、時価にして9871万円相当もの金を女性が自分の下着の中に隠して入国しようとしたところ、税関の検査で発覚しました。

金塊ではなく砂金を使用することで、金属探知機を通過しやすくする意図があったとみられています。

この事件では「持ち込み目的が他人から依頼されたもので、自分は詳しく知らなかった」と供述していましたが、税関法上は「自らが運搬した時点で密輸行為」として処罰対象となります[3]。

大会で獲得した金メダルと偽り4700万円相当が押収

2025年10月には、「金メダル」と偽って金を持ち込もうとした事例も報じられました。

格闘技大会で獲得したメダルと称して、純金製のメダル型金塊を複数個持ち込んでいたというものです。

押収された金の総額は約4700万円に上りましたが、実際には架空の大会であったこと、過去にも何度か同様の事例で繰り返しており、すべて申告を怠っていたことから密輸と認定されました[4]。

このように、密輸の形は年々多様化しています。

中には「これは工芸品だから大丈夫」「自分のアクセサリーだから問題ない」と誤解して申告を怠るケースもありますが、金の含有量や価値によっては課税対象になるため、自己判断は非常に危険です。

金密輸の罰則強化!どんな罪に問われる?

金密輸は「知らなかった」では済まされない、重大な犯罪です。

ここ数年は摘発件数の増加を受けて、罰則も厳しくなっています。

金を密輸した場合、主に以下のような罪に問われる可能性があります。

密輸実行犯と密輸贓物犯の違い

まず、密輸に関わる立場によって罪の内容が異なります。

実際に金を隠して持ち込んだ人は「密輸実行犯」とされ、最も重い刑罰の対象です。

一方で、密輸された金と知りながら購入・譲り受けた人は「密輸贓物犯」として罰せられます[5]。

平成30年(2018年)には、この罰金額の引き上げが行われ、それぞれ下記のように定められました。

≪密輸犯≫【改正】上限1,000万円または価格の5倍
≪贓物犯≫【改正】上限500万円または価格の3倍

参考引用:財務省関税局 税関[5]

どちらも悪質な行為と見なされますが、後者の場合も「知らなかった」と主張しても情状酌量は難しいのが実情です。

特に、最近ではSNSやネットオークションを通じて密輸金が流通するケースもあり、意図せず関わる危険もあります。

信頼できる販売ルート以外で金製品を購入する際にも、出所の確認が重要です。

消費税法違反

金密輸の主な理由として多いのが「消費税法違反」です。

海外で購入した金を日本に持ち込む際、正しく申告すれば本来は消費税が課されます。

日本の消費税率は2025年現在で10%ですが、仮に1kgの金塊(時価約1,000万円)を無申告で持ち込んだ場合、100万円相当の税金を不正に逃れることになります。

そのため、消費税の少ない、あるいは正税がない経済圏の国で金を購入し、それを消費税込みの値段で売却すれば大きな利益が出ることを狙って密輸をする事例が問題となっています。

この消費税法違反の行為を行うと、十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金、あるいはそれぞれの罪が科されることになっています。

また、組織的に繰り返した場合や、他人に依頼して持ち込ませた場合には「共謀」と見なされ、指示役や関与者も処罰対象になります。

税金を納めずに利益を得る行為は、国全体の税制を損なう重大な犯罪とされています。

参考引用: e-Gov法令検索-消費税法[6]

地方税法違反

金密輸は国税だけでなく、地方税法にも抵触する可能性があります。

金の売買や輸入には、地方自治体が課す事業税などが関連する場合もあり、申告を怠ると「地方税法違反」として追徴課税を受けることがあります。

さらに、地方自治体と国税庁は近年情報共有を強化しており、一度摘発されれば複数の法令に基づいて調査や課税が行われます。

地方税違反と判断された場合、消費税法違反と同様に十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金、あるいはそれぞれの罪が科されることになっています。

いわゆる「二重の罰則」が科される場合もあり、実際には脱税額以上の負担を強いられるケースも珍しくありません。

つまり、金密輸は一時の利益を得たとしても、発覚すれば社会的信用を失い、かつ金銭的にも大きな代償を伴う行為なのです。

参考引用: e-Gov法令検索-地方税法[7]

関税法違反

金を海外から日本へ持ち込む場合、必ず関税法に基づいた申告が求められます。

関税法違反とは、輸入品を虚偽申告したり、申告をしないまま持ち込む行為を指します。

特に金は高額品のため、通常は税関職員による詳細な確認が行われます。

もし故意に隠して持ち込んだ場合は、五年以下の拘禁刑若しくは三千万円以下の罰金、またはそれぞれの罪が科されます。

金は世界的にも「資産」として魅力的な存在であるがゆえ、国際的な取引では非常に厳格なルールが定められているため、正しい手続きを理解することが何より大切です。

参考引用: e-Gov法令検索-関税法[8]

海外から金を日本に持ち込むときの正しいルール

金密輸が社会問題となる一方で、きちんと申告をすれば合法的に金を持ち込むことはできます。

海外旅行などで金や金製品を購入して日本に持ち込む際に、“知らなかった”ということにならないよう、正しいルールの知識を整理しておきましょう。

正しい手続きを踏めば金の持ち込みは可能

海外で購入した金を日本に持ち帰る場合、まず「税関での申告」が必要です。

金の地金(純度90%以上)の重量が1kgを超える場合には、入国時に「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」に金の内容や重量、購入価格を正確に記入し、税関職員に提出する必要があります[9]。

これにより、適切な税金を支払えば問題なく持ち込みが認められます。

また、たとえ1kg以下でも、「携帯品・別送品申告書」において、金地金又は金製品の持ち込みがあるか否かを必ず提出しなければいけない点も覚えておきましょう[10]。

免税範囲と免税対象の品目

海外旅行者が日本に持ち帰る品物には、一定の免税範囲が設けられています。

一般的には合計20万円相当までの個人使用目的の品物であれば、関税や消費税が免除されます[11]。

ただし、これは金製品だけでなく、旅行先でのお土産等にも該当するため、総額で20万円を超える場合は課税対象となる点に注意が必要です。

また、複数人で分けて持ち込んだ場合でも、税関では「グループでの一体行動」として合算して判断されることがあります。

そのため、家族や友人と一緒に旅行している場合も、個別に正確な申告を行うことが大切です。

知らなかったではすまされない「金密輸は違法」!犯罪に巻き込まれないようにルールを守ろう

金密輸は一見「自分には関係ない」と思われがちですが、実際には海外旅行や買い物の延長線上で関わってしまうこともあります。

金の価格が上昇し、利益が出やすい今こそ、意図せず違法行為に巻き込まれるリスクが高まっています。

正しい知識を持ち、申告の手続きを怠らないことが何よりの防止策です。

税関での説明をしっかり受け、少しでも迷ったら職員に確認しましょう。

金は「価値ある資産」であると同時に、国際取引上の厳しい管理対象でもあります。

今回は「金密輸」「海外からの持ち込み」をテーマにご紹介しましたが、資産として保有している金地金を売却したり寄付する際にも税制上のルールが存在します。

お宝エイド参考記事:金インゴット(ゴールド)の匿名寄付を金売却にかかる税金を背景に考える

本記事を通じて「知らなかった」では済まされない実態を理解したうえで、安全で安心な資産としての価値を活用していきましょう。

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KOBIT編集部:Fumi.T)

<参考文献>
[1]財務省関税局 税関,「金密輸の取締強化について」,available at https://www.customs.go.jp/mizugiwa/gold/reinforce.htm
[2] 読売新聞,「全国2番目の押収量、15億円相当の「金」を密輸しようとした疑い…韓国人の男ら5人逮捕し起訴」,available at https://www.yomiuri.co.jp/national/20250109-OYT1T50151/
[3] 毎日新聞,「下着に砂金8キロ隠し、香港から密輸疑い 男女4人逮捕 警視庁」,available at https://mainichi.jp/articles/20251021/k00/00m/040/199000c
[4] 読売新聞,「金メダルと偽り純金密輸容疑、架空の大会名など刻印…格闘家「何度か密輸し数万円の成功報酬」」,available at https://www.yomiuri.co.jp/national/20251010-OYT1T50168/
[5] 財務省関税局 税関,『「ストップ金密輸」緊急対策』,available at https://www.customs.go.jp/mizugiwa/gold/stop.htm
[6]e-Gov法令検索,「消費税法」,available at https://laws.e-gov.go.jp/law/363AC0000000108#Mp-Ch_6
[7]e-Gov法令検索,「地方税法」,available at https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226#Mp-Ch_2-Se_3-Ss_3
[8]e-Gov法令検索,「関税法」,available at https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000061#Mp-Ch_10-At_111
[9]財務省関税局 税関,「7305 現金等の持出し(持込み)(カスタムスアンサー)」,available at https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/keitaibetsuso/7305_jr.htm
[10]財務省関税局 税関,「入国(帰国)時における「携帯品・別送品申告書」の提出について」,available at https://www.customs.go.jp/kaigairyoko/shinkokusho.htm
[11]財務省関税局 税関,「海外旅行者の免税範囲」,available at https://www.customs.go.jp/kaigairyoko/menzei.htm

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