結城紬の歴史と未来へ価値をつなげるために直面している課題とは
今回は茨城県結城市と隣接する栃木県小山市を中心に作られている「結城紬」をテーマに、日本の伝統的な織物が直面している課題についてお伝えしていきます。
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ユネスコ無形文化遺産に登録されている結城紬とは
結城紬は、遡ること奈良時代から朝廷に上納されていた高級織物で、現在日本各地に残る紬織物の原型とされています。
「結城紬」と呼ばれるようになったのは江戸時代以降で、当時は大店(おおたな)の旦那衆や武士など男性に好まれた「粋」な服だったと言われています。
その後、明治以降は要素家とともに女性のおしゃれ着としも進化していった結城紬ですが、その生産工程はすべて手作業で行われることから、卓越した技術が必要とされています。
1956年には「糸つむぎ、かすりくくり、地機織り」の3工程が国の重要無形文化財として指定され、2010年にはユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、結城紬の技術と伝統的な価値は、世界にも認められています。
三代先まで着られる結城紬が直面している課題
結城紬の最大の特徴は、「結城三代」と言われるように、着れば着るほど味わいが出るアンティーク家具のような価値があることです。
しかしながら、先程触れた生産工程には熟練した技術と時間もかかることから、現在結城紬の存続について大きな課題があると言われています。
結城紬の糸は一反をつむぐのに約3か月かかると言われ、1着の着物を作るのに400枚が必要とされています。
結城紬の中でも特に時間のかかるこの工程の「つむぎ手」の高齢化が進み、後継者不足が深刻化な課題となっているのです。
加えて、昨今の新型コロナウイルスの影響で着物の展示会や販売会が相次いで中止となったことも、結城紬産業へ大きな打撃となりました。
着物を通じてSDGsを考える。日本の伝統技術で持続可能な社会を
結城紬が三代続いても着られるように、着物はそもそも「長い間着られる物」として作られた物です。
しかしながら、現在はファッション市場の多様化やグローバル化によって、私たちは自由に衣服を選べる環境にある中で、着物の需要は年々減少し続けています。
これも時代の変化とすれば致し方ない部分もありますが、私たちが気軽に衣服を選べるようになった代償として、日本国内だけでも年間50万トンをも超える衣料廃棄物が出ている現実があります。
現在2030年までに国際的に取り組みが行われているSDGs(持続可能な開発目標)に即して考えれば、着物は実にサスティナブル(持続可能)な衣服と言えます。
しかし、こうした日本が誇るサスティナブルな伝統技術が失われつつあることを、私たちはしっかりと考える必要があるのではないでしょうか。
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<参考文献>
[1] 奥順株式会社,「結城紬の歴史」,available at https://www.okujun.co.jp/history/
[2] 下野新聞 SOON(スーン),「本場結城紬を未来へ ユネスコ登録 今年で10周年 小山、結城両市長語り合う」,available at https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/381139#:~:text=%E7%89%B9%E3%81%AB%E5%8E%9F%E6%9D%90%E6%96%99%E3%80%81%E7%9C%9F%E7%B6%BF%E3%82%84%E6%89%8B,%E3%81%84%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%82%E3%81%BE%E3%82%8A%E5%BF%83%E9%85%8D%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93%E3%80%82
[3] 国民生活センター,「衣料廃棄物について考える」,available at https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202104_06.pdf
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