蛍光X線分析で貴金属の何がわかる?専門検査で分かる金の本当の価値
若い頃に自分へのご褒美として選んだ金のネックレスや指輪。断捨離や生前整理を考え始めたとき、その品を前にして「これは本当に金なのだろうか」と思ったものの、自分では判断できないことがあるのではないでしょうか。
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そんな時の専門検査として「蛍光X線分析」という方法があります。
本記事では、この検査方法で何が分かるのか、他の調べ方との違いも含めて分かりやすく解説していきます。
蛍光X線分析(XRF)とは?貴金属検査で使われる理由
蛍光X線分析は、貴金属の中身を調べるために用いられる専門的な分析方法のひとつです。
近年では、売却や査定の現場だけでなく、個人が大切なアクセサリーの価値を確かめる目的でも利用される機会が増えています。
名前だけを見ると難しそうに感じられますが、その仕組み自体は比較的シンプルで、測定も短時間で完了します。
まずは、蛍光X線分析がどのような原理で成分を調べているのかを確認していきましょう。
蛍光X線分析の原理
蛍光X線分析は、試料にX線を照射した際に発生する「蛍光X線」を利用して成分を調べる方法です。
金属にX線が当たると、原子の内部で電子の動きが変化し、その結果として特定のエネルギーを持つ光が放出されます。
この放出される蛍光X線のエネルギーは、元素ごとに固有の値を持っています。
そのため、検出されたエネルギーを分析することで、どの元素が含まれているかを特定でき、蛍光X線の強さを測ることで、それぞれの元素がどの程度含まれているかも推定できます。
言葉だけ聞くと難しく聞こえるかもしれませんが、実際の測定操作は装置に試料を置くだけで数秒から十数秒ほどで結果が表示される分析方法となります。
なぜ貴金属の真贋・品位確認に向いているのか
蛍光X線分析が貴金属検査に適している最大の理由は、品物を傷つけずに調べられる「非破壊検査」である点にあります。
金属の中に純金がどれだけ含まれているかを示す値を「品位」と言いますが、従来の品位検査では、表面を削ったり薬品を使用したりする方法もあり、大切なアクセサリーに痕が残る可能性がありました。
その点、蛍光X線分析は表面にX線を照射するだけで測定できるため、外観を損なう心配がありません。
刻印が薄れて読みにくい場合や、購入した場所の記憶が曖昧な場合でも、成分からお手持ちの貴金属の品位を推定できるため、1つの判断材料として役立ちます。
どんな貴金属に対応できる?
蛍光X線分析は、さまざまな種類の貴金属製品に対応しています。
金製のネックレスや指輪はもちろん、プラチナ製品や銀製アクセサリー、複数の金属を組み合わせたコンビジュエリーにも使用可能です。
形状の制限が少ない点も特徴のひとつで、チェーン状のものや厚みのある指輪、小さなコインなども測定できます。
宝石が付いたジュエリーであっても、金属部分のみを対象に測定できるため、日常的に身につけていたアクセサリーの多くが検査対象になります。
長年しまったままになっていた品物や、由来がはっきりしない貴金属であっても、現状を把握するための手段として活用しやすい検査方法といえるでしょう。
蛍光X線分析で具体的に何がわかる?
蛍光X線分析を行うことで分かるのは、見た目が金色かどうかといった表面的な情報だけではありません。
実際には、どの金属がどの程度含まれているかといった、より具体的な成分情報を知ることができます。
売却や寄付を検討する際には、素材の正確な価値を把握することが大切です。
その判断材料として、蛍光X線分析は信頼性の高い役割を果たします。
測定できる主な貴金属元素
蛍光X線分析では、金(Au)をはじめ、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)など、宝飾品によく用いられる貴金属元素を測定できます。
加えて、銅や亜鉛、ニッケルといった合金成分も同時に検出されます。
金製品であっても、純金のまま使用されることは少なく、強度や色味を調整するために他の金属が混ぜられているのが一般的です。
蛍光X線分析では、そうした配合のバランスまで確認できるため、製品の特徴を客観的に把握することができます。
見た目では分かりにくい違いが数値として示される点は、この分析方法ならではの利点です。
カラット(K24/K18等)や品位はどう推定される?
金製品の価値を判断する際に基準となるのが、K24やK18といったカラット表記です。
これは、製品全体に占める金の割合を示しています。
蛍光X線分析では、測定された金の含有率をもとに、K24相当、K18相当といった形で品位を推定します。
たとえば、金の割合が約75%であれば、K18相当と判断されるのが一般的です。
刻印があっても、実際の成分が異なるケースは決して珍しくありません。
数値に基づいて確認できる点は、納得して判断するための助けになります。
検査結果レポートはどこを見る?
蛍光X線分析の結果は、元素ごとの含有率が一覧で表示される形式が一般的です。
最も注目されるのは金の割合ですが、それ以外の金属成分にも目を向けることが重要です。
同じK18相当とされる製品であっても、銅が多いか、銀が多いかによって色味や質感は異なります。
こうした違いを理解することで、そのアクセサリーが持つ特徴や背景を知る手がかりにもなります。
単に本物か偽物かを判断するだけでなく、品物そのものを理解するための資料として活用できる点も、蛍光X線分析の魅力といえるでしょう。
蛍光X線分析のメリット・デメリット
貴金属を調べる方法はいくつかありますが、その中でも蛍光X線分析が広く使われているのには理由があります。
一方で、どの検査方法にも得意・不得意があり、万能というわけではありません。
ここでは、蛍光X線分析を利用するうえで知っておきたいメリットと、あらかじめ理解しておくべき注意点について整理していきます。
蛍光X線分析を用いるメリット
蛍光X線分析の大きな魅力は、貴金属を傷つけずに成分を調べられる点にあります。
指輪やネックレスを削ったり、薬品に浸したりする必要がないため、思い出の詰まった品物でも安心して検査を受けることができます。
また、測定にかかる時間が非常に短い点も特長です。装置にセットしてから結果が表示されるまで、数秒から十数秒程度で完了するため、査定の場でも待たされることがほとんどありません。
さらに、一度の測定で複数の金属成分を同時に分析できる点も利点といえるでしょう。
金だけでなく、銀や銅などの合金成分もまとめて把握できるため、製品全体の特徴を総合的に理解しやすくなります。
蛍光X線分析では判別が難しいデメリット
一方で、蛍光X線分析には注意すべき点もあります。
まず、この分析方法は表面から一定の深さまでを測定する特性があるため、内部構造が層状になっている製品では、全体の品位を完全に反映しない場合があります。
たとえば、表面だけに金が施された金メッキ製品では、測定箇所によっては金の割合が高く表示されることがあります。
あるいは、タングステンのように金と密度が似ている金属がベースとなっている貴金属の場合は、金製品かの判別が難しいという点もあります[1]。
そのため、複数箇所を測定したり、他の確認方法と組み合わせたりすることが重要になります。
貴金属の判定において大きな問題になることは少ないものの、分析結果はあくまで判断材料のひとつとして捉える姿勢が大切です。
蛍光X線分析と他の分析方法(比重・試金石・ICP)との違い
貴金属の真贋や品位を調べる方法は、蛍光X線分析だけではありません。
目的や状況によって、使われる検査方法は異なります。
それぞれの特徴を知っておくことで、自分の目的に合った確認方法を選びやすくなるでしょう。
一般的によく知られている方法としては、比重測定や試金石を使った検査があります。
これらは比較的手軽に行える方法ですが、経験や感覚に左右されやすく、正確な数値を得るのは難しい場合があります。
専門的な分析方法として、ICP分析と呼ばれる手法もあります。
ICP分析は、試料を溶解し、非常に微量な成分まで高精度で測定できる点が特長で、研究機関や精密分析の分野では欠かせない方法とされています。
一方で、ICP分析は前処理に時間がかかるうえ、検査後に製品の形状が変わってしまうリスクが伴います。
そのため、個人が所有する貴金属製品の真贋確認や品位把握には、必ずしも適しているとはいえません。
蛍光X線分析は、精密さではICP分析に及ばない部分があるものの、スピードと扱いやすさ、非破壊という点で優れています。
用途に応じて使い分けられている理由は、こうした特性の違いにあります。
貴金属のX線分析方法と価格はどれくらい?
蛍光X線分析に興味を持っても、「どこで受けられるのか」「費用はどのくらいかかるのか」といった点が気になる方は多いと思います。
実際には、利用方法はいくつかあり、目的や状況に応じて選ぶことが可能です。
ここでは、一般的な利用シーンと価格の目安について整理していきます。
店頭(買取店・質屋等)での測定
買取店や質屋では、査定の一環として蛍光X線分析を行っているケースが多く見られます。
店頭に分析装置を設置しており、その場でお手持ちの品を測定し、結果を提示してくれる形が一般的です。
この場合、分析自体の費用が明確に提示されることは少なく、査定サービスに含まれていることもあります。
売却を前提にしている場合は、追加料金がかからないことも多いため、手軽に利用しやすい方法といえるでしょう。
一方で、価格を知ることだけが目的の場合は、査定の流れや条件を事前に確認しておくと安心です。
無理に手放す必要はなく、あくまで判断材料として結果を受け取る姿勢が大切になります。
郵送で依頼できるケース
近年では、アクセサリーを郵送して蛍光X線分析を受けられるサービスも増えています。
店舗に足を運ぶのが難しい方や、近くに対応店がない場合でも利用しやすい方法です。
費用は測定箇所の数や、レポートの詳細度によって料金が変わることが一般的ですが、簡易的な成分分析であれば数百円から対応している例も見られます。
ただし、郵送の場合は、配送方法や補償の有無を確認することが重要になります。
大切な品物だからこそ、信頼できる事業者を選び、納得したうえで依頼することが安心につながります。
「蛍光X線分析」は“壊さず・早く・納得して”貴金属を確かめる手段
蛍光X線分析は、貴金属を削ったり溶かしたりすることなく、短時間で成分を確認できる検査方法です。
金のネックレスや指輪といった思い出の品を、外観を損なわずに調べられる点は、大きな安心材料といえるでしょう。
自宅でできる簡易チェックでは判断が難しい場合でも、専門的な分析によって数値として品位を把握できるため、売却や処分を検討する際の判断材料になります。
既存の記事でご紹介しているように、金製品の価値を正しく知ることは、後悔のない選択につながります。
蛍光X線分析は、そのための信頼できる手段のひとつです。
もし、長年大切にしてきた貴金属に一区切りをつけたいとお考えであれば、正確な成分分析を通じて価値を確かめたうえで、次の形へとつなげることも選択肢になります。
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お手持ちの金製品の価値を正しく評価するよう、弊社所有の蛍光X線分析装置による専門的な成分分析・真贋判定を行っております。
思い出を尊重しながら、その価値から使い道を判断するための方法として、蛍光X線分析を上手に活用してみてはいかがでしょうか。
本記事で紹介した貴金属をはじめ、お宝エイドでは様々な物品を通じたNPO団体の支援を行うことができます。お宝エイドでは郵送いただいた「お宝」を換金し、ご指定いただいたNPO団体の活動原資として送り届けます。あなたもお宝エイドでの支援活動をはじめてみませんか。
なお、お宝エイドでは弊社所有の蛍光X線分析装置による専門的な成分分析・真贋判定を行っております。若かりし頃に海外で購入した貴金属など、お手持ちの大切な「お宝」の価値について不安や疑問をお持ちでしたら、どうぞお気軽にご相談ください。(KOBIT編集部:Fumi.T)
<参考文献>
[1] 税関,「蛍光X線分析法等を用いた金製品の判別について」,available at https://www.customs.go.jp/ccl_search/info_search/inorganicss/r_54_10_j.pdf
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