EUの発足から約30年。グローバルな影響力を持つ連合国の役割とは
2023年11月1日で発足から30年になるEU(欧州連合)。
2022年6月23日には、現在ロシアからの軍事侵攻が続くウクライナがEU加盟候補国に承認されたことで、EUについて改めて関心を持った方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はEUの歴史を紐解きながら、EUの役割や存在意義について考えていきたいと思います。
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EUが発足した理由を歴史的背景から探る
ヨーロッパの歴史は、フランス、ドイツ、イギリス、スペイン、イタリアなど、各国で独自の政治や経済が確立されていたことから、絶えず対立や戦争が繰り返されてきました。
20世紀には2度の世界大戦の戦場となったことで経済活動が衰え、戦後にはアメリカやロシア(旧ソビエト連邦)のような大国と大きな差が開きはじめてしまった、これがEU発足に向けた背景と言われています。
1952年の欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)設立がEUのはじまりで、最初の共同国はフランス、西ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの6ヶ国でした。
それぞれ自国の権限移譲をしながら、1967年には欧州共同体(EC)として当時世界最大の貿易圏が誕生し、その後、デンマーク、アイルランド、イギリス、ギリシャ、スペイン、ポルトガルが参加し、1993年11月1日のEU発足時の加盟国は12カ国となりました。
そして、現在では27の加盟国からなる新興超大国と言われるほど、約70年間に渡って拡大を続けてきたのです。
EUが果たす役割と意義
冒頭でも触れましたが、2022年6月に行われたEU首脳会議でウクライナとモルドヴァの両国を加盟国候補として承認しました。
いまだ軍事侵攻の終わりが見えないウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、この決定を受けて「歴史的な瞬間で、ウクライナの未来はEUの中にある」とツイートしました[1]。
では、果たしてEUに加盟することでどのような価値があるのでしょうか。簡潔にまとめると下記のようなメリットがあるとされています。
- パスポートなしで加盟国間を自由に行き来ができる
- 加盟国内のどこでも働ける・学べる
- 製品の輸出入にかかる税金がかからない
- 統一通貨が使えるため為替レートに左右されない
- 軍事力を結集することができる
戦争・紛争のない平和と安定を図ること、そして、各国が結集してアメリカなどの大国と対抗する力をつけることが目的で発足されたため、EUに加盟することは「自由さ」「豊かさ」「利便性」を手に入れることができるようになります。
しかし、国同士が共同して1つの方向に進むということは、あらゆる制限や規制も生み出しているのも事実です。
2010年にギリシャの経済危機があったように、加盟国すべてが同じ経済水準や資源を持っているわけではないため、加盟国間や地域間での格差を生み出してしまうことにもつながります。
また、2020年にはイギリスがEUを離脱した最初の加盟国として話題となりましたが、EUのルールに縛られすぎて、思い通りに自国がやりたい政策ができないというジレンマも存在しています。
こうした「自由」と「制限」をどのようにしてバランスを取っていくのかが、現在EUが抱えている大きな課題と言えるでしょう。
EUを通じてロシアのウクライナ軍事侵攻を改めて考える
ここまでEUの成り立ちを見てくると、現在のウクライナにとって1日でも早くEUへの加盟を実現させたい、という思いがお分かりいただけるかと思います。
しかしながら、ウクライナはまだ「加盟国候補」になっただけで、実際に加盟するためには、全加盟国の承認、EU法や規制を国内法に適用といったプロセスがあり、2007年に加盟したブルガリアやルーマニアは、一連の手続きで10年以上の時間を費やしました[2]。
このようにEUへの加盟には手続きに何年もかかることがあり、さらに必ず加盟できるという確約もないことは、EUが抱える「制限」多き部分と言えるでしょう。
EU加盟国候補の承認は大きな前進であることは間違いありませんが、その実現は容易ではないことを知り、いまだ多くの犠牲や難民が増え続けているウクライナのために、私たちができることを考えていきたいものです。
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(KOBIT編集部:Fumi.T)
<参考文献>
[1]Twitter, “@ZelenskyyUa”, available at https://twitter.com/ZelenskyyUa/status/1540038995178037249
[2] BBCニュースJAPAN, 「【解説】 ウクライナがEU加盟候補国へ 何が変わる? ロシアの反応は?」 available at https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-61905073
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