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ガムラン音楽とは?歴史・楽器の種類・音色・文化的価値を詳しく解説

ガムラン音楽とは

ガムラン音楽とは、主にインドネシアのジャワ島やバリ島で発展してきた伝統的な合奏音楽です。

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青銅や鉄で作られたゴング、金属鍵盤、太鼓などを中心に、竹笛、弦楽器、歌声を組み合わせて演奏します。

ガムランという名称は、特定の一種類の楽器だけを表すものではありません。

複数の楽器で構成された一組の楽器群、その楽器群による合奏、さらには演奏を取り巻く文化まで含めてガムランと呼ばれます。

名称は、ジャワ語で打つ、たたくといった意味を持つ言葉に由来するとされています。

ガムランの魅力は、金属楽器が生み出す豊かな余韻と、多数の奏者が協力して一つの響きを作る点にあります。

低く荘厳な大型ゴング、細かな旋律を奏でる鍵盤楽器、演奏の流れを導く太鼓などが重なり、循環するような音楽が形作られます。

なお、ガムランはインドネシア全域で一様に演奏される音楽ではありません。

地域、宮廷、寺院、村落、演目によって、使われる楽器や音律、速度、奏法が異なります。

ジャワとバリのガムランは特に有名ですが、その内部にもさまざまな様式があります。

ガムラン音楽の歴史

古代から続くゴング文化

インドネシアを含む東南アジアでは、古くからゴングや太鼓を使った音楽文化が育まれてきました。

ジャワ島の古い寺院遺跡には、楽器を演奏する人々の姿を表した浮彫も残されています。

ただし、現在見られるガムランの編成が、古代から変わらず存在していたわけではありません。

地域間の交流、王朝の盛衰、宗教や芸能の変化を受けながら、長い時間をかけて多様な合奏様式が形成されました。

宮廷と地域共同体による継承

ジャワでは、王宮を中心に舞踊や影絵芝居と結び付いた洗練されたガムラン音楽が発展しました。

一方、村落でも祭礼や共同体の行事に欠かせない音楽として演奏されてきました。

バリでは、寺院の儀礼、祭礼、舞踊などと深く結び付きながら、華やかで躍動的な様式が発達しています。

楽器は個人の演奏道具ではなく、寺院や集落、演奏組織が一組の楽器群として共有することも少なくありません。

こうした背景から、ガムランは単なる娯楽音楽ではなく、人々の信仰、社会関係、歴史、地域への帰属意識を伝える文化でもあります。

インドネシアのガムランは、2021年にユネスコの無形文化遺産の代表一覧表へ記載されました。

ジャワとバリのガムランはどう違う?

ジャワ・ガムランの特徴

ジャワ・ガムランでは、ゆったりとした時間の流れや、音の余韻を生かした重層的な響きを感じられる演奏が多く見られます。

基本となる旋律の周囲に、細かな装飾音や歌、弦楽器、竹笛の音が重なり、合奏全体が穏やかに進行します。

大型ゴングは長い周期の節目で鳴らされ、音楽の構造を支えます。

演奏が静かに聞こえる場合でも、各楽器は異なる密度と役割を持っており、複数の時間層が同時に進んでいるような奥行きがあります。

バリ・ガムランの特徴

バリ・ガムランには、速いテンポ、明瞭な強弱、急激な速度変化を特徴とする様式が多くあります。

なかでも20世紀に発展したガムラン・ゴング・クビャールは、爆発する、閃光を放つといった名称の意味を思わせる鮮烈な音響で知られています。

複数の奏者が音を交互に差し込み、高速の旋律を完成させるコテカンも重要な奏法です。

一人がすべての音を演奏するのではなく、二つ以上のパートが精密にかみ合うことで、きらめくような音の連続が生まれます。

もっとも、ジャワは静かでバリは激しいと単純に分けることはできません。

それぞれの地域に複数の編成や演目があり、儀礼用、舞踊用、劇の伴奏用など、用途によっても表情が変わります。

ガムランに使われる主な楽器

ゴング・アグン

ゴング・アグンは、枠につるして演奏する大型のこぶ付きゴングです。

低く長い余韻を持ち、長い音楽周期の大きな区切りを示します。

合奏の土台となる重要な存在であり、楽器に精神的な意味が与えられている場合もあります。

クノンやクトゥ

台の上に置かれた壺形のこぶ付きゴングには、クノンやクトゥなどがあります。

楽器ごとに鳴らす間隔が異なり、大型ゴングへ戻るまでの周期を細かく区切ります。

外見が似ていても、寸法、音高、配置、用途は同じとは限りません。

サロン

サロンは、木製の台に複数の金属鍵盤を載せた楽器です。

木や角などで作られたばちで鍵盤を打ち、合奏の骨格となる旋律を担当します。

金属鍵盤は打った後も音が残るため、次の音を鳴らす際に、もう一方の手で前の鍵盤へ触れて余韻を止めます。

音を出すだけでなく、適切な瞬間に音を止めることも大切な演奏技術です。

グンデル

グンデルは、金属鍵盤の下に竹筒などの共鳴器を備えた楽器です。

左右の手にばちを持って演奏するものもあり、基本旋律を細かく展開した流麗なパートを受け持ちます。

古いグンデルでは、鍵盤だけでなく、共鳴筒、鍵盤をつるすひも、ばちも重要な構成要素です。

部品が外れている場合でも、対応関係が分かるようにまとめて保管することが望まれます。

ボナンとレヨン

ボナンは、複数の小型こぶ付きゴングを木枠に並べたジャワの楽器です。

基本旋律を装飾したり、曲の進行を示したりします。

バリのレヨンも小型ゴングを横一列に並べますが、一台を複数人で担当することがあります。

奏者同士が音を分担し、複雑で高速な音型を作る様子は、ガムランの共同性をよく表しています。

クンダン

クンダンは両面に皮を張った太鼓です。

テンポや強弱を導き、曲の転換や舞踊家の動きを合奏へ伝えます。

金属楽器が目立つガムランにおいて、演奏全体をまとめる重要な役割を担います。

竹笛・弦楽器・歌声

ガムランには、スリンと呼ばれる竹笛や、ルバブと呼ばれる擦弦楽器が加わることもあります。

さらに、独唱や合唱が旋律へ重なる編成もあります。

金属音だけでなく、息、皮、弦、声の音色が共存していることもガムランの魅力です。

ガムラン独自の音律と響き

スレンドロとペロッグ

ジャワ・ガムランを理解するうえで重要なのが、スレンドロとペロッグという音階体系です。

一般にスレンドロは五つの音を中心に構成され、ペロッグは七つの音を持つ体系として説明されます。

ただし、実際の曲ではペロッグのすべての音を常に均等に使うとは限りません。

これらは西洋音楽の平均律とは考え方が異なります。

ピアノのドレミへ近似することはできても、完全に同じ音として置き換えることは困難です。

一組ごとに作られる調律

ガムランの楽器は、同じセットの中で響きが整うように調律されます。

そのため、別の場所で作られた同種の楽器を一つだけ加えても、音高や響きが合わないことがあります。

この特徴は、古いガムランを保存・活用する際にも重要です。

金属鍵盤や小型ゴングを単品へ分けると、もとのセットや調律上の関係を失う可能性があります。

複数の楽器が同じ由来で残っているなら、できる限り一緒に記録し、保管することが大切です。

うなりが生むきらめき

特にバリのガムランでは、一対の楽器をわずかに異なる音高へ調律し、同時に鳴らすことで意図的なうなりを作る場合があります。

音が揺れて聞こえるのは調律の失敗ではなく、合奏へ生命感やきらめきを与えるための工夫です。

一台だけを西洋式の基準音へ合わせてしまうと、本来想定されたうなりが失われるおそれがあります。

調律や修理には、そのセットの音響を理解した職人や演奏経験者の判断が必要です。

ガムラン音楽と舞踊・影絵芝居・儀礼

ガムランは、演奏会で鑑賞するだけの音楽ではありません。

ジャワやバリの舞踊では、太鼓の合図や旋律の変化が踊り手の動作と密接に結び付きます。

音楽が舞踊へ一方的に伴奏を付けるのではなく、演奏者と踊り手が互いの気配を受け取りながら場面を作ります。

影絵芝居のワヤン・クリでも、ガムランは重要です。

登場人物の性格、場面の雰囲気、戦いの緊張感などを音で表し、人形遣いの語りや合図に応じて演奏を変化させます。

寺院の祭礼や地域行事で使われるガムランには、共同体の記憶や信仰が重ねられています。

そのため、古い楽器を譲り受けたり、再利用したりする際には、入手地や用途などの来歴も尊重すべき情報です。

楽器としてだけではない工芸的価値

ガムランは音を出す道具であると同時に、金属工芸、木工、彫刻、彩色が組み合わされた工芸品でもあります。

青銅製のゴングや鍵盤を作るには、金属の成形、加熱、打ち延ばし、削り、調律といった工程が必要です。

完成後も、単純に寸法だけで音が決まるわけではありません。

職人が実際の響きを確かめながら調整します。

鉄製の楽器もあり、材質によって重量や音色、製作方法が異なります。

楽器を支える木枠にも注目できます。

植物、動物、神話上の存在などを思わせる彫刻が施され、赤、青、金色などで華やかに彩色されたものがあります。

地域や工房、用途によって装飾は異なり、音を鳴らせない状態でも工芸資料として意味を持つ可能性があります。

古いガムラン楽器を確認するポイント

セットの一部かを調べる

最初に、ゴング、鍵盤、台座、共鳴筒、太鼓、ばちなど、関連する部品がほかに残っていないか確認します。

ガムランは一組で調律されているため、見つかった部品を安易に分散させないことが重要です。

寸法と外観を記録する

楽器全体と細部を撮影し、直径、高さ、鍵盤の枚数、重量などを記録します。

木枠の裏側にある文字、番号、ラベル、補修跡も手掛かりになります。

数字が書かれている場合は、もとの配置を示している可能性があるため消さずに残します。

購入記録、輸入時の書類、公演プログラム、写真、元の所有者に関する情報も、来歴を伝える大切な資料です。

楽器とは別に捨てず、対応関係が分かる形で保管しましょう。

無理に試奏しない

状態の分からない古いゴングや鍵盤を、金属製の工具や硬い棒で強く打つことは避けます。

亀裂や変形を引き起こすだけでなく、本来とは異なる打点によって表面を傷付ける可能性があります。

演奏できるか確認したい場合は、ガムランの奏者、研究者、楽器修復の知識を持つ専門家などへ相談するのが安全です。

ガムラン楽器の保管と手入れ

金属部分の腐食、木枠の変形、太鼓皮の劣化を防ぐには、湿度と温度が急激に変化する場所を避けます。

直射日光が当たる窓際、結露しやすい倉庫、湿った床への直置きは適しません。

重量のある楽器は、床や棚の耐荷重も確認する必要があります。

表面がくすんでいても、研磨剤や薬品で強く磨くのは避けましょう。

古い表面の風合いや意図された仕上げを変え、彩色まで傷める可能性があります。

日常的な管理では、柔らかい乾いた布や刷毛でほこりを軽く除く程度にとどめます。

腐食が進行している場合は自己判断で削らず、保存や修復の専門家へ相談します。

木枠、太鼓皮、締めひも、ばちも楽器の一部です。

外れた部品は処分せず、どの楽器に付属していたか分かるように表示して保管してください。

使われなくなったガムランを次へつなぐには

保管できなくなったガムランは、廃棄や装飾品への転用を決める前に、活用できる場所がないか検討する価値があります。

演奏可能な楽器は、公演、体験講座、学校教育、研究などに役立つ可能性があります。

相談先としては、ガムランの演奏団体、音楽大学、民族音楽の研究者、博物館、文化施設、専門知識のある取扱事業者などが考えられます。

売却、寄贈、貸与のいずれを選ぶ場合も、受け入れ条件や輸送方法を事前に確認しましょう。

大型ゴングや木枠は重量があり、不適切な運搬で変形するおそれがあります。

特に避けたいのは、由来の同じセットを情報のないまま細かく分けることです。

単体のゴングや鍵盤にも工芸的な魅力はありますが、セットが分散すると本来の音律、配置、演奏機能を復元できなくなる場合があります。

移動前に写真を撮り、楽器と部品へ対応番号を付けておくと、次の所有者が再構成しやすくなります。

また、儀礼に用いられていたことが分かっている楽器は、その文化的背景も引き継ぐことが大切です。

いつ、どこで、誰が、どのような目的で使っていたかという情報は、金属の素材価値とは異なる、代えの利かない価値を持っています。

ガムラン音楽を楽しむ方法

ガムランに興味を持ったら、まずジャワとバリの演奏を聴き比べてみましょう。

大型ゴングが鳴ってから次に鳴るまでの周期、太鼓が出す合図、複数の奏者による音の分担、金属音のうなりへ意識を向けると、構造が分かりやすくなります。

公演やワークショップでは、録音だけでは伝わりにくい振動や音圧を体験できます。

実際に演奏する際は、楽器をまたがない、指定されたばちを使うなど、指導者や所有者が示す扱い方に従うことが大切です。

ガムランは大きく重いため、個人で所有することだけが楽しみ方ではありません。

演奏団体への参加、公開講座、展覧会、映像資料などを通じても文化に触れられます。

使われていない楽器と演奏したい人を適切につなぐことも、ガムランの価値を未来へ残す方法の一つです。

まとめ

ガムラン音楽は、ゴングや金属鍵盤を中心に、多数の奏者が協力して作るインドネシアの伝統的な合奏音楽です。

ジャワやバリをはじめとする各地域で異なる様式が発展し、舞踊、影絵芝居、祭礼、宗教儀礼などと深く結び付いてきました。

ガムラン楽器の価値は、素材や古さだけでは決まりません。

一組ごとの調律、職人による製作技術、木枠の装飾、演奏されてきた場所、共同体との関係などが重なって、その楽器ならではの価値を形作ります。

古いガムランが残されている場合は、強く磨いたり、セットを分散させたりせず、まず外観、部品、来歴を記録しましょう。

そのうえで演奏者や専門家へ相談すれば、再び音楽に用いる、教育へ生かす、資料として保存するといった道を探せます。

響きを生み出す道具としてだけでなく、人と文化を結ぶ存在として扱うことが、ガムランの持つ価値を次の世代へつなぐ第一歩です。

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KOBIT編集部:Fumi.T)

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