世界一長いベンチとは?能登・増穂浦海岸の魅力と地震後の現在を知る
令和6年1月の能登半島地震は、多くの方にとって忘れられない出来事となり、いまだその爪痕からの復興に向けた道のりが続いています。
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この地震を通じて被災地を想い、何か自分にできることはないかと考えた方も少なくないでしょう。
そうしたなかで、能登の復興の象徴のひとつとして注目を集めているのが、石川県志賀町にある「世界一長いベンチ」です。
一度はギネス世界記録に登録され、現在は“世界一”の座を譲ったものの、その存在は地域の人々の手で守られ、観光名所としても大切にされ続けています。
この記事では、世界一長いベンチの歴史と魅力、そして復興と結びついた現在の姿について詳しくご紹介いたします。
世界一長いベンチとは
石川県志賀町の増穂浦海岸に設置されている「世界一長いベンチ」は、全長460.9メートルもの長さを誇る木製のベンチです。
日本海に沈む夕日と相まって、ベンチは観光客にとって忘れがたい風景の一部となっています。
建設の経緯とギネス認定
世界一長いベンチは、1987年に地元住民の手によって、地域の連帯と観光振興の願いが込められて作られました。
完成後は訪れる人々が海を眺めながらゆったりと腰を下ろせる名所として親しまれ
、1989年には「世界一長い木製ベンチ」としてギネス世界記録に認定され、一躍全国的な注目を浴びます。
全長460.9メートルという規模は、当時としては圧倒的な存在感を持ち、地域の誇りともなりました。
記録が公式に認定されたことにより、石川県志賀町は「世界一のベンチがある町」として観光地としての魅力を大きく高めることに成功します。
地元の方々にとっては、単なるベンチ以上の意味を持つ存在であり、地域の結束や文化を象徴するモニュメントとなったのです。
世界一長いベンチが“抜かれた”その後
その後、ドイツのキール運河沿い(501.35m)、ポーランド(613.13m)、日本の富山県南砺市瑞泉寺前(653.02m)とギネス記録は抜かれていきましたが、
それでもここ能登のベンチは「世界一長いベンチ」としての名で、いまだ多くの人に愛され続けています。
単に記録を競うだけでなく、地域の人々の思いが込められた場所だからこそ、世界一でなくなった今も観光名所として輝きを放っていると言えるでしょう。
観光スポットとしての世界一長いベンチの魅力
志賀町の「世界一長いベンチ」は、ただ長さを競うだけの存在ではなく、観光地としての魅力が豊富にあります。
訪れる人が感じるのは、そのスケールの大きさ以上に、海や自然と一体となった空間の心地よさです。
地元の人々の思いと歴史が詰まったベンチは、能登観光のハイライトのひとつとして多くの人に親しまれています。
日本海を望む絶景ロケーション
ベンチが設置されているのは「増穂浦海岸」。高台から日本海を一望できる立地は、四季折々の自然の変化を間近に感じられる特等席です。
特に夕暮れ時、海に沈む夕日が水平線を赤く染め上げる光景は圧巻で、「サンセットヒルイン増穂」とも呼ばれています。
観光で訪れた人々は、ゆったり腰をかけながら、海風と共に壮大な景色を味わうことができます。
幸せを呼ぶ「さくら貝」との出会い
増穂浦海岸は「幸せを呼ぶさくら貝」が打ち寄せる海岸としても有名です。
小さな淡いピンク色の貝殻は手に取るとほのかな温かみを感じ、訪れる人々の心を和ませてくれます。
昔から縁起物として大切にされてきたこともあり、旅の思い出に拾った貝を持ち帰る方も多いといわれます。
世界一長いベンチで景色を楽しんだあとで、目の前の浜辺を散策しながら、この地域ならではの小さな幸せと出会うことができます。
幻想的なライトアップやイルミネーション
世界一長いベンチでは、夏から秋にかけて行われるライトアップやイルミネーションが装飾され、ベンチ全体が柔らかな光に包まれ、昼間とはまったく異なる幻想的な雰囲気を演出します。
日本海の夜景と相まって、光のラインが浮かび上がる様子はとても美しく、訪れる人々の記憶に残る特別な体験となるでしょう。
観光客にとってはもちろん、地元の人々にとっても誇りに思えるイベントとして定着しています。
世界一長いベンチの現在は?復興象徴としての役割
近年の「世界一長いベンチ」は、観光地としての魅力に加え、地域復興の象徴としての役割を担っています。
老朽化や自然災害に見舞われながらも、そのたびに修復が行われ、地域の人々の結束を示すシンボルとなってきました。
令和6年の能登半島地震を経験した今、ベンチは単なる観光施設ではなく「地域が立ち上がる力を表す存在」として改めて注目されています。
老朽化と2023年からの改修工事
世界一長いベンチは完成から30年以上が経過し、長年の風雨や潮風の影響で老朽化が進んでいました。
安全性と観光資源としての魅力を守るため、2023年10月から本格的な改修工事が始まりました。
工事期間中は立ち入り制限が設けられ、一時的に観光客がベンチを利用できない状況となりましたが、地域の方々は「再び多くの人に愛される場所にしたい」という思いで整備を進めました。
ベンチは単なる休憩場所ではなく、地域の誇りを象徴する存在であることが改めて意識されたのです。
令和6年能登半島地震による影響と復旧の遅れ
こうした改修の最中に起きたのが2024年1月1日の令和6年能登半島地震でした。
地震による被害は志賀町周辺にも及び、工事のために必要だった木材調達にも遅れが生じます。
能登全体が復旧作業に追われるなか、観光施設の再整備は後回しにならざるを得ない状況でした。
それでも、地域住民や行政の粘り強い努力によって工事は再開され、2024年5月11日に改修が完了。記念式典も行われ、多くの人が再び集う光景が見られました。
震災を経て整備されたこのベンチは、能登の復興を象徴する存在として、以前にも増して特別な意味を持つようになっています。
復興の象徴として開催されているイベント
復興の歩みを後押しするため、志賀町では「世界一長いベンチ」を舞台にしたイベントも企画されています。
2024年10月5日には「リレー形式で和太鼓を叩いた最多人数」というギネス記録に挑戦する催しが行われ、地域と観光客が一体となる機会となりました。
さらに2025年9月13日には「光の絆 増穂浦のきらめき2025」と題した復興祈念イベントが行われました。
幻想的なライトアップとともに、復興を願うランタンや花火の打ち上げなど、世界一長いベンチは災害を乗り越えた能登の人々の思いを映し出すステージとなっているのです。
世界一長いベンチと能登復興を重ねて「私たちができること
石川県志賀町の「世界一長いベンチ」は、世界記録という肩書きを失った後も、地域の人々の心と共に歩み続けてきました。
老朽化や震災を経ても改修され、新しい命を吹き込まれた姿は、能登の復興のシンボルでもあります。
能登半島地震による私たちにできることは大きな支援だけではありません。
観光で訪れてベンチに腰を下ろし、地元で食事をしたり宿に泊まることも、地域にとって大切な力となります。
また、能登の美しい風景や体験を発信することで、多くの人に関心を持ってもらうことにもつながります。
世界一長いベンチに座って日本海を眺めると、自然の雄大さと共に、人のつながりの尊さを感じるはずです。
能登の復興を思い、この景勝地を未来へとつないでいくために、私たち一人ひとりができることを考えることが、何よりの支援となるのではないでしょうか。
現在、被災地では様々な支援が行われていますが、一例として下記のNPO団体が災害発生直後から避難所で水や衛生用品等の物資配布をはじめとした支援活動を行っています。
- 認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン:石川県輪島市を中心に食品・水等の物資配布や炊き出しを実施中
- AAR Japan[難民を助ける会]:輪島市、珠洲市で炊き出し、県内各地の障がい者施設に支援物資配布
- NPO法人フードバンクとやま:水や食品の寄付、現地で炊き出しする団体への食品や備品の寄付
- 公益社団法人日本国際民間協力会(NICCO):輪島市を中心に生活物資や食料の配布
- 特定非営利活動法人ジャパンハート:能登町、輪島市を中心に要配慮者用支援物資の提供および避難所での医療分野における人的支援
- シャンティ国際ボランティア会:県内で支援物資の配布
いまだ被災地の混乱は収まっていないため、個人としてどのような支援をするのが良いのか、自分には何ができるのか、とお考えの方も多いかもしれません。
お宝エイドでは、上記でご紹介したような、被災地で復旧活動や被災者のサポートを行っているNPOの活動を支援する形で、能登半島地震への支援へとつなげています。
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(KOBIT編集部:Fumi.T)
<参考文献>
[1]【公式】石川県の観光/旅行サイト「ほっと石川旅ねっと」,「世界一長いベンチ」,available at https://www.hot-ishikawa.jp/spot/detail_5677.html
[2]志賀町役場,「さくら貝」,available at https://www.town.shika.lg.jp/kankou/photo/natural_scenery/sakura_kai.html
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