保護猫の里親になるなら知って欲しい「猫エイズ(FIV)」の正しい知識
現在全国の色々な地域のボランティアやNPOが中心となって行われている保護猫活動。下記の記事でその現状について触れました。
→猫の保護活動のいまを知る|支援先におすすめのNPOまとめ 番外編
今回、ここでご紹介した盛岡市の「認定NPO法人もりねこ」が運営する猫カフェがリニューアルし、病気や目が不自由な猫エイズ(FIV)に罹患した猫との触れ合いの場を新たな試みと提供し、飼い主探しにつなげる活動を始められました [1] 。
「猫エイズ」については、その名前から人に感染ったり、余命が短いのではないか、と言った誤解をされている方も少なくありません。
そこで今回は、「猫エイズ」について改めて知識を深める機会を設けました。本記事を通じて“いのちはみんなおなじ”であることを考えるきっかけとして頂けたら幸いです。
お宝エイドでは郵送いただいた「お宝」を換金し、ご指定いただいたNPO団体の活動原資として送り届けます。この機会にお宝エイドでの支援活動をはじめてみませんか。
※もし、ご支援される際に「譲渡所得税」や「寄付金控除」についてご心配の場合は、ご支援される団体様までお問合せください。
猫エイズとはどのような病気?
「猫エイズ」と一般的に呼ばれているこの病気は、正確には「猫免疫不全ウイルス感染症」または「猫後天性免疫不全症候群」と言われます。
FIV(Feline Immunodeficiency Virus:猫免疫不全ウイルス)は、猫の免疫システムを弱めるはたらきを持ち、それによって様々な疾患を引き起こします。このFIVは、「レンチウイルス属」に分類され、HIV(Human Immunodeficiency Virus:ヒト免疫不全ウイルス)と似たウイルス構造を有しているとされています。
猫エイズは人への感染はあるのか
「エイズ」という通称が使われていますが、ヒトのエイズウイルス(HIV)と猫エイズウイルス(FIV)は、互いに異なる種間で感染することはありません。
キャリアを持つ猫に引っ掻かれたり、噛まれたりすると感染するといった誤解を持たれることもありますが、人間には感染しないことは、FIVに感染した猫のいのちを守る上で、正しい知識として理解しておく必要があると言えます。
他の猫へのエイズ感染はあるのか
猫エイズウイルスの感染は、猫同士の喧嘩によって噛まれたり、引っかかれたりすることで、キャリアである猫から他の猫へ感染する可能性が高まります。一方、猫同士の交尾による感染は、それほど多くはないとされています。
そのため、複数の猫を飼っている「多頭飼い」の状況では、感染のリスクはゼロではないことは確かです。そのため、新しい猫を家に迎える際には、初めての接触前に病気の確認をきちんと行う必要があります。
猫エイズは必ず発症する?具体的な症状・発症後の余命について
FIVウイルス、すなわち猫エイズの原因となるウイルスは、免疫細胞に感染しますが、初期段階では特に顕著な症状は現れません。
しかしながら、一度発症すると、猫の免疫力は徐々に衰えていきます。免疫力が低下すると、通常は健康な状態では問題を引き起こさない細菌でさえも、体に負担をかけ、病気を引き起こしやすくなります。
これをオポルトゥニスティック感染とも言いますが、その結果、食欲不振、下痢、貧血、口内炎、腫瘍などの症状が現れることがあります。猫エイズによる死は、FIVウイルスの直接的な影響ではなく、これらの伴う症状の進行によって引き起こされます。
ただし、猫エイズの症状は非常に遅く進行するため、感染直後に急に命が危険にさらされることはありません。
猫エイズに対する偏見をなくすために私たちができること
猫エイズは感染してしまうと完治することはないと言われていますが、ウイルスを保持している全ての猫が症状を発症するわけではなく、キャリアであっても一生発症せず、自然な寿命で亡くなる猫もいます。
人も同様ですが、猫エイズ以外にもがんや腎臓病など様々な病気にかかる可能性は常にありますし、それがいつになるかは誰にも分かりません。そう考えれば、猫エイズを持っていても“おなじいのち”に代わりはないと思えるのではないでしょうか。
こうした意識を持ってくださる飼い主さんが増えることで、冒頭でご紹介した認定NPO法人もりねこの活動が実を結んでいくのだと考えます。
お宝エイドでは、物品の寄付を通じて、今回ご紹介した「特定非営利活動法人もりねこ」を始めとしたNPO団体の活動原資として送り届ける活動をしています。あなたの家に眠るお宝を通じてNPOの活動を支援し、大切な命を守り続けていきましょう。
(KOBIT編集部:Fumi.T)
<参考文献>
[1] 岩手日報,「病も個性、保護猫カフェ 盛岡・もりねこ、店舗リニューアル」,available at https://www.iwate-np.co.jp/article/2023/10/9/151517
[2] J-STAGE,「2. ネコ免疫不全ウイルスの感染指向性に関する研究-下島昌幸」,available at https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsv/57/1/57_1_75/_pdf
[3] 一般財団法人 犬猫生活福祉財団,「猫エイズは怖い病気?人にもうつる?キャリア猫との接し方」,available at https://inuneko-fukushi.or.jp/3475/
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