地産地消で注目される伝統野菜。現在抱える課題と発展への取り組み
突然ですが、あなたの生まれた土地に古くから伝わる「伝統野菜」が何かご存知でしょうか。
現在世界的な取り組みが行われているSDGsをはじめ、サステナビリティ(持続可能性)には必要不可欠な「食」において、今、日本各地の伝統野菜が注目されています。
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日本の食卓を支えてきた「伝統野菜」とは
伝統野菜とは、日本で古くからその土地土地で栽培した野菜から種を採取して、それを繰り返し栽培し続けて現在まで受け継がれてきた在来種・固定種の野菜のこと言います[1]。
全国のスーパーに並ぶ野菜とは違い、形や大きさが揃いにくいことから、大量生産には不向きで、各地域のスーパーや道の駅など地産地消のコーナーに並ぶような野菜がほとんどです。
伝統野菜の衰退は持続可能な社会にとって大きな痛手
現在でこそ「伝統野菜」と呼ばれていますが、かつては毎日の食卓に当たり前のように上っていた野菜たち。
しかしながら、時代とともに形や大きさが均一で、育てやすい野菜が生産者も消費者にも求められるようになり、人為的にかけ合わされたF1種というものが普及して市場に出回るようになりました。
その結果、商品としては育てにくい伝統野菜を作る農家は年々減ってしまっています。
伝統野菜の中には栽培方法が確立されていないものが多く、収穫量を増やしたり、後世に継承していくことが難しいため、このままではいずれ消えてしまうと言われています。
それも自然淘汰と言ってしまえばそれまでですが、合理的に見えるF1種にも実は課題が残されています。
F1種は伝統野菜のように種子を受け継いで栽培するものではなく、一世代に限って安定した形と収穫量が得られるものです。そのため、生産者は毎年種子を購入して野菜を栽培しています。
問題なのは、その日本国内で流通している野菜の90%以上のF1種が海外で生産されていることなのです。
つまり、国際情勢によって種や苗の輸入が制限されたり、異常気象や天候不順によって生産がままならない状況になれば、日本国内の店頭から野菜が消えてしまう、そんなリスクがゼロではないということなのです。
またそれ以上に、日本の歴史とともに栽培され受け継がれてきた在来種や固定種が、今ではほとんど私たちの食卓に上らないという現実こそ、今の日本において、そしてこれからの未来において大きな課題と言えるのではないでしょうか。
伝統野菜を受け継ぐために。福島県会津地方で行われている取り組み
日本が培ってきた伝統野菜を未来につなげる取り組みの一例として、福島県会津地方では、地元の中学校や高校と連携して、伝統野菜づくりを教えています[2]。
- 会津丸茄子(あいづまるなす)
- 会津小菊南瓜(あいづこぎくかぼちゃ)
- 余蒔胡瓜(よどききゅうり)
- 慶徳玉葱(けいとくたまねぎ)
- 立川牛蒡(たちかわごぼう)
会津地方では、このような伝統野菜が作られてきましたが、これらの栽培方法を記した「会津農書」という農業技術書が残されています[3]。
江戸時代中期に佐瀬与次右衛門が著したこの本は、純然たる農書としては日本最古のものとされ、現代の農業にもつながる不朽の名著とも言われています。
この「会津農書」を教科書に現代の子どもたちが伝統野菜を作り、種の保存と後世へ継承していくこと、こうした取り組みが全国的に広まることで、サステナブルな食生活が実現していくのではないでしょうか。
日本の伝統に目を向け持続可能な社会を考える
世界の主要先進国の中では食料自給率が低いと言われる日本。食料自給率が上がらない理由として、農業そのものの衰退が大きな要因の1つとなっています。
高齢化によって農業生産者は減少している一方で、新たな担い手が増えない現状。その架け橋となるのが種子を継承し続ける日本の伝統野菜なのではないでしょうか。
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※もし、ご支援される際に「譲渡所得税」や「寄付金控除」についてご心配の場合は、ご支援される団体様までお問い合わせください。 お宝エイドでは、さまざまな社会課題の解決へのチャレンジするNPOやNGOといった非営利団体とパートナーシップを組み、物品寄付型ファンドレジングプログラム『お宝エイド』事業を展開しています。
<参考文献>
[1] 日本の伝統野菜-海の食育プロジェクト・和食プロジェクト
[2] 栽培方法が確立されていない野菜も!?地域の農家と子どもたちが一緒に取り組む「伝統野菜」づくり|SDGsリポート|Chu! PRESS|福島中央テレビ
[3] 会津農書 – 国立国会図書館デジタルコレクション
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