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端午節とは?由来や日本の端午の節句との違い、龍舟・粽に込められた意味を解説

端午節とは旧暦5月5日に行われる伝統行事

端午節(たんごせつ)は、中国を中心に東アジアの各地域で受け継がれてきた伝統行事です。

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原則として旧暦の5月5日に行われ、中国語では「端午节」や「端阳节」などと呼ばれます。

現在の太陽暦では日付が毎年変わるため、日本の祝日である5月5日の「こどもの日」と必ずしも同じ日にはなりません。

中国では、春節や中秋節などと並ぶ重要な節日の一つです。

家族で粽を食べたり、龍をかたどった舟による龍舟競漕を観覧したりして過ごします。

ただし、端午節は単なる祝祭や競技の日ではありません。

暑さが本格化する時期に災厄や病気を遠ざけること、家族の健康を願うこと、歴史上の人物を追悼することなど、さまざまな意味が重なっています。

2009年には、中国の端午節がユネスコの無形文化遺産に登録されました。

行事そのものだけでなく、粽作りや龍舟競漕、刺繍品、薬草を用いた習慣なども含め、地域の人々によって受け継がれてきた文化として評価されています。

「端午」という言葉の意味

「端」には初めや始まり、「午」には十二支を用いて月日を表す意味があります。

古くは月の最初の午の日を「端午」と呼んだとされます。

その後、「午」と数字の「五」の音が結び付き、5が重なる旧暦5月5日の行事として定着していきました。

旧暦5月は、気温や湿度が上がり、病気や害虫が増えやすい季節でもあります。

古代の人々にとっては体調を崩しやすい注意すべき時期であり、端午節には健康祈願や厄除けの性格が色濃く残りました。

端午節の由来は一つではない

端午節の由来として特に有名なのが、古代中国の政治家・詩人である屈原の伝説です。

しかし、端午節に含まれるすべての風習が屈原だけに由来するとは限りません。

季節の変わり目に行われた厄除け、水辺に暮らす人々の龍信仰、各地の人物伝承などが、長い年月をかけて結び付いたと考えられています。

屈原を追悼する行事という伝説

屈原は、中国の戦国時代に楚に仕えた人物です。

国を思う忠臣であり、『楚辞』を代表する詩人としても知られています。

伝承によると、屈原は国の将来を憂い、旧暦5月5日に汨羅江へ身を投じました。

屈原を慕う人々は舟を出して捜し、魚や水中の生き物がその体を傷つけないよう、米を川へ投げ入れたといわれます。

この物語が、龍舟競漕と粽の由来として広く語り継がれてきました。

もっとも、舟を使った祭りや葉で米を包む食文化は、屈原の伝説が成立する以前から存在した可能性があります。

そのため、屈原の物語は端午節を象徴する大切な伝承である一方、行事の起源を説明する唯一の史実として捉えないことも重要です。

伍子胥や曹娥をしのぶ地域もある

端午節に追悼される人物は地域によって異なります。

中国江南地方の一部では、呉の忠臣として知られる伍子胥と結び付けられています。

また、浙江省周辺には、川で行方不明になった父を捜した孝女・曹娥をしのぶ伝承があります。

こうした違いは、端午節が広い地域へ伝わる過程で、それぞれの土地に残る水辺の信仰や英雄の物語を取り込んだことを示しています。

由来が一つに決められない点も、長い歴史を持つ民俗行事ならではの特徴です。

夏の厄除けと龍信仰

端午節には、菖蒲や艾草など香りの強い植物を戸口に飾る習慣があります。

これは病気、害虫、災いを遠ざけるためのものです。

衛生環境や医学が現代ほど整っていなかった時代において、薬草を生活に取り入れる行為は、季節を安全に乗り切ろうとする知恵でもありました。

龍舟競漕については、中国南方の水辺に暮らした人々による龍信仰との関連も指摘されています。

龍は水や雨をつかさどる存在と考えられ、豊かな水や農作物の実りを願う対象でした。

端午節には、追悼、厄除け、豊作祈願という複数の要素が共存しているのです。

龍舟競漕に込められた意味

龍舟競漕は、龍の姿に装飾した細長い舟を複数人で漕ぎ、速さを競う行事です。

日本では「ドラゴンボートレース」という名前でも知られています。

漕ぎ手は太鼓の音に合わせて櫂を動かし、呼吸をそろえて水面を進みます。

現代ではスポーツとして世界各地で行われていますが、本来は水神への祈りや屈原らへの追悼、地域の安全を願う祭礼としての意味を持ちます。

一艘の舟を動かすためには多くの人の協力が必要であることから、地域共同体の結束を象徴する行事でもあります。

龍の頭や彩色は単なる飾りではない

龍舟の船首には龍の頭、船尾には尾を表す装飾が施されます。

胴体には鱗や雲、水波などが色鮮やかに描かれ、旗や房飾りが取り付けられることもあります。

龍は水、雨、生命力を象徴する霊獣であり、これらの意匠には航行の安全や豊穣への祈りが込められています。

地域によっては、競漕の前に龍の目を描き入れる「点睛」の儀礼が行われます。

目を入れることによって、単なる舟が霊性を持つ龍として目覚めると考えられているのです。

太鼓、櫂、旗も文化を伝える道具

龍舟で使われる太鼓は、漕ぎ手の動きをそろえるための実用品です。

同時に、祭りの開始を告げ、人々を鼓舞する祭礼具でもあります。

櫂、旗、衣装なども含め、それぞれの品には参加した集団や土地の記憶が刻まれています。

古い龍舟の模型や彫刻部材、団体名が書かれた旗などが残っている場合、見た目の華やかさだけが価値ではありません。

いつ、どの地域で、どのような祭礼に用いられたかが分かれば、地域史を伝える資料としての意味が生まれます。

端午節に粽を食べる理由

端午節を代表する食べ物が粽です。

もち米などを竹、葦、笹に似た植物の葉で包み、紐で結んで加熱します。

屈原の体を魚から守るため、人々が米を川へ投げたという伝説と結び付けられ、追悼や供養を象徴する食べ物になりました。

中国の粽は、地域によって形も味もさまざまです。

小豆や棗を入れた甘い粽だけでなく、豚肉、豆、栗、きのこ、塩漬け卵黄などを入れた塩味の粽もあります。

三角形、四角形、細長い形など、包み方にも土地ごとの特色が表れます。

日本の「ちまき」とは味や用途が異なる

日本で端午の節句に食べるちまきには、甘い餅や葛菓子を葉で包んだものが多く見られます。

一方、中国の粽は食事として食べられるものも多く、日本のちまきとは材料や味付けが異なります。

粽を包む葉、紐、蒸し器、竹籠、木型などの道具にも地域性があります。

古い調理道具は、日常生活の中でどのように端午節が祝われてきたのかを伝える生活文化資料になります。

香包や五色の糸に託された健康への願い

端午節では、香包や五色の糸などの小物を身に着ける習慣があります。

いずれも災いを遠ざけ、特に子どもの健康と成長を守る願いを込めたものです。

香包は実用と工芸が一つになった品

香包は、香草や香料を中に入れた小さな布袋です。

衣服や子どもの首元に下げるほか、室内に飾ることもあります。

香りで虫や悪いものを遠ざけるという考えに基づきますが、美しい刺繍、組紐、房飾りが施された装身具でもあります。

虎、魚、蝶、蓮、瓢箪、桃など、香包に表される意匠には意味があります。

虎は魔除けや強さ、魚は豊かさ、桃は長寿、瓢箪は邪気を収めるものとして用いられてきました。

子どものために家族が手作りした香包には、工芸品としての美しさだけでなく、作り手の願いや家族の記憶も宿っています。

五色の糸と五行思想

赤、青または緑、黄、白、黒などの糸を組み合わせ、手首や足首に結ぶ風習もあります。

これらの色は五行思想と関連付けられ、自然界の調和や守護を表すとされています。

古い五色の飾りには、地域独自の結び方や装飾技法が使われていることがあります。

糸だけで作られた素朴な品であっても、土地の風習や染織技術を知る手掛かりになります。

菖蒲や艾草を飾る習慣

端午節には、菖蒲や艾草を束ねて戸口に飾る地域があります。

強い香りを持つ植物で病気や害虫を遠ざけようとしたほか、菖蒲の葉が剣に似ているため、魔除けの象徴とも考えられました。

植物そのものは長期間残りにくいものの、菖蒲や艾草を描いた絵画、版画、陶磁器、染織品は残されています。

こうした品は、当時の端午節の風景や人々の願いを視覚的に伝える資料です。

なお、端午節の古い風習として雄黄酒が知られていますが、雄黄には有害な成分が含まれる可能性があります。

伝承や文学作品に登場するからといって、自己判断で再現して飲用するのは避けましょう。

中国の端午節と日本の端午の節句の違い

中国の端午節と日本の端午の節句は、歴史的なつながりを持ちます。

しかし、現在の行事内容や日付は同じではありません。

中国の端午節は旧暦5月5日を基準とし、龍舟競漕、粽、香包、薬草を用いた厄除けなどが中心です。

一方、日本では新暦5月5日に行われ、国民の祝日である「こどもの日」として、子どもの健やかな成長を祝う性格が強くなっています。

日本では「菖蒲の節句」として定着

端午の行事は中国から日本へ伝わり、宮中行事や日本古来の季節儀礼と結び付きました。

菖蒲や蓬を用いて邪気を払う風習があり、「菖蒲」と武を重んじる「尚武」の音が同じことから、武家社会では男児の成長を願う行事として発展しました。

鎧兜、武者人形、金太郎人形、鯉のぼりなどは、日本で独自に発展した端午の節句の品です。

中国の端午節で一般的な龍舟や香包とは異なりますが、子どもの健康、厄除け、家族の平安を願う点には共通性があります。

鯉のぼりと龍舟では龍との関わり方も異なる

中国の龍舟は、水や雨をつかさどる龍を舟の姿で表したものです。

日本の鯉のぼりは、中国の「登竜門」の故事に由来し、滝を上った鯉が龍になるという伝説を子どもの立身出世に重ねています。

どちらにも龍の文化が関係しますが、一方は水上の祭礼、もう一方は子どもの成長を示す飾りとして発展しました。

品物の形だけでなく、その背景を知ることで、両地域の文化の違いが見えてきます。

端午節にまつわる品物が持つ文化的価値

端午節に関係する古い品には、龍舟の模型、香包、刺繍、祭礼画、版画、旗、太鼓、粽作りの道具などがあります。

これらの価値は、希少性や換金性だけで決まるものではありません。

祭りに使われた品は、地域の信仰、暮らし、工芸技術、人々のつながりを伝える存在です。

家族が子どものために作った香包や、祖父母が祭りで使用した旗などには、市場価格とは異なる記憶の価値があります。

文様や素材から品物の背景を読み取る

香包や刺繍品を見る際は、虎や魚などの文様、吉祥文字、布の種類、刺繍技法、糸の色などに注目してみましょう。

龍舟模型であれば、龍の造形、彩色、旗に書かれた文字、底部の銘などが手掛かりになります。

手仕事で作られた品は、形や縫い目が均一でない場合があります。

しかし、その不均一さが直ちに欠点になるわけではありません。

作り手や使用地域が分かれば、手作業の特徴そのものが品物の来歴を示す情報になります。

箱や写真も品物の一部として残す

古い箱、包み紙、説明書、祭りの写真、購入時の記録などは、品物の由来を裏付けます。

傷んでいるように見えても、品物と切り離して処分しないことが大切です。

所有者や家族から聞いた話も記録しておきましょう。

「いつごろ入手したか」「どの地域の祭りで使ったか」「誰が作ったか」といった情報は、時間がたつと失われやすいものです。

写真と一緒にメモを残せば、次の持ち主や研究者にも背景を伝えられます。

古い香包や龍舟模型を長く残す保存方法

端午節の品には、布、紙、糸、木、竹、顔料など、湿気や光に弱い素材が多く使われています。

文化的な価値を次世代へつなぐためには、無理にきれいにするより、現在の状態を安定させることが重要です。

香包や刺繍品は自己判断で洗わない

古い香包や刺繍品は、水洗いによって染料がにじんだり、布が縮んだりすることがあります。

香料や植物が入ったままの場合は、虫害や変色が生じる可能性もあるため、定期的に状態を確認してください。

強く押しつぶさず、素材に適した薄紙などで包み、直射日光と高温多湿を避けて保管します。

防虫剤を使う場合も、品物に直接触れないよう注意が必要です。

価値や年代が分からない品は、洗浄や補修の前に保存修復の知識を持つ専門家へ相談すると安心です。

龍舟模型は底部を支えて持つ

龍舟模型の角、ひげ、旗竿、櫂などは折れやすい部分です。

移動するときは装飾をつかまず、底部を両手で支えます。

彩色が浮いている場合は、乾いた布でこするだけでも剥がれることがあるため、強い清掃は避けましょう。

室内に飾る際は、日光による退色、空調の風、落下、地震などにも配慮します。

透明なケースを利用すると、ほこりや接触から守りながら鑑賞できます。

端午節の品を現代に生かす方法

古い祭礼具や工芸品は、再び祭りで使うことだけが利活用ではありません。

由来を添えて室内に飾る、写真と記録をデジタル化する、家族に背景を伝える、地域の資料館へ相談するといった方法があります。

手放す場合も、全体、細部、銘、付属品を撮影し、分かる範囲で情報を残しておくことが大切です。

無理な補修や洗浄を行わず、箱や古写真と一緒に次の持ち主へ渡せば、品物が持つ物語も引き継ぎやすくなります。

端午節にまつわる品をインテリアとして楽しむ際には、本来の意味にも目を向けたいところです。

香包は健康への願い、龍舟は水への祈りと共同体の結束、五色の糸は守護と調和を表します。

文化的背景を尊重して飾ることで、単なる装飾品とは異なる魅力を感じられるでしょう。

まとめ|端午節の品々には人々の願いが受け継がれている

端午節は、旧暦5月5日に行われる中国の代表的な伝統行事です。

屈原を追悼する伝説が広く知られていますが、季節の厄除け、龍信仰、水神への祈り、地域ごとの人物伝承など、多様な要素を含んでいます。

龍舟、粽、香包、五色の糸、菖蒲や艾草には、病気や災いを遠ざけ、家族の健康と平安を願う気持ちが表れています。

日本の端午の節句とは共通する源流を持ちながら、中国では龍舟競漕、日本では五月人形や鯉のぼりが発展するなど、それぞれ異なる文化として定着しました。

関連する古い品を所有している場合は、見た目や価格だけで判断せず、素材、文様、用途、制作地域、使われた行事を確認してみましょう。

一つの香包や舟の模型が、家族の歴史や地域の祭礼文化を伝える大切な資料である可能性があります。

由来を記録し、適切に保存して次の世代へつなぐことも、端午節の文化を受け継ぐ方法の一つです。

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KOBIT編集部:Fumi.T)

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