若かりし頃に購入したスイス製金インゴット(ゴールド)の売却は難しい?
若い頃に資産運用の一環として、スイス製の金インゴット(ゴールド)を購入された方は少なくありません。特に1980年代は「金=安定した資産」という考え方が広がり、多くの日本人が海外で金を買い求めました。
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時を経て今は高齢期を迎え、人生の整理を意識する中で「当時の金をそろそろ現金化した方が良いのでは」と思う方も増えています。
しかし、近年は「海外インゴットは買い取ってもらえないことがある」という話題も増えてきました。
本記事では、そんなスイス銀行の金インゴットの現在の価値を知り、海外インゴットの売却が難しくなっている背景を見ていきながら、長く大切に保管してきた資産の今後を一緒に考えていきたいと思います。
【補足】インゴット(ingot)とは、金やプラチナなど貴金属を鋳型に流し込み、一定の形状に固めた塊のことを指します。本記事のテーマである金インゴットは、「金の延べ棒」「金の延べ板」「金塊」「ゴールド」「GOLD」などと表現されることがあります。
スイス銀行(スイスバンク)の金インゴットの現在の価値
スイス銀行(スイスバンク)の名で知られる金融機関が発行している金インゴットは、日本でも「国際的に信用できる資産」として、1980年代に大きな人気を集めました。
当時は金の価格が1グラムあたり数千円程度で推移しており、将来的な資産として購入した方も多かったのではないでしょうか。
現在の金価格は世界的なインフレ懸念や地政学的リスクの影響で高騰し、2025年10月執筆時点では、国内小売価格で1gあたり21,000円を超える水準に達しました[1]。
つまり、当時購入したインゴットを今日売却すれば、数倍からそれ以上の価値になっている長期にわたって保有してきたことで、結果的に大きな含み益を得ている方も少なくありません。
ただし「高騰しているからすぐに売却すれば良い」と単純には言えないのが現実とお考えの方も多いと思います。
特にスイス銀行(スイスバンク)の金インゴットをはじめ、海外製インゴットの売却にあたっては、税務上の取り扱い[2]や、国内発行の金と比べて金地金の買取を扱うところで買い取ってもらえるかといった売却へのハードルが高いという問題があります。
海外インゴットが「買取不可」になるケースが増えているのはなぜ?
近年、外国製の金インゴットを持ち込んでも、買取業者から断られる事例が少しずつ増えています。
その背景には、いくつかの社会的な事情と法制度の変化が関係しています。
第一に挙げられるのは、密輸や消費税を逃れる不正取引の増加です。
日本では金の輸入に際し消費税が課税されますが、これを免れる目的で海外から不正に持ち込むケースが後を絶ちません。
財務省も2017年に「ストップ金密輸」緊急対策を策定し注意喚起を強めていきました[3]。
実際に、税関での摘発件数は年々増加し、2022年には金塊計約244キロが密輸される事件が発生するなど社会問題として大きく取り上げられてきました[4][5]。
また、正規のルートを経ていない金は「出所が不明」と判断され、真贋の確認や法的な適格性を証明できない場合があります。
こうした状況では、万が一業者が買い取って市場に流通させてしまうと、法的な責任を問われる可能性があるため、取扱い自体を避ける傾向が強まっています。
さらに、近年は国内外問わず偽造されたインゴットも出回っており、本物と見分けがつかない精巧な偽物も存在するため、業者としては大きなリスクを負うことになります。
こうした背景から、スイス製金インゴットを始め、外国製インゴットは信頼性確認のハードルが高いとされ、結果的に買取を断られる事例が増えてきています。
手持ちのスイス製金インゴットを手放す際は慎重に
ここまで見てきたように、海外インゴットの売却には特有のリスクや取引制限があります。
特にスイス製インゴットのように数十年前に購入したものは、証明書や流通経路が不明確になっている場合も多く、安易に売却を進めると後々思わぬトラブルにつながる恐れがあります。
価値ある資産を安全に手放すためには、適切な事前準備を行うことが大切です。
真贋判定(蛍光X線分析装置など)を受ける
最も重要なステップとしては、あなたがお持ちの金インゴット(ゴールド)の真贋の確認です。
金インゴットは外観だけでは本物か偽物かを判別することが難しいことから、特にあなたがお持ちのような数十年前に購入した金インゴットが本物であるかを証明することが必要です。
真贋確認の代表的な方法として用いられるのが蛍光X線分析装置による検査で、内部の成分比率を非破壊で調べることができます。
信頼できる地金商や鑑定機関で検査を依頼することで、売却等を検討する際の信頼性を示す材料となりえます。
もし偽物や刻印の不一致が見つかった場合には、大変残念ではありますが、その時点で不正流通を防ぐことができ、後々の法的リスクを回避することにもつながります。
税理士や会計士に相談して税務処理を確認する
もう1点は税務上の取り扱いです。
金の売却によって得られた利益は「譲渡所得」として課税対象となります[2]。
長期保有していた場合の取り扱いや売却金額によって税務処理方法も異なってきますので、資産整理を円滑に進めるためには、売却前にこうした準備をしっかりと行うことが、最終的にトラブルを防ぎ、安心感を得るための近道となります。
「若かりし頃に購入したスイス製金インゴット(ゴールド)の売却は難しい?」のまとめ
このようにスイス製の金インゴット(ゴールド)を始め、密輸や偽造品の問題、税務処理の複雑さなどから、昨今容易に手放すことが難しくなってきています。
こうした背景も重なり、近年では金インゴット(ゴールド)を自治体へ匿名寄付する事例も増えてきています。
お宝エイド参考記事:金インゴット(ゴールド)の匿名寄付を金売却にかかる税金を背景に考える
こうした選択も1つかもしれませんが、まずは大切に守ってきた資産を安全に次の形へとつなげるための行動が必要と言えるのではないでしょうか。
お宝エイドでは、金インゴット(ゴールド)などの貴金属をはじめ、物品寄付を通じてNPO団体の活動支援を行う取り組みをしています。
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(KOBIT編集部:Fumi.T)
<参考文献>
[1]三菱マテリアル,「金価格推移」,available at https://gold.mmc.co.jp/market/gold-price/#gold_month
[2]国税庁,「No.3161 金地金の譲渡による所得」,available at https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3161.htm?utm_source=chatgpt.com
[3]財務省,『「ストップ金密輸」緊急対策 』,available at https://www.customs.go.jp/mizugiwa/gold/20171107_gold01.pdf
[4]財務省関税局,「金密輸の取締強化について」,available at https://www.customs.go.jp/mizugiwa/gold/reinforce.htm
[5]日本経済新聞,「押収金塊244キロ売却へ 名古屋税関、過去最重量」,available at https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE039V30T00C22A2000000/
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