身の回りにあるユニバーサルデザインの実例とその工夫
ユニバーサルデザインとは何か
私たちの周囲には、年齢や身体的条件にかかわらず、誰もが使いやすいように工夫されたモノが数多くあります。
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これらはすべて「ユニバーサルデザイン(Universal Design)」という考え方から生まれたものです。
もともとは1990年代にアメリカの建築家ロナルド・メイスによって提唱され、「すべての人のためのデザイン」という理念を掲げています。
障がいを持つ人のためだけでなく、子どもや高齢者、一時的にけがをしている人など、さまざまな立場の人々が快適に暮らせる環境づくりを目指しており、社会的な包摂を実現する重要な要素でもあります。
よく混同されがちな言葉に「バリアフリーデザイン」がありますが、これはすでに存在する障壁を取り除くことを目的としているのに対し、ユニバーサルデザインは最初から誰もが使いやすい構造を想定して設計されます。
そのため、バリアフリーが“対症療法”であるのに対し、ユニバーサルデザインは“予防的”アプローチとも言えます。
身の回りで見かけるユニバーサルデザインの具体例
公共空間における工夫
駅や商業施設、図書館などの公共空間には、ユニバーサルデザインが至るところに採用されています。
たとえば、エレベーターのボタンは誰でも押しやすいように大きめに設計され、車椅子利用者や子どもでも届く高さに配置されています。
また、点字や音声案内が組み合わされていることで、視覚や聴覚に制限のある人でも安心して利用できるよう配慮されています。
さらに、案内表示に使われるフォントや色彩にも工夫があります。
コントラスト比を高めることで視認性を向上させ、外国人や色覚に個性を持つ人にもわかりやすいデザインが定着しつつあります。
最近では、触覚やデジタル技術を組み合わせ、スマートフォンで情報を読み取れる「多言語・多感覚対応サイン」も少しずつ広がっています。
家庭で見つけるユニバーサルデザイン
キッチン・家電に潜む工夫
私たちの身の回り、特に家庭の中にもユニバーサルデザインの工夫が数多く見られます。
たとえば電気ポットや電子レンジ、リモコンなどは、高齢者の方でも視認しやすい大きなボタンや、操作を直感的に理解できるアイコンが採用されています。
また、持ち手部分に滑りにくい素材を使ったカップ、軽量で力を入れなくても開け閉めできるドアノブやペットボトルのキャップなども良い例です。
住宅では、段差の少ない設計や引き戸の採用、照明のスイッチを低めに配置するなど、日常の中で誰もが安全に行動できる工夫が見られます。
これらは単に便利というだけでなく、家族全員の安心と自立を支えるための配慮でもあります。
つまり、ユニバーサルデザインは“特定の人だけのための特別なデザイン”ではなく、“みんなのためのあたりまえのデザイン”なのです。
デザインの“思いやり”が生む価値
ユニバーサルデザインが優れているのは、単に「便利だから」ではありません。
その根底にあるのは「思いやり」の精神です。
たとえば、視覚に制限のある人のためのエレベーターの点字表示は、健常者には不要に見えるかもしれません。
しかしそれがあることによって利用者の安心感が生まれ、社会全体がより包み込む場所になります。
こうした思いやりの積み重ねこそが、モノの本当の価値を高めているのです。
また、こうした設計は結果的に長く使えるモノづくりへとつながります。
老若男女を問わず使えるモノは、買い替えのサイクルも緩やかになり、リユースや修理が前提となる文化を育みます。
耐久性のあるデザイン、修理しやすい構造、再利用可能な素材など、ユニバーサルデザインは持続可能な社会にも寄与するのです。
消費から共生へ ― これからのモノとの向き合い方
ユニバーサルデザインは、単なる設計概念を超えて、社会の姿勢や価値観を映す鏡でもあります。
便利さや流行だけを追い求める消費中心の社会から、共に生きることを前提とした共生社会へとシフトするための鍵を握っています。
誰にでも使いやすい製品や空間が増えていくことは、「不自由をなくす」という段階から「多様性を認め合う」段階へと進化している証拠です。
そして、その考え方はリユースやリサイクルの分野にも通じています。
長く使えるモノ、修理可能なモノは、結果的に廃棄を減らし、環境負担を下げることにつながります。
つまり、ユニバーサルデザインを意識したモノづくりは、人にも地球にもやさしい“循環型のデザイン”でもあるのです。
終わりに
私たちが何気なく使っている日用品の中には、たくさんのユニバーサルデザインのアイデアが隠れています。
それを意識して見つけてみることで、モノづくりの奥深さやデザインの背景にある「思いやり」に気づくことができます。
モノの価値とは、価格や希少性だけでなく、どれだけ多くの人にやさしく寄り添えるかという点に宿るのではないでしょうか。
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(KOBIT編集部)
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