避難場所と避難所の違いとは?役割・利用するタイミング・防災用品の備え方を解説
「避難場所」と「避難所」は、どちらも災害時に利用する場所ですが、目的や利用するタイミングが異なります。
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簡単にいえば、避難場所は災害の危険から命を守るために逃げる場所、避難所は自宅で生活できない人が一時的に暮らす施設です。
ただし、同じ施設が両方の役割を兼ねる場合や、災害の種類によって利用できる場所が変わる場合もあります。
単に自宅から近い施設を覚えるだけでは、適切な避難先を選べない可能性があるため注意が必要です。
この記事では、避難場所と避難所の違いをはじめ、法律上の位置付け、災害別の選び方、避難時の持ち物について解説します。
身近にあるバッグや衣類などを防災用に活用する方法も紹介するので、日頃の備えを見直す際に役立ててください。
避難場所と避難所の違い
避難場所と避難所の主な違いは、利用する目的です。
避難場所は差し迫った危険から逃れるために利用し、避難所は自宅へ戻れない人が一定期間滞在するために利用します。
| 比較項目 | 避難場所 | 避難所 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 災害の危険から命を守る | 自宅で生活できない人を受け入れる |
| 利用する時期 | 災害が発生する前後の緊急時 | 自宅の安全を確保できない期間 |
| 滞在期間 | 原則として一時的 | 数日から一定期間に及ぶ場合がある |
| 主な例 | 高台、公園、広場、校庭、津波避難タワー | 学校の体育館、公民館、地域センター |
| 生活物資 | 必ずしも備蓄されていない | 水、食料、毛布などが提供される場合がある |
| 災害ごとの違い | 対応する災害の種類が指定される | 施設と周辺の安全を確認して開設される |
ここで注意したいのは、必ず避難場所を経由してから避難所へ移動するわけではないことです。
自宅が損壊しているものの、周辺に津波や火災などの差し迫った危険がない場合には、開設された避難所へ直接向かうことがあります。
一方、津波が迫っているときは、避難所の開設を待ってはいけません。
指定された高台や津波避難ビルなど、その時点で安全を確保しやすい場所へ直ちに移動する必要があります。
避難場所は命を守るために緊急避難する場所
一般に避難場所と呼ばれるのは、津波、洪水、土砂災害、大規模火災などから一時的に身を守る場所です。
高台や公園、学校のグラウンド、広い空き地、頑丈な建物などが指定されます。
避難場所は生活するための施設とは限りません。
屋外の広場であれば、屋根、トイレ、寝具、食料などが用意されていないこともあります。
あくまで、目前に迫った危険から命を守ることが主な目的です。
また、避難場所ならどのような災害にも対応できるとは限りません。
例えば、地震や大規模火災に対応する公園であっても、洪水時には浸水する可能性があります。
避難先を確認するときは、場所だけでなく、どの災害に対応しているかを見ることが大切です。
避難所は自宅で暮らせない人が滞在する施設
避難所は、住宅の倒壊や浸水、火災、ライフラインの停止などにより、自宅で生活できなくなった人を受け入れる施設です。
学校の体育館、公民館、地域センターなどが使われます。
開設された避難所では、水や食料、毛布などの配布、災害情報の提供、安否確認といった支援が行われる場合があります。
しかし、発災直後から十分な物資がそろうとは限りません。
避難者が集中すれば、水、食料、衛生用品などが不足することも考えられます。
避難所はホテルのように生活用品やサービスがすべて用意された場所ではありません。
安全に持ち出せる状況であれば、飲料水、携帯食、常備薬、携帯トイレ、モバイルバッテリーなどを持参することが基本です。
なお、指定されている避難所が常に開いているわけではありません。
施設や周辺地域が被災して危険な場合には、開設されなかったり、別の施設へ案内されたりすることがあります。
自治体のウェブサイト、防災アプリ、防災行政無線、テレビ、ラジオなどから最新情報を確認しましょう。
法律上の指定緊急避難場所と指定避難所
日常的には避難場所、避難所という表現が使われますが、災害対策基本法では「指定緊急避難場所」と「指定避難所」が定められています。
指定緊急避難場所とは
指定緊急避難場所は、災害の危険から緊急的に逃れるため、市町村が指定する場所です。
洪水、崖崩れ・土石流・地滑り、高潮、地震、津波、大規模火災など、災害の種類ごとに安全性が判断されます。
そのため、一つの指定緊急避難場所がすべての災害に対応しているとは限りません。
標識やハザードマップを見て、災害種別を示す図記号も確認する必要があります。
指定避難所とは
指定避難所は、災害の危険性があり避難した住民や、災害によって自宅へ戻れなくなった住民などを必要な期間受け入れる施設です。
避難生活の場であると同時に、物資や情報を受け取る地域の支援拠点になることもあります。
一つの施設が両方を兼ねることもある
学校や公民館などが、指定緊急避難場所と指定避難所の両方に指定されている場合もあります。
ただし、学校の校庭が緊急避難場所、体育館が避難所というように、同じ敷地でも使用する場所や目的が分かれていることがあります。
自治体によって名称や運用方法が異なる場合もあるため、名称だけで役割を判断せず、地域の防災マップや案内を確認してください。
避難に関係する場所・施設の種類
避難に関する施設には、指定緊急避難場所と指定避難所以外にも複数の種類があります。
一時避難場所・一時集合場所
地域住民が一時的に集まり、安否確認や避難の準備をする場所です。
近隣の公園、広場、学校などが使われることがあります。
ただし、自治体や地域の自主防災組織によって呼び方や役割が異なります。
一時避難場所という名称であっても、法律上の指定緊急避難場所に該当するとは限りません。
広域避難場所
広域避難場所は、大規模な延焼火災などから多数の住民を守ることを目的とした広い場所です。
大規模な公園、緑地、競技場などが指定されることがあります。
基本的には火災の熱や煙から一時的に身を守る場所であり、宿泊を伴う避難生活を目的とした施設ではありません。
福祉避難所
福祉避難所は、高齢者、障害のある人、妊産婦、乳幼児など、一般の避難所で生活することが難しい人に配慮した施設です。
利用方法は自治体によって異なり、災害発生直後から誰でも直接入れるとは限りません。
まず一般の避難所などへ避難し、自治体が本人の状態や施設の受け入れ状況を確認したうえで移動を調整する場合があります。
支援を必要とする家族がいる場合は、平常時に自治体の窓口へ相談しておくと安心です。
災害の種類に応じた避難先の選び方
安全な避難先は、災害の種類や発生状況によって変わります。
「最寄りの施設だから」という理由だけで決めず、それぞれの危険に適した場所を選びましょう。
地震の場合
まずは机の下に入るなどして、落下物や転倒物から身を守ります。
揺れが収まった後、建物の損傷、火災、津波の危険などを確認してください。
自宅が安全で、周辺に火災や津波などの危険がなく、生活を継続できる場合は、在宅避難も選択肢です。
避難所へ行くことだけが避難ではありません。
ただし、建物に大きなひび割れや傾きがある場合や、行政から避難の呼びかけがある場合には、安全な場所へ移動します。
津波の場合
強い揺れや長く続く揺れを感じたとき、津波警報などが発表されたときは、海や川から離れて高い場所へ避難します。
避難所の開設や周囲の人の行動を待たず、直ちに動くことが重要です。
近くに高台がなければ、指定された津波避難ビルや頑丈な建物の高い階を目指します。
一度避難した後は、警報や避難指示が解除されるまで海岸付近へ戻ってはいけません。
洪水・内水氾濫の場合
河川の増水や大雨が予想される場合は、道路が冠水する前に避難を始めます。
川、用水路、アンダーパスなどには近づかないでください。
すでに周囲が浸水しており、屋外へ移動する方が危険な場合には、自宅や近隣の頑丈な建物の上階へ移動する垂直避難が安全につながることもあります。
ただし、建物が家屋倒壊等氾濫想定区域にある場合など、垂直避難では安全を確保できないケースもあるため、事前にハザードマップを確認することが重要です。
土砂災害の場合
崖、急斜面、渓流から離れた場所へ避難します。
避難所そのものが土砂災害警戒区域内にないか、避難経路が危険な場所を通らないかも確認しましょう。
小石が落ちてくる、斜面から水が湧き出す、地鳴りがするといった異変は、土砂災害の前兆である可能性があります。
異常を感じたら、行政からの情報を確認するとともに、危険が迫っている場合は早めに安全を確保してください。
避難場所と避難所を調べる方法
自治体のハザードマップを見る
自治体が配布する紙のハザードマップやウェブ版ハザードマップでは、指定緊急避難場所、指定避難所、浸水想定区域、土砂災害警戒区域などを確認できます。
自宅だけでなく、勤務先、学校、よく利用する店舗の周辺も調べましょう。
災害時に家族が別々の場所にいることを想定し、それぞれの避難先と連絡方法を決めておくことが大切です。
避難経路を実際に歩く
地図上では近く見える場所でも、途中に急坂、狭い道、ブロック塀、河川などがあるかもしれません。
実際に歩き、安全に通行できるか確認しましょう。
夜間や停電時、大雨時には普段と状況が変わります。
メインの経路が使えない場合に備え、複数のルートを考えておくと安心です。
高齢者、子ども、ペットと一緒に移動する場合は、歩く速度や必要な支援も考慮してください。
避難時に持ち出したい防災用品
避難するときは、両手を使えるリュックなどに必要最低限の用品をまとめます。
荷物が重すぎると避難が遅れるため、無理なく背負って歩ける量に調整してください。
主な非常持ち出し品は次のとおりです。
- 飲料水と携帯しやすい非常食
- 常備薬、お薬手帳、救急用品
- スマートフォンとモバイルバッテリー
- 懐中電灯と予備の電池
- 携帯ラジオ
- 現金と身分証明書の写し
- マスク、除菌用品、ウェットティッシュ
- 携帯トイレ、生理用品
- タオル、雨具、防寒具
- 軍手、ホイッスル
- 眼鏡、補聴器用電池
乳幼児がいる家庭では、おむつ、ミルク、離乳食なども必要です。
ペットと同行避難する場合は、リード、ケージ、フード、水、排泄用品、予防接種記録などを用意します。
身近なものを防災用品として再活用する方法
防災用品をすべて新品で買いそろえる必要はありません。
使う機会が減ったものでも、状態が良ければ防災用として新しい役割を持たせられます。
使っていないリュックを非常持ち出し袋にする
旅行や通学で使っていたリュックは、非常持ち出し袋として活用できます。
ファスナーが正常に動くか、肩ひもにほつれがないか、防水性が保たれているかを確認してください。
長期間保管する場合でも、定期的に背負って重さを確認します。
家族ごとにリュックを分けておくと、負担を分散できます。
古い衣類やタオルを防災用に回す
動きやすい衣類、防寒着、タオルなども避難時に役立ちます。
タオルは体を拭くだけでなく、応急手当、保温、目隠しなどにも使用可能です。
ただし、著しく傷んだ衣類や吸水性が低下したタオルを無理に残す必要はありません。
使用できる状態かを見極め、必要な量に絞ることが大切です。
懐中電灯やモバイルバッテリーは状態を点検する
以前使っていた電子機器を再活用する場合は、動作確認が欠かせません。
懐中電灯の点灯状態、電池の液漏れ、充電ケーブルの断線などを確認します。
モバイルバッテリーが膨らんでいる、異常に熱くなる、外装が破損しているといった場合は使用を中止してください。
安全性に問題がある製品は、自治体や販売店の回収ルールに従って処分します。
不要品を減らして避難経路を確保する
防災では、物を備えるだけでなく、室内の物を整理することも重要です。
廊下や出入口に置かれた荷物は、地震や停電時に避難を妨げる可能性があります。
使っていない家具、家電、アウトドア用品などを点検し、必要な物と手放す物に分けましょう。
まだ使用できる物は、家族や知人への譲渡、寄付、リユースサービスなどを利用する方法があります。
物の価値を次の持ち主へつなぎながら、家庭内の安全性も高められます。
避難場所・避難所についてよくある質問
避難所へ行けば食料や水を必ず受け取れる?
避難所には備蓄が用意されている場合がありますが、必要な量が直ちに行き渡るとは限りません。
道路の寸断などにより、支援物資の到着が遅れることもあります。
可能な範囲で飲料水、携帯食、薬、衛生用品を持参しましょう。
自宅が無事でも避難所へ行くべき?
自宅と周囲が安全で、生活を続けられる場合には在宅避難も可能です。
一方、建物が無事でも、津波、火災、洪水、土砂災害などの危険が迫っているときは避難しなければなりません。
建物の状態だけでなく、地域全体の危険を確認して判断します。
ペットと一緒に避難できる?
ペットを連れて避難する同行避難と、人とペットが同じ空間で過ごす同伴避難は異なります。
同行避難が可能でも、避難所内では人とペットの生活場所が分けられることがあります。
受け入れ方法は自治体や施設によって異なるため、事前にルールを確認してください。
指定された場所以外へ避難してもよい?
安全を確保できる親戚・知人宅や宿泊施設などへ移動する分散避難も選択肢です。
切迫した状況では、指定施設に固執せず、その時点で最も安全な場所へ避難することを優先します。
まとめ
避難場所は、津波、洪水、土砂災害、火災などの危険から命を守るために緊急避難する場所です。
避難所は、自宅の損壊やライフラインの停止などにより生活を続けられない人が、一定期間滞在する施設です。
ただし、同じ施設が両方を兼ねる場合や、災害の種類によって利用できない場合があります。
自治体のハザードマップで、指定緊急避難場所と指定避難所の位置、対応する災害、避難経路を確認しておきましょう。
防災用品は新品だけでなく、状態の良いリュック、衣類、タオルなども活用できます。
同時に不要品を整理して、玄関や廊下などの避難経路を確保することも大切です。
自宅にある物の価値と役割を見直しながら、実際の災害時に迷わず動ける備えを整えてください。
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