障害者アートとは?注目される一方にある批判や違和感の課題を知る
障がいを抱えている方の芸術作品として「障害者アート」が現在注目を集めています。しかその一方で、アートにおいて健常者と障害者の線引きが果たして必要なのか、といった批判や違和感の声も、認知度の高まりとともに聞こえています。
そこで今回は改めて、障害者アートとは何かを理解したうえで、現在の障害者アートを取り巻く課題とこれからを考えていきたいと思います。
※内閣府発表の検討結果に基づき、人や人の状態を表す場合には「障がい」、用語としての意味を表す場合には「障害」と記載しております[1]。
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障害者アートとは?
「障害者アート」とは、1945年にフランス人画家、ジャン・デュヴュッフェが提唱した「アール・ブリュット」を源流として、日本独特の言葉として広まったとされています。
日本では1990年代後半より、様々な精神障害や知的障害、身体障害を持つ人たちが制作する「障害者アート」の展示が盛んになりました。企業が主導し、国内の多くの美術館やデパートの展示会場で、これらの作品が次々と公開されるようになり、一般の人々が目にする機会が増えていきました。
厚生労働省が障害者の芸術文化活動の推進を目的に平成13年度(2001年)より開催をはじめた「全国障害者芸術・文化祭[2]」によって全国的な支援の枠組みが進み、障害者アートの展覧会や美術展、コンテスト等も実施されるようになりました。
これにより、障害者アートの作品が、海外の美術家や国内外のコレクターたちの間で注目を集めるようになってきました。
障害者アートの注目の裏にある課題
障害者アートの認知が高まったことによって、障がいを持つ方の社会参画の1手段として確立しつつある一方、そもそもアートを健常者と障害者に分けて考えること自体に違和感を覚える方も少なくありません。
また、受け取る側の我々が「障害者」という先入観や固定概念をベースに作品に触れることによって、アートとしての本来の価値が見いだせてないのでは、という声も聞かれます。
これは、そもそも日本における障害者アートが「知的障害者の作品」としての歩みを続けてしまったのが1つの理由と言えるかもしれません。
前述したデュヴュッフェが言う「アール・ブリュット」は、障害者アートを総称していたわけではなく、正規の美術教育を受けていない者などによる作品を指します[3]。日本における障害者アートは福祉という限られたカテゴリーの作品という形になってしまっていることから、純粋なアートとして捉えられにくいのが現状の課題となっています。
アートが架け橋となり支援の輪が広まる
課題も残されている障害者アートですが、近年の注目とともに、多くの人の目に触れる機会が増えていることは、障害者の社会参画の後押しとなっていることは間違いありません。
しかしながら、現在障害者アーティストとして活動している方はごく一部であり、より普遍的な認知として広まるには、もっと多くの障がいを持つ方々が自由に創作活動できる場が必要とされています。
一例として、NPO法人ソーシャルアート市場では、デジタルを架け橋に、アートを通じて障害者と賛同者・協力者をつなげる場を提供しています。
このように障がいを持つ方誰もが自由に創作活動できる場が増えることによって障害者アートという枠を超えていくきっかけになるのではないでしょうか。
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(KOBIT編集部:Fumi.T)
<参考文献>
[1] 内閣府,『「障害」の表記に関する検討結果について – 内閣府』,available at https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_26/pdf/s2.pdf
[2]厚生労働省,「障害者の芸術文化活動」,available at https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/bunka.html
[3]Kumiko Seki,「“Art Brut” and Art of Handicapped: A Consideration in the aspect of “Art,” “Welfare Support,” and “Communication”」,available at https://core.ac.uk/download/pdf/159354102.pdf
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