30by30とは?生物多様性を守る国際目標の意味と注目される背景
30by30(サーティ・バイ・サーティ)とは、2030年までに陸域と海域のそれぞれ少なくとも30%を、健全な生態系として効果的に保全しようとする国際目標です。
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数字だけを見ると、国土や海の30%を立入禁止にする制度のように思えるかもしれません。
しかし、30by30が目指しているのは、単に区域を囲って人の利用を排除することではありません。
生物多様性にとって重要な場所を選び、地域の暮らしや文化にも配慮しながら、長期にわたって適切に管理することが重視されています。
森林や海と縁遠く見える都市生活も、食料、木材、衣類、家具、紙製品、金属など、多くの自然資源によって支えられています。
そのため、30by30は自然保護に携わる人だけでなく、モノを選び、使い、手放す私たち全員に関係する目標です。
この記事では、30by30の意味や成立した背景、日本における取り組み、リユースを含む暮らしとの関係をわかりやすく解説します。
30by30とは何を意味する言葉?
30by30は「サーティ・バイ・サーティ」と読みます。
名称は「2030年までに30%」という期限と数値に由来します。
具体的には、2030年までに陸域、内陸水域、沿岸域、海域の少なくとも30%を、保護地域やその他の効果的な保全手段によって守ることを目指します。
対象には森林や草原だけでなく、河川、湖沼、湿地、干潟、藻場、サンゴ礁、沖合の海域なども含まれます。
ただし、世界中の土地と海を機械的に三割ずつ区切ればよいわけではありません。
30by30では、次のような観点が重視されています。
- 生物多様性や生態系機能にとって重要な場所を含める
- 地域を指定するだけでなく、実際に保全効果が得られるよう管理する
- 森林、河川、海などの生態系のつながりを確保する
- 地域住民や先住民などの権利、文化、暮らしを尊重する
- 保全の状況を継続的に調査し、必要に応じて管理方法を改善する
つまり、30%という面積は重要な目安ですが、面積だけを達成すれば終わりという目標ではありません。
どの場所を、誰が、どのような方法で守り続けるのかという「保全の質」も問われています。
30by30が国際目標になった経緯
30by30は、2022年12月に開催された生物多様性条約第15回締約国会議、通称COP15で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」に盛り込まれています。
同枠組は、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復へ向かわせるための世界的な行動目標を定めたものです。
30by30は、そのうち区域を基盤とした保全について定めるターゲット3に位置づけられています。
国際目標になる以前から、自然環境を守るために保護地域を拡大すべきだという議論は行われていました。
しかし、指定面積を増やすだけでは十分な成果が得られないことも明らかになっています。
書類上は保護地域でも、管理する人材や資金が不足していれば、密猟、違法伐採、外来種の侵入、環境汚染などを防げない場合があるためです。
そこで30by30では、生態学的な代表性、生態系同士のつながり、管理の有効性、公平な統治なども重視されています。
自然だけを見て地域住民を排除するのではなく、その土地と関わってきた人々の権利や知識を尊重することも大切な要素です。
なぜ30by30が必要とされているのか
生物多様性の損失が進んでいるため
生物多様性とは、単に生きものの種類が多いことだけを意味しません。
森林、湿地、海などの「生態系の多様性」、動物や植物などの「種の多様性」、同じ種の中にある「遺伝子の多様性」を含む概念です。
現在は、土地や海の利用変化、生物資源の過剰な採取、気候変動、環境汚染、外来種など、さまざまな要因によって生物多様性が損なわれています。
森林の分断や湿地の減少が起これば、そこを繁殖地、餌場、移動経路としていた生きものにも影響します。
生態系は多くの生きものの関係によって成り立っているため、一部が失われた影響がほかの種へ連鎖することもあります。
一度絶滅した種は取り戻せず、長い時間をかけて形成された生態系も簡単には元に戻せません。
そのため、損失を未然に防ぐ保全と、劣化した自然を回復させる取り組みの両方が必要です。
自然が人間の生活を支えているため
自然は、食料や木材などの資源を供給するだけではありません。
森林による水源涵養、植物や昆虫による受粉、湿地による水質浄化、海や河川から得られる水産物、土壌の形成など、さまざまな働きによって暮らしを支えています。
こうした自然から受ける恩恵は「生態系サービス」と呼ばれます。
生物多様性の劣化は、農林水産業や観光業だけの問題ではありません。
原材料の供給が不安定になれば、製造業や小売業にも影響が及びます。
また、その土地の自然と結びついてきた食文化、伝統工芸、祭り、景観などが失われる可能性もあります。
30by30は、珍しい動植物を守るためだけの取り組みではなく、人間の生活や地域文化、経済活動の基盤を将来へ引き継ぐための目標でもあるのです。
30by30ではどのような場所を守るのか
国立公園などの保護地域
30by30の対象となる代表的な場所が、法律などに基づいて指定される保護地域です。
日本では、国立公園、国定公園、自然環境保全地域、鳥獣保護区などが挙げられます。
保護地域と聞くと、人が入ってはいけない場所を想像しがちですが、区域の目的や区分によって規制内容は異なります。
自然環境を守りながら、観光、環境教育、農林漁業、文化的な利用が行われている地域もあります。
大切なのは、保全対象となる生態系の状態を把握し、過度な開発や利用を避けながら管理することです。
人の利用と自然保護をどのように両立するかは、地域ごとに考える必要があります。
保護地域以外のOECM
30by30では、国立公園のような保護地域だけでなく、OECMも重要な役割を担います。
OECMは「Other Effective area-based Conservation Measures」の略で、日本語では「保護地域以外で生物多様性保全に資する地域」などと説明されます。
法令上の主目的が自然保護ではなくても、適切な管理の結果として生物多様性が長期的に保全されている場所があります。
例えば、企業が管理する森林や緑地、地域住民が手入れする里地里山、社寺林、大学の演習林、都市のビオトープなどです。
ただし、木や草が生えていれば自動的にOECMになるわけではありません。
生物多様性にどのような価値があり、どのように管理され、その効果が将来も続くのかを確認する必要があります。
日本における30by30の取り組み
日本では「30by30ロードマップ」に基づき、既存の保護地域の管理充実や、保護地域以外で生物多様性の保全に貢献している場所の可視化などが進められています。
その一つが、民間の取り組みなどによって生物多様性の保全が図られている区域を認定する自然共生サイトに関する仕組みです。
企業の敷地内にある緑地、地域で管理されている里山、森林、ため池、沿岸域など、さまざまな場所が候補になり得ます。
日本には、農業や林業など人の営みとともに維持されてきた里地里山があります。
こうした場所では、人が一切関わらないことが必ずしも最適な保全方法とは限りません。
草刈り、間伐、水路の管理などが行われなくなると、明るい草地を好む生きものが減るなど、環境が変化することもあります。
人口減少や高齢化によって管理の担い手が不足するなか、地域住民、企業、自治体、研究者、NPOなどが協力し、管理を継続できる体制をつくることが課題です。
30by30について誤解されやすいこと
30%をすべて立入禁止にするわけではない
30by30は、陸や海の30%から人間を締め出す目標ではありません。
地域の自然環境と調和する範囲で、農林漁業、観光、教育、文化的活動などを続けられる場合があります。
一方で、希少種の繁殖地など、利用を厳しく制限する必要がある場所もあります。
どのような活動が認められるかは、保全目的や区域の制度、管理計画によって異なります。
残りの70%を自由に開発してよいわけではない
30%を守れば、残りの70%では環境に配慮しなくてよいという意味でもありません。
生きものは人が引いた境界線の内側だけで暮らしているわけではなく、森林、農地、河川、都市、海を行き来しています。
保全区域の外でも、環境汚染を減らす、過剰な資源利用を見直す、生態系を分断しにくい土地利用を進めるといった取り組みが必要です。
30by30は、社会全体の生産や消費のあり方を変える取り組みと組み合わせることで、より大きな効果を発揮します。
面積を達成するだけでは不十分
生物多様性上の価値を考えずに区域を増やしたり、指定後の管理を行わなかったりすれば、数字を達成しても自然を守ったことにはなりません。
希少種の生息地や渡り鳥の中継地などを適切に含め、生態系同士のつながりを確保する必要があります。
指定後も調査を続け、保全効果が得られているかを確認することが重要です。
30by30とリユースはどう関係する?
30by30は区域を基盤とした自然保全の目標であり、リユースそのものを定めた制度ではありません。
しかし、モノの生産と自然環境は、原材料の採取や土地利用を通じて深くつながっています。
家具には木材や金属、衣類には綿や羊毛、化学繊維、家電には金属や樹脂など、多くの資源が使われています。
原材料の採取や加工の方法によっては、森林の減少、水質汚染、生息地の分断などにつながることがあります。
また、製品が短期間で廃棄されれば、新たな資源を使って代わりの製品を作る機会も増えます。
そこで重要になるのが、一つのモノを長く使う視点です。
手入れや修理をしながら使い続けるほか、自分には不要になったモノを売却、譲渡、寄付することで、次の持ち主へ引き継げる場合があります。
リユースを行えば生物多様性への影響が必ずゼロになるわけではありません。
それでも、まだ使えるモノをすぐに廃棄せず、その価値や機能を生かし続けることは、資源の使い捨てを見直す選択肢になります。
例えば、次のような行動が考えられます。
- 家具や衣類を手入れし、できるだけ長く使う
- 故障した家電をすぐ買い替えず、修理や部品交換が可能か確認する
- 不要品を捨てる前に、買取、譲渡、寄付を検討する
- 中古品や再生品も購入候補に入れる
- 長く使える品質や修理のしやすさを意識して商品を選ぶ
- 再使用できないモノは、地域のルールに従って適正に資源回収へ出す
自然を守ることと、手元のモノを大切にすることは別々の課題に見えます。
しかし、限りある資源を採取し、製品を作り、使用し、廃棄するまでの流れを考えると、両者は循環型社会という大きな枠組みの中でつながっています。
私たちが30by30のためにできること
個人が広大な自然環境を直接管理するのは難しくても、30by30に関係する行動は身近なところから始められます。
まず、自分が住む地域にどのような自然があるかを知ることです。
近隣の公園、河川、海岸、里山、社寺林などについて調べると、身近な場所にも多様な生きものが暮らしていることに気づけます。
自治体や環境省が公開している保護地域、自然共生サイトなどの情報を確認するのも一つの方法です。
自然観察会、清掃活動、里山管理、外来種対策などに参加する場合は、主催者や専門家の指示に従うことが大切です。
善意であっても、生きものを別の場所へ移動させたり、野外に放したりすると、生態系へ悪影響を与える可能性があります。
さらに、日々の買い物では、原材料や生産背景、耐久性、修理のしやすさに目を向けられます。
不要になったモノについても、廃棄を唯一の選択肢とせず、まだ使える価値が残っていないかを考えてみましょう。
まとめ
30by30とは、2030年までに陸域と海域のそれぞれ少なくとも30%を、保護地域やOECMなどによって効果的に保全する国際目標です。
昆明・モントリオール生物多様性枠組のターゲット3に位置づけられ、生物多様性上重要な場所を長期的に守ることを目指しています。
ただ区域を三割確保するのではなく、生態系のつながり、管理の有効性、地域住民の権利や暮らしへの配慮なども欠かせません。
また、残りの区域で持続可能な生産や消費を進めることも必要です。
私たちが日常的に使う家具、衣類、家電なども、自然から得られた資源によって作られています。
モノを長く使い、修理し、不要になったら次の人へ引き継ぐことは、30by30を直接達成する方法ではないものの、資源への負荷を考え、使い捨て型の暮らしを見直す一歩になります。
30by30を遠い場所の自然保護だけの話と捉えず、身近な自然と日々使うモノの両方に目を向けることが、自然の豊かさを将来へ引き継ぐことにつながります。
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(KOBIT編集部:Fumi.T)
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