世界で価値が認められている日本画家・千住博の経歴と代表作
絵画の世界で日本画がお好きな方は、千住博氏(以下、本文では敬称略)の作品を一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。また、彼の作品が好きな方なら過去に1枚は手にしたことがあるかもしれません。
今回はそんな日本画の存在を世界に認知させたと言われる、千住博の画家としての人生と作品価値について紐解いていきたいと思います。
千住博が画家を志したきっかけとは。現在までの輝かしい経歴を紐解く
1958年(昭和33年)1月7日に工学博士の父と教育評論家でエッセイストの母との間に、3兄妹の長男として誕生した千住博。
3人ともに幼い頃からピアノやヴァイオリンなど、音楽に触れ続けた影響から、弟は作曲家の千住明、妹はヴァイオリニストの千住真理子と現在では著名な音楽家として知られています。
一方、千住博は音楽の道ではなく美術の道を選びましたが、そのきっかけは慶應義塾高等学校の2年生の時。美術の担任に勧められて行った日本画のグループ展で「岩絵具(いわえのぐ)」と出逢い、その素晴らしさに魅了されたことで日本画を志すことを決心したと言います。
その後2浪の末に、東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻に入学し、大学院まで卒業しましたが、世間に彼の名が知れるようになったのは、そのおよそ10年後のこと。
1993年に発表した「フラットウォーター」が、後に千住博を象徴する「滝」シリーズのはじまりとなり、当作品はニューヨークの個展で話題となり、ニューヨークの美術誌『ギャラリーガイド』の表紙を飾ることになったのです。
ダイナミックな滝や崖で世界的に知られる千住博の代表作
千住博の作品は、風景をモチーフとしたダイナミックな日本画で知られています。その代表作にはこのようなものがあります。
- 滝(ウォーターフォール)
- 夜半一隅
- 青富士
- 朝の予感
- 満開の瀧桜
- 瀧図
これらに共通する彼のアートの特徴は、生命が凝縮された地球そのものを表現すること。その象徴が、重力に即して上から下に勢いよく流れ落ちる「滝」であると彼は語っています[1]。
この滝をモチーフとした作品は、1990年代にはじまり、65歳となった現在(執筆時点2023年)まで描き続けられていますが、その原動力となっているのは「今このとき」が未来への第一歩という気持ちに他なりません。
そんな現代日本画家の第一人者として走り続ける千住博が残してきた作品価値は年々高くなっていると言われ、原画ともなれば数百万から一千万円にも上り、リトグラフやシルクスクリーンなど、版画作品でも数十万円の買取値がつくことも珍しくありません。
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(KOBIT編集部:Fumi.T)
<参考文献>
[1] 小学館の雑誌『サライ』公式サイト,『【インタビュー】千住 博(画家・63歳)「不完全な人間が不完全な夢を追う。それが芸術であり、人類の歴史なのです」』,available at https://serai.jp/hobby/1050339
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