アフタヌーンティーとは?歴史や基本マナー、三段スタンド・ティーセットの魅力を解説
アフタヌーンティーとは
アフタヌーンティーとは、紅茶とともにサンドイッチ、スコーン、ケーキなどを味わう、イギリス発祥の喫茶習慣です。
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単に午後にお茶を飲むことではなく、美しい食器やテーブルセッティング、同席する人との会話まで含めて楽しむ文化として発展してきました。
現在ではイギリスに限らず、日本のホテルやレストラン、カフェでも広く親しまれています。
旬の果物、花、宝石、物語などをテーマにした企画も多く、伝統的な形式を土台にしながら独自の進化を続けています。
なお、検索時に見かけることがある「Afternoon Tea」は、生活雑貨や飲食店を展開するブランド名として使われる場合もあります。
本記事で扱うのは、紅茶と軽食を楽しむ喫茶文化としてのアフタヌーンティーです。
楽しむ時間帯の目安
伝統的なアフタヌーンティーは、昼食と夕食の間にあたる午後3時から5時頃に楽しまれてきました。
ただし、現代のホテルや飲食店では正午頃から複数の予約枠を設けていることもあります。
夕方以降に提供されるプランもあり、時間だけで厳密に定義されるものではありません。
所要時間は店舗によって異なりますが、おおむね90分から2時間程度が目安です。
紅茶のおかわりや茶葉の変更ができるかどうかも異なるため、予約時に確認しておくと安心です。
アフタヌーンティーが生まれた歴史
ベッドフォード公爵夫人が広めたとされる習慣
アフタヌーンティーの成立は、19世紀のイギリスで暮らした第7代ベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアと結び付けて語られています。
当時の上流階級では夕食の時間が遅くなる傾向があり、昼食から夕食までの間が長く空いていました。
公爵夫人は午後の空腹を満たすため、紅茶とパンや菓子を自室で取るようになり、やがて友人を招いて楽しむようになったとされています。
それが社交の習慣として広まり、現在につながるアフタヌーンティーの形が整っていきました。
もっとも、一人の人物がすべてを作り上げたというより、紅茶の普及や食事時間の変化、客を自宅でもてなす文化など、複数の要因が重なって定着したものと捉えるのが適切です。
紅茶とティーセットが示した豊かさ
かつて茶葉や砂糖は高価な輸入品でした。
薄く美しい磁器のティーカップやティーポットも、誰もが容易に所有できるものではありませんでした。
そのため、上質な紅茶を美しい器で振る舞うことには、客を歓迎すると同時に、家の豊かさや美意識を示す意味もあったのです。
古いティーセットには、当時の陶磁器製造や絵付けの技術、国際交易、生活様式が反映されています。
市場価格の高低だけではなく、時代と文化を伝える生活道具という点にも価値があります。
アフタヌーンティーで提供される食べ物
アフタヌーンティーでは、塩味の軽食、スコーン、甘い菓子を組み合わせるのが基本です。
内容は店や地域によって異なり、必ず同じ品が並ぶわけではありません。
サンドイッチなどのセイボリー
セイボリーとは、甘くない塩味の料理のことです。
代表的なのは、薄切りのパンを使ったキュウリのサンドイッチです。
ほかにも卵、ハム、スモークサーモンなどを挟んだ小ぶりのサンドイッチが提供されます。
現代ではキッシュ、テリーヌ、スープ、ミニバーガーなどが加わることもあります。
甘い菓子の合間に塩味を楽しめるため、全体の味を調える役割も担っています。
スコーンとクロテッドクリーム
スコーンは、アフタヌーンティーを代表する焼き菓子です。
一般的にはクロテッドクリームとジャムを添えて食べます。
クロテッドクリームは、濃厚でなめらかな口当たりを持ち、バターと生クリームの中間のように感じられる乳製品です。
スコーンはナイフで細かく切るのではなく、手で横半分に割り、一口分ずつクリームとジャムを付けて食べる方法がよく知られています。
ただし、崩れやすい場合は無理に手だけで扱う必要はありません。
クリームとジャムのどちらを先に塗るかについては地域差があります。
クリームを先にするデヴォン式と、ジャムを先にするコーンウォール式が有名です。
どちらか一方だけが絶対的な正解というわけではなく、好みや訪れた店のスタイルに合わせて楽しめます。
ケーキやペストリー
上段を華やかに飾るのが、ケーキ、タルト、マカロン、ムース、ゼリーなどのスイーツです。
日本ではイチゴ、桃、ブドウ、栗、抹茶など、季節の食材を主役にしたアフタヌーンティーが特に人気を集めています。
見た目の美しさも魅力ですが、品数が多いため、空腹の状態で急いで食べるよりも、紅茶を挟みながら少しずつ味わうのが向いています。
三段スタンドの意味と食べる順番
三段スタンドは省スペースにも役立つ道具
アフタヌーンティーを象徴する道具が、三段の皿を縦に重ねたティースタンドです。
ケーキスタンドと呼ばれることもあります。
限られたテーブルの上に複数の料理を並べられるうえ、料理を立体的に美しく見せられるのが特徴です。
一般的には、下段にサンドイッチ、中段にスコーン、上段にスイーツを載せます。
ただし、この配置はすべての店に共通する決まりではありません。
スコーンが温かい状態で別皿に提供されたり、セイボリーが上段に置かれたりする場合もあります。
また、三段スタンドがなければアフタヌーンティーではない、というわけでもありません。
二段スタンド、平皿、ワゴン、引き出し付きの箱など、提供方法は多様です。
基本は塩味から甘味へ
食べる順番に迷ったときは、サンドイッチなどのセイボリー、スコーン、スイーツの順に進むと、味の変化を自然に楽しめます。
三段スタンドでは下から上へ進む形になることが多いものの、段の位置より料理の内容で判断するのがよいでしょう。
温かいうちに食べることを勧められた料理がある場合は、基本の順番よりもスタッフの案内を優先します。
一度取った料理をスタンドへ戻さないことも、周囲と気持ちよく楽しむための心遣いです。
初めてでも困らない基本マナー
アフタヌーンティーには一定の作法がありますが、細かな形式に緊張し過ぎる必要はありません。
マナーの目的は、一緒にいる人への配慮と、料理や紅茶を美しく味わうことにあります。
ティーカップとソーサーの持ち方
ダイニングテーブルに座り、カップへ自然に手が届く場合は、ソーサーをテーブルに置いたままカップだけを持ち上げます。
ソファ席で低いテーブルからカップを取る場合や、立って飲む場合には、ソーサーも一緒に持つことがあります。
カップは安定するよう持ち手を扱い、小指は立てません。
小指を立てることが正式な作法だと思われることもありますが、一般的なマナーではありません。
紅茶は静かに混ぜる
砂糖やミルクを入れたら、スプーンをカップの中で勢いよく回すのではなく、手前と奥へ静かに動かします。
カップにスプーンをぶつけて音を立てないようにし、混ぜ終えたスプーンはカップの中に残さずソーサーへ置きます。
紅茶が熱くても、音を立ててすすったり、息を強く吹きかけたりするのは避けます。
少し時間を置き、飲みやすい温度になるのを待ちましょう。
食べ物に合う道具を使う
小さなサンドイッチは手で食べて構いません。
一方、クリームが多いケーキや崩れやすい料理には、ナイフとフォークを使います。
どの道具を使うか迷ったときは、食べやすく、周囲を汚しにくい方法を選ぶのが基本です。
ナプキンは二つ折りにして膝へ置きます。
席を一時的に離れる場合は椅子の上、食事を終えた場合は軽くまとめてテーブルの上へ置くのが一般的です。
ただし、店舗の形式によって対応が異なることもあります。
ハイティーやクリームティーとの違い
ハイティーは夕方の食事に近い
ハイティーは、夕方から夜にかけて紅茶と一緒にパン、肉料理、魚料理、パイなどを食べる、食事性の高い習慣です。
華やかな名称から、アフタヌーンティーの高級版だと思われることがありますが、歴史的には性格が異なります。
名称の「ハイ」は格式の高さを直接表すのではなく、食事に使われた背の高いダイニングテーブルに由来するという説明が広く知られています。
現代の日本では、夕方以降のアフタヌーンティープランをハイティーと呼ぶ店もあるため、予約時には内容を確認しましょう。
クリームティーは紅茶とスコーンのセット
クリームティーは、紅茶、スコーン、クロテッドクリーム、ジャムを組み合わせた比較的簡素なセットです。
「クリーム」という名称はスコーンに添えるクロテッドクリームを指すもので、紅茶の中にクリームを入れるという意味ではありません。
品数が少なく、アフタヌーンティーより短い時間で気軽に楽しみやすいのが魅力です。
アフタヌーンティーを彩るティーセット
ティーカップ&ソーサー
紅茶用のカップには、香りや紅茶の色を楽しみやすい、口が広く浅めの形が多く見られます。
素材には磁器、ボーンチャイナ、陶器などがあり、薄さ、重さ、口当たり、保温性に違いがあります。
花柄や金彩、手描きの絵付け、立体的なレリーフなどには、メーカーや製造された時代の特徴が表れます。
ブランド名や換金価値だけを見るのではなく、器の形、装飾、手触り、使われてきた背景に目を向けると、一客のカップにも固有の魅力が見つかります。
ティーポットと周辺の道具
ティーポットは紅茶を抽出し、複数人に提供するための中心的な道具です。
ティーセットには、カップ&ソーサーのほか、ミルクジャグ、シュガーボウル、ケーキプレートなどが含まれることがあります。
同じシリーズでそろえると統一感が生まれますが、必ずしもすべてを同じブランドにする必要はありません。
色や花柄、金彩といった共通点を持たせれば、異なるシリーズや年代の器でも魅力的に組み合わせられます。
三段スタンドを選ぶ際の注意点
三段スタンドには、皿と支柱が一体になったもの、複数のプレートを枠へ載せるもの、折りたためるものなどがあります。
中古品や譲り受けた品を使用するときは、支柱の緩み、金属部分のさび、皿の欠けやひびを確認しましょう。
古いプレートへ穴を開けてスタンドに加工すると、元の状態へ戻せなくなります。
大切な器や来歴のある品には、皿を加工せずに載せられるタイプのスタンドを選ぶ方法もあります。
古いティーセットを使う前に確認すること
古い洋食器や譲り受けたティーセットは、現在の食卓で再び活用できる可能性があります。
ただし、安全に使うための状態確認が欠かせません。
まず、縁や持ち手に欠けがないか、光にかざしてひびが入っていないかを調べます。
表面に細かなひび模様が見える場合は、釉薬に生じた貫入の可能性があります。
装飾としての貫入もありますが、汚れや水分が入り込んでいる品は、無理に飲食用途へ戻さない方が安心です。
金彩や銀彩のある食器は、基本的に電子レンジで使用できません。
古い器には食器洗浄機へ対応していないものも多く、柔らかなスポンジを使って手洗いするのが無難です。
研磨剤入りの洗剤や硬いブラシは、絵付けや金彩を傷めるおそれがあります。
底面のバックスタンプには、ブランド名、窯名、原産国、シリーズ名などが記されている場合があります。
スタンプの意匠は年代を推測する手掛かりになりますが、それだけで製造年や真贋を断定することはできません。
形状、材質、装飾、メーカー資料なども合わせて確認する必要があります。
自宅でアフタヌーンティーを楽しむ方法
自宅で楽しむ場合、高価な三段スタンドや一式そろったティーセットは必須ではありません。
家にあるカップ、平皿、小鉢、トレーを組み合わせるだけでも雰囲気を作れます。
器の色を白と青などの二、三色に絞る、花柄を共通のテーマにする、無地の皿に柄物のカップを合わせるといった方法なら、異なる食器も自然になじみます。
一客だけ残ったカップや、普段使っていないケーキ皿も活用できます。
料理もすべて手作りする必要はありません。
パン店のサンドイッチ、菓子店のスコーン、市販の焼き菓子などを食べやすい大きさで盛り付ければ、準備の負担を抑えられます。
甘いものだけにせず、塩味の品を加えることが全体を食べやすくするポイントです。
テーブルクロスやランチョンマットを敷き、小さな花や季節の飾りを添えるだけでも、日常のティータイムとは違った印象になります。
大切なのは形式を完全に再現することではなく、手元にあるモノを生かし、自分らしい時間を作ることです。
使わないティーセットを次の人へつなぐには
長く使っていないティーセットがある場合は、すぐに処分せず、まず内容と状態を確認しましょう。
カップとソーサーが対になっているか、ポットやミルクジャグが残っているか、元箱や説明書があるかを整理します。
家族や知人へ譲るほか、リユース店、食器を扱う専門店、フリーマーケット、寄付などを通じて次の使い手へつなぐ方法があります。
ブランド食器だけでなく、一客だけのカップやセットの一部にも、補充用、テーブルコーディネート用、撮影小物として需要が見つかることがあります。
家族の祝い事で使った器や旅先で購入したカップには、価格では表しにくい記憶も残っています。
品名や購入した場所、使っていた人などが分かる場合は、簡単なメモを添えて譲ると、モノの背景も一緒に引き継げます。
まとめ
アフタヌーンティーとは、紅茶、サンドイッチ、スコーン、スイーツを味わいながら、食器やしつらえ、会話を楽しむイギリス発祥の文化です。
基本はセイボリー、スコーン、スイーツの順ですが、店舗の提供方法や案内に合わせ、形式にこだわり過ぎず楽しみましょう。
三段スタンドや華やかなティーセットはアフタヌーンティーを彩りますが、高価な道具を一式そろえる必要はありません。
家に眠っているカップや譲り受けた皿も、組み合わせ方次第で再び食卓の主役になります。
器の価値は、ブランドや価格だけで決まるものではありません。
デザイン、工芸技術、時代背景、使った人の記憶にも目を向けながら、使う、飾る、譲るといった方法で次へつなげることが、ティーセットの魅力を長く生かすことにつながります。
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(KOBIT編集部:Fumi.T)
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