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イギリスのフィッシュアンドチップスとは?歴史・魚の種類・食文化を詳しく解説

フィッシュアンドチップスは、衣を付けて揚げた白身魚に、太く切ったフライドポテトを添えるイギリスの代表的な料理です。

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イギリス英語の「チップス」は、日本でいうフライドポテトを指します。

薄切りのポテトチップスは「クリスプス」と呼ばれるため、現地で注文する際には意味の違いを知っておくと便利です。

料理の構成は単純に見えますが、魚の種類、衣の配合、揚げ油、ジャガイモの品種、ソースや付け合わせによって味わいは大きく変わります。

また、移民が伝えた調理法、産業革命期の都市生活、水産業と鉄道の発達などとも関係しており、イギリスの歴史や庶民の暮らしを映す料理でもあります。

専門店は「フィッシュ・アンド・チップ・ショップ」と呼ばれ、親しみを込めて「チッピー」と呼ばれることもあります。

持ち帰りが定番ですが、パブやレストランでは皿に盛った料理として提供されます。

海辺で熱々の一包みを食べることも、イギリスらしい楽しみ方の一つです。

フィッシュアンドチップスの歴史

揚げた魚と移民の食文化

魚に衣を付けて油で揚げる調理法については、イベリア半島からイギリスへ移住したセファルディ系ユダヤ人の食文化が影響したと考えられています。

安息日に調理を行わず食べられるよう、あらかじめ魚を揚げておく習慣があったとされ、その調理法がロンドンなどへ伝わりました。

ただし、現在のフィッシュアンドチップスを特定の人物や集団だけが発明したと断定するのは適切ではありません。

魚を揚げる技術と、ジャガイモを切って揚げる食習慣が、それぞれ異なる経路で普及し、十九世紀のイギリスで一つの料理として結び付いたと見るのが自然です。

ジャガイモとチップスの普及

南米原産のジャガイモはヨーロッパへ伝わった後、イギリスでも次第に重要な食材となりました。

比較的安価で満腹感を得やすく、都市で暮らす労働者の食事にも適していたからです。

ジャガイモを棒状に切って油で揚げたチップスは、十九世紀までに庶民の食事として広がりました。

白身魚のフライと組み合わせることで、たんぱく質と炭水化物を一度に取れる、手頃で実用的な一食が完成しました。

産業革命と鉄道が支えた国民食

フィッシュアンドチップスが急速に普及した背景には、産業革命による都市人口の増加があります。

工場などで働く人々にとって、調理済みで温かく、量が多い料理は都合のよい食事でした。

鉄道網の整備も重要です。

港で水揚げされた魚を内陸の工業都市へ短時間で運べるようになり、新鮮な魚が広い地域へ行き渡りました。

漁船、冷却技術、流通網、業務用の揚げ物設備が発達したことで、専門店が各地に増えていったのです。

最初の店については、ロンドンのジョセフ・マリンが販売を始めたとする説や、イングランド北部のジョン・リーズに関する説などがあります。

記録には不明確な部分もあるため、一店だけを唯一の発祥店とするより、十九世紀後半に各地で商業化が進んだと理解するとよいでしょう。

どのような魚が使われるのか

コッド

代表的な魚はコッドです。

日本語では一般にタラ類として紹介されます。

癖の少ない淡泊な風味と、加熱すると大きくほぐれる白い身が特徴です。

厚い切り身は水分を保ちやすく、サクサクした衣とふっくらした身の対比を楽しめます。

ハドック

ハドックもフィッシュアンドチップスの定番です。

コッドと同じくタラ科に属する魚で、ややはっきりした風味を持つとされます。

イングランド北部やスコットランドではハドックを好む店も見られますが、地域内でも店舗や仕入れによって扱う魚は異なります。

プレイスやポロック

店によっては、カレイ類のプレイスやタラ類のポロックなども選べます。

価格や漁獲状況、水産資源への配慮によって魚種が変更されることもあります。

「フィッシュ」という名称だけでは魚種を特定できないため、気になる場合はメニューや店員への確認が必要です。

魚のおいしさは種類だけで決まりません。

切り身の厚さ、骨や皮の処理、水分の管理、衣を付けるタイミング、油の温度も仕上がりを左右します。

身が厚ければ必ず上質というわけではなく、衣とのバランスや揚げたてであることも大切です。

衣とチップスのおいしさの秘密

パン粉ではなくバッター衣が基本

イギリスのフィッシュアンドチップスでは、小麦粉と水を混ぜた液状のバッター衣が一般的です。

店によって炭酸水、ビール、膨張剤などを加えます。

揚げると衣の水分が抜け、表面に細かな凹凸が生まれることで、軽く香ばしい食感になります。

ビールを使用した衣は香りや色付きに特徴がありますが、すべての店が採用しているわけではありません。

アルコールや動物性食品を避けている場合は、衣の材料だけでなく揚げ油についても確認すると安心です。

チップスは太くて柔らかい

イギリスのチップスは、日本のファストフード店で見られる細いフライドポテトより太めです。

外側に香ばしさがありながら、内部にはジャガイモの柔らかさやほくほく感が残っています。

一本ごとの形や色に多少の違いがあることも、専門店らしい特徴です。

太いチップスは、油の温度や加熱時間の影響を受けやすい食べ物です。

店によっては温度を変えながら複数回揚げるなど、中心まで火を通しつつ表面を香ばしくする工夫を行います。

揚げ油も店の味になる

現代では植物油が広く使用されていますが、地域や店舗によっては牛脂などの動物性油脂を使う場合があります。

牛脂には濃厚な香りとコクがあり、植物油は比較的軽い後味に仕上がりやすい傾向があります。

長年営業する店では、衣の配合と同じように使用する油脂が店の個性になります。

ただし、宗教上または健康上の理由で特定の油脂を避けたい場合は、注文前に確認しましょう。

定番の味付けと付け合わせ

塩とモルトビネガー

最も基本的な味付けは、塩とモルトビネガーです。

大麦麦芽を原料とするモルトビネガーには、穀物由来の香りと強めの酸味があります。

揚げ物の油っぽさを和らげ、魚とジャガイモの味を引き締めます。

持ち帰り店では、店員から塩とビネガーをかけるか尋ねられることがあります。

先にかけると味がなじむ一方、持ち歩く間に衣がしんなりしやすくなります。

サクサクした食感を優先したいなら、別添えにして食べる直前に使うのもよい方法です。

マッシーピーズ

マッシーピーズは、乾燥させたエンドウ豆などを柔らかく煮て、粗くつぶした付け合わせです。

鮮やかな緑色と穏やかな甘みが特徴で、塩気のある魚やチップスとよく合います。

名前から日本のグリーンピースをそのまますりつぶしたものと思われがちですが、使う豆や調理法によって独特の粘りと食感が生まれます。

タルタルソースやカレーソース

レモンやタルタルソースも定番です。

また、チップスにはカレーソース、グレイビー、ブラウンソースなどを合わせることがあります。

好まれる味は地域や家庭、店によって異なり、モルトビネガーだけが唯一の正しい食べ方というわけではありません。

地域によって異なる楽しみ方

フィッシュアンドチップスはイギリス全土で食べられますが、魚種、呼び方、ソースには地域差があります。

イングランド北部ではハドックが支持される傾向が見られ、南部ではコッドが目立つと説明されることがあります。

ただし、実際の品ぞろえは店ごとに異なるため、これは絶対的な区分ではありません。

スコットランドでは、魚とチップスのセットを「フィッシュサパー」と呼ぶ場合があります。

専門店では魚以外にもソーセージやさまざまな食材を揚げて提供し、幅広いチップショップ文化が形成されています。

同じ名称の料理でも、港町の専門店、都市部のテイクアウェイ、パブ、レストランでは体験が異なります。

旅行中に食べ比べるなら、魚種だけでなく、衣の厚さ、油の香り、チップスの太さ、地元で好まれるソースにも注目すると面白いでしょう。

現地での注文方法

専門店では、最初にコッドやハドックなどの魚種を選び、次にサイズやチップスの有無を指定します。

魚とチップスが別々の価格で表示され、必要なものを組み合わせる店もあります。

量が多いこともあるため、不安であれば一人前の大きさを確認しましょう。

持ち帰りは「テイクアウェイ」、店内飲食は「イートイン」として区別されます。

店内では皿に盛られ、レモン、タルタルソース、サラダなどが付く場合があります。

持ち帰りは紙箱や食品用紙で包装され、より気軽に食べられます。

揚げたてを受け取ったら、なるべく早く食べるのがおすすめです。

包装の内側に蒸気がこもると、衣とチップスが水分を吸って柔らかくなります。

海辺で食べる場合は、カモメなどの鳥に食べ物を奪われないようにも注意が必要です。

新聞紙の包装は現在も使われている?

フィッシュアンドチップスには、古新聞に包まれた料理という印象があります。

かつては古新聞を包装材として再利用していた時代がありました。

安く入手でき、油を吸収し、持ち運びにも利用できたためです。

しかし、現在の店で一般的に使用されるのは、食品に触れても問題のない専用紙や紙箱です。

新聞記事のような模様が印刷された包装紙もありますが、これは伝統的な雰囲気を演出する食品用資材であり、読み終えた古新聞をそのまま使っているわけではありません。

古新聞の利用は、身近な紙を無駄にしない再利用の知恵として興味深い一方、現代にそのまま再現することは衛生面から推奨できません。

過去の合理性と現代の食品衛生を分けて理解する必要があります。

食器や店舗道具が伝える文化的価値

フィッシュアンドチップスの文化は、料理だけでなく、それを作り、売るために使われたモノにも残されています。

たとえば、白く厚手の業務用プレート、楕円形の大皿、ビネガーボトル、ソルトシェーカー、金属製の揚げかご、メニューボードなどです。

業務用食器は華やかな装飾品ではありませんが、頻繁な洗浄や積み重ねに耐えられる厚み、持ちやすい縁、料理を盛り付けやすい形を備えています。

実用性を優先したデザインには、食堂やパブで使われてきた生活道具としての価値があります。

店名や紋章の入った皿、メーカーの刻印がある容器は、店舗や製造年代を調べる手掛かりにもなります。

古いホーロー看板、木製看板、金属製のメニュー表示、フライヤーなども、商店文化や調理技術の変化を伝える資料です。

中古品やアンティークとして扱う場合は、単に古いかどうかだけでなく、メーカー表示、店名、使用地域、補修歴、当時の写真や領収書といった来歴を確認すると、そのモノの背景が見えやすくなります。

一方、古い厨房設備を再利用する場合には注意が必要です。

見た目に魅力があっても、電気やガスの規格、温度制御、金属の腐食、食品に触れる部分の安全性が現代の基準に合うとは限りません。

装飾品や資料として残すのか、実用品として再使用するのかを分け、実用時には専門業者の点検を受ける必要があります。

現代のフィッシュアンドチップスと持続可能性

国民的料理を将来へ残すには、水産資源への配慮が欠かせません。

同じコッドやハドックでも、漁場、漁法、資源状態によって持続可能性は異なります。

そのため、漁獲海域や認証情報を表示したり、資源状況に応じて別の魚を提案したりする店もあります。

持ち帰り用の容器にも変化が見られます。

再生紙を使った箱、堆肥化を想定した素材、プラスチック使用量を抑えた包装などが選ばれるようになりました。

大量に発生する使用済みの揚げ油を回収し、燃料や別の用途へ生かす取り組みも、モノや資源を使い切る方法の一つです。

また、小麦を使わない衣や植物性食材による代替メニューを提供する店もあります。

伝統的な料理は、昔の形をそのまま固定するだけで受け継がれるものではありません。

資源、衛生、多様な食習慣に合わせて工夫を重ねることで、文化として存続していきます。

まとめ

フィッシュアンドチップスは、白身魚のフライと厚切りのチップスを組み合わせた、イギリスを代表する料理です。

コッドやハドックなどの魚、液状のバッター衣、モルトビネガー、マッシーピーズといった要素に特徴があります。

その背景には、移民の食文化、ジャガイモの普及、産業革命、鉄道と水産業の発展がありました。

手頃な労働者の食事として広がり、現在では専門店、パブ、海辺の行楽など、さまざまな場面で親しまれています。

さらに、新聞紙包装の歴史、業務用食器、看板、揚げかごといった周辺のモノにも、当時の暮らしや商売の知恵が残されています。

一皿の味だけでなく、それを支えてきた道具や資源の使い方まで知ることで、フィッシュアンドチップスが持つ文化的な価値をより深く理解できるでしょう。

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KOBIT編集部:Fumi.T)

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