オーバーツーリズムとは?日本の持続可能な観光のために私たちができること
新型コロナウイルスの収束と円安により、日本は外国人観光客の増加によるインバウンド需要が急速に拡大しています。
観光業においては追い風である一方、さまざまな課題も出てきており、その1つに「オーバーツーリズム」の問題が深刻化していると言われています。
今回は、このオーバーツーリズムをテーマに、今後日本の持続的な観光のために私たちができることを考えていきたいと思います。
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オーバーツーリズムとは?観光客増大による弊害を世界の事例から知る
オーバーツーリズムというのは、特定の地域で観光客が急増し、その結果として地元の生活環境や自然、景色などに過度の悪影響を及ぼすことで、結果的に観光客の満足度の低下にもつながる状況のことを言います。
世界各地の観光スポットでは、観光客の数が増えることで交通渋滞や公共交通の混雑、ゴミ問題や騒音などが発生し、住民の不満を招いています。また、自然保護の観点から、人気のあるビーチが閉鎖されることもあります。
スペインのオーバーツーリズムと国の対応
バルセロナは、1992年のオリンピックを機に世界中から観光客が急増しました。その結果、住民の生活環境は悪化し、「観光反対デモ」などの住民運動が頻発しました。
このような状況に対応するため、政府は2017年に「2020年に向けた観光都市計画」を発表。これには、新規の商業施設やホテル建設の制限などの対策が含まれています。
イタリアのオーバーツーリズムと国の対応
ベネチアでは、地元住民5万人に対して年間約2500万人の観光客が訪れ、生活環境に深刻な影響を及ぼしています。混雑した運河や路地に対する住民の不満は高まり、「ベネチアに来るな」という海上デモに発展しました。
これを受けてイタリア政府は、ゴンドラや観光ボートのルート変更、観光客の立ち入り制限などを行い、住民を優先する政策を実施しました。
オランダのオーバーツーリズムと国の対応
アムステルダムでは、2006年から2016年にかけてホテルの利用宿泊数が800万から1400万泊に増加し、年間1600万人の観光客が訪れる状況に膨れ上がりました。
これに対し、オランダ政府は「レジデンス・ファースト」の方針を打ち出し、新規ホテルの建設制限や観光税の導入など、大規模な総量規制を展開しましたが、依然として観光客の増加はとまらず、さらなる対応が求められています。
日本のオーバーツーリズムの現状と課題
このように世界中の観光名所でオーバーツーリズムの対応が迫られていますが、オーバーツーリズムかどうかは、その地域が観光客の増加をどう捉えるかに依存し、問題があっても観光の利点を重視し、さらなる成長を望む住民もいます。
日本では、このオーバーツーリズムの取り組みとして、観光庁が2018年6月に「観光客の増加によるニーズと地域住民の生活環境を調和させ、共存・共生のための対策を総合的に検討・推進する」目的で「持続可能な観光推進本部」を立ち上げました[1]。
2023年10月17日に発表された「第3回 オーバーツーリズムの未然防止・抑制に関する関係省庁対策会議[2]」の内容によると、観光需要の急速な回復によって、下記のような懸念事項が生じているとされています。
- 都市部を中心とした一部地域への偏在傾向が見られる
- 観光客の集中による、過度の混雑やマナー違反による地域住民の生活への影響
- 上記に伴う、旅行者の満足度の低下
先に触れた国々のような急務を要する対策が必要とはされていないものの、急速なインバウンドの回復によって対策が後手になってしまっていることがうかがえます。
持続可能な観光を支えるために私たちができること
これからの持続可能な観光地域づくりをしていくために、オーバーツーリズムの対策は必要不可欠なことであり、国としては今後総合的な支援を行う姿勢を示しています。
しかしながら、それら対策を実行するのは各自治体、もっと言えばその土地に住む私たちも意識していく必要があります。
具体的にできることは考えにくいかもしれませんが、1つの方法として地域の活性化につながる活動をしているNPOを支援することで力になることは可能です。 お宝エイドでは、ご自宅に眠る価値ある物品寄付を通じて、こうしたNPOの支援を行っています。持続可能な日本の観光を支えるために、お宝エイドを通じて私たちができることをはじめてみませんか。
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<参考文献>
[1] 観光庁,「観光庁に「持続可能な観光推進本部」を設置しました」,available at https://www.mlit.go.jp/kankocho/topics08_000126.html
[2] 観光庁,「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に関する関係省庁対策会議」,available at https://www.mlit.go.jp/kankocho/overtourism_yobou_yokusei.html
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