ディワリとは?光の祭典の由来・祝い方とランプや装飾品に込められた意味
ディワリは、インドを中心に多くの国や地域で祝われる祭典です。
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家々や寺院、商店、通りなどに無数の明かりがともされることから、日本では「光の祭典」とも呼ばれています。
ディワリという名称は、サンスクリット語で灯火の列を意味する「ディーパーヴァリ」に由来します。
英語では「Diwali」または「Deepavali」と表記されます。
祭典の根底にあるのは、光が闇に、善が悪に、知恵が無知に打ち勝つという考え方です。
華やかな明かりや装飾は単なる飾りではなく、人々の祈り、希望、感謝を目に見える形で表したものといえるでしょう。
ディワリはヒンドゥー教徒に広く祝われていますが、ジャイナ教徒やシク教徒などにとっても大切な時期です。
インド国内でも地域や家庭によって由来、期間、行事、料理が異なります。
そのため、一つの祝い方だけをディワリ全体の決まりとして捉えないことが大切です。
ディワリはいつ行われる?
ディワリは、例年10月から11月ごろに行われます。
ただし、日程はヒンドゥー暦などの太陰太陽暦に基づいて決まるため、現在広く使われている暦の上では毎年変わります。
一般には数日間にわたる祭典として知られ、中心となる日は新月のころに迎えられます。
五日間の行事として説明されることも多く、住まいの清掃、買い物、礼拝、家族の集まり、贈り物の交換などが日ごとに行われます。
ただし、祝う日数や各日の名称、具体的な過ごし方には地域差があります。
インドのほか、ネパール、スリランカ、シンガポール、マレーシアなどでも関連する祭典が行われます。
また、インド系の人々が暮らす世界各地でイベントが開かれ、日本でも文化交流行事として紹介されるようになりました。
ディワリの由来は一つではない
ラーマ王子の帰還を祝ったという物語
北インドを中心に知られている由来の一つが、インドの叙事詩『ラーマーヤナ』にまつわる物語です。
長い追放生活を終え、悪に勝利したラーマ王子が故郷へ戻った際、人々が多くの灯火を並べて迎えたと伝えられています。
この物語は、正義や善が悪に勝つというディワリの象徴的な意味と深く結び付いています。
暗い夜に並ぶ小さな灯火は、帰るべき道を照らすとともに、人々が待ち望んだ希望を示すものでもあります。
女神ラクシュミーを迎える祈り
ディワリの中心的な行事の一つに、富、繁栄、幸運をつかさどる女神ラクシュミーへの礼拝があります。
家や店をきれいに整え、玄関や窓辺に明かりをともすのは、女神を清らかな場所へ迎えるためだとされています。
商売を営む人々にとっては、帳簿を新しくする時期や新たな事業年度の始まりと結び付く場合もあります。
ここでいう繁栄は、金銭だけを指すものではありません。
家族の健康、仕事の安定、家庭の平穏など、暮らし全体の幸福を願う意味が含まれています。
宗教や地域によって異なる意味
地域によっては、クリシュナ神が悪魔ナラカースラを倒したという物語や、カーリー女神への信仰と結び付けて祝われます。
ジャイナ教では、開祖マハーヴィーラが解脱に至ったことを記念する重要な時期です。
シク教では、第六代グルの解放にまつわる日として大切にされています。
このように、同じ時期に灯火をともす祭典であっても、宗教ごとに歴史的背景や祈りの対象は異なります。
ディワリでは何をする?代表的な祝い方
家や店を清める
ディワリを迎える前には、家や店舗を念入りに掃除し、壊れたものや不要なものを整理します。
これは日本の年末の大掃除にも似ていますが、単に汚れを落とすだけではありません。
清浄な空間をつくり、幸運や神々を迎える準備という意味があります。
家具を整え、壁を塗り直し、食器や祭具を手入れする家庭もあります。
長く使ってきた道具を見直し、修理できるものは修理して再び役立てる機会でもあります。
家族や友人と食べ物を分け合う
家族や親族が集まり、食事を共にすることもディワリの大切な習慣です。
甘い菓子類は「ミターイ」と呼ばれ、家庭で作ったり、贈答用の箱に入れて交換したりします。
ドライフルーツ、ナッツ、香辛料を使った料理なども親しまれています。
食べ物を贈る際は、相手の宗教上の習慣や菜食の有無、アレルギー、原材料、賞味期限を確認する配慮が必要です。
高価な品であること以上に、相手の健康や幸福を願って分かち合うことに意味があります。
新しい衣服や贈り物を用意する
ディワリには新しい衣服を身に着け、家族や友人、仕事上の関係者へ贈り物をする習慣があります。
菓子や果物のほか、食器、ランプ、衣類、アクセサリー、室内装飾品などが選ばれます。
贈り物は人と人との結び付きを確かめる役割を果たします。
受け継がれた衣服や装身具を手入れして使う家庭もあり、新品だけが尊ばれるわけではありません。
家族の記憶を宿した品を次の世代が身に着けることにも、特別な価値があります。
ディワリを象徴するランプ「ディヤ」
ディヤの形と使い方
ディワリを象徴する道具が「ディヤ」と呼ばれる小さなランプです。
伝統的なディヤは素焼きの小皿のような形をしており、植物油やギーを入れ、綿の芯に火をともして使います。
玄関、窓辺、中庭、礼拝の場所などに複数並べると、暗闇の中に灯火の列が浮かび上がります。
ディヤには素朴な無地のものだけでなく、鮮やかな彩色、花や葉の文様、ビーズなどを施したものもあります。
真鍮、青銅、銀などで作られた金属製ランプは、手入れをしながら長年使用できる品です。
現代では安全性や住環境に応じて、ろうそく、電池式ライト、LED装飾も使われます。
小さな灯火に込められた意味
ディヤの光は、闇に対する光、無知に対する知恵、絶望に対する希望の象徴です。
一つひとつは小さな明かりでも、多くの灯火が集まれば周囲を明るく照らします。
その光景には、一人ひとりの善意や祈りが集まることで、社会全体へ明るさが広がっていくという考え方も重なります。
長年使われてきたディヤには、煤や油の跡、金属の変色が残ることがあります。
状態を判断する上では傷や汚れに当たりますが、家族が毎年火をともし、祈りを重ねてきた履歴でもあります。
古い品の価値は、素材や換金性だけで測れるものではありません。
床を彩る「ランゴリ」と玄関の装飾
ランゴリとは
ランゴリは、玄関先や床に色鮮やかな模様を描く装飾文化です。
米粉、色粉、砂、花びらなどを使い、幾何学模様、蓮、花、孔雀といった図柄を表現します。
神々や来客を歓迎し、家庭に幸運を招く願いが込められています。
素材、図柄、呼び名、制作方法は地域によって異なります。
粉や花を使うランゴリは一定期間が過ぎると形を失うため、完成品を所有し続ける美術品とは性格が異なります。
家族で模様を描く時間や、毎年新しい図案を考える行為そのものに文化的な価値があります。
近年は、繰り返し使えるステンシル、木製の型、布製マット、ビーズや樹脂で作った組み立て式の装飾もあります。
使用後に部品をそろえて保管すれば、翌年以降も楽しめます。
トーランや花飾り
玄関や扉には「トーラン」と呼ばれる飾りを掛けることがあります。
葉や生花を使ったもののほか、布、糸、ビーズ、鈴、金属などで作られたものもあります。
刺繍やビーズ細工が施されたトーランは、地域の手工芸を伝える品でもあります。
文様や技法、素材、購入した土地などを記録しておくと、装飾品が持つ背景を次の持ち主へ伝えやすくなります。
神像や礼拝用品は単なるインテリアではない
ディワリでは、女神ラクシュミーやガネーシャ神の像や絵が礼拝に用いられます。
礼拝用の皿、香炉、ベル、小さな容器、金属製のランプなどを一式で使う家庭もあります。
これらは美しい工芸品として鑑賞できる一方、持ち主にとっては祈りの対象や神聖な祭具です。
中古品として譲り受けたり手放したりするときは、一般的な置物や食器と同じように扱わず、宗教的な背景へ配慮する必要があります。
神像の用途を大きく変える、切断して別の作品へ加工する、床や不衛生な場所へ置くといった扱いは、信仰者に不快感を与える可能性があります。
扱い方が分からない場合は、家族、地域のコミュニティ、寺院、文化に詳しい専門家へ相談するとよいでしょう。
ディワリ用品の価値を見極めるポイント
素材と製法を確認する
ディヤや祭具には、素焼き、陶器、真鍮、青銅、銅、銀など、さまざまな素材があります。
金属製品は素材によって重量、色、経年変化が異なりますが、外見だけで正確に判断するのは困難です。
刻印や購入時の説明書、箱、証明書が残っていれば、素材や製作地を知る手掛かりになります。
鋳造、手彫り、打ち出し、手描き、刺繍などの製法にも注目しましょう。
手仕事によるわずかな形の違いや線の揺らぎは、量産品にはない個性です。
ただし、古そうに見えることと実際の年代は必ずしも一致しません。
年代や作者を知りたい場合は、自己判断で断定せず、工芸品や宗教美術に詳しい専門家へ相談するのが適切です。
品物の来歴を残す
いつ、どこで、誰が購入したのか、どのような行事で使用したのかという情報は、品物の価値を理解する上で重要です。
家族の記憶が残っているうちに、短い文章や写真で記録しておきましょう。
購入時の箱、布袋、説明書、古い写真なども、すぐには捨てずに品物と一緒に保管します。
金銭的な評価につながらない情報であっても、家族史や文化的背景を次世代へ伝える助けになります。
ディワリ用品を長く使うための手入れ
ディヤと金属製品
火を使ったディヤは、完全に消火し、器が冷めてから手入れします。
残った油や芯を取り除き、素材に合った方法で汚れを落としてください。
素焼きは油を吸収しやすく、強くこすると彩色が剥がれることがあります。
金属製品も、種類が分からないまま強力な研磨剤や薬品を使うのは避けましょう。
表面のめっき、古い仕上げ、細かな彫刻を傷めるおそれがあります。
まずは柔らかい布で乾拭きし、専門的な手入れが必要な品は無理に磨かないことが大切です。
布や木製の装飾品
布製品や木製装飾は、汚れや湿気を残したまま収納すると、カビ、虫害、変色の原因になります。
十分に乾燥させ、直射日光と高温多湿を避けて保管します。
繊細な刺繍やビーズ飾りは、薄紙や柔らかな布で包むと引っ掛かりを防ぎやすくなります。
複数の部品で構成されるランゴリ用品や電飾は、部品をまとめ、完成時の写真を添えておくと翌年の飾り付けに役立ちます。
電池は液漏れを防ぐため、長期間使わない場合には取り外しておきましょう。
火を扱う際の注意
ディヤやろうそくは、カーテン、紙、布飾りなど燃えやすいものから十分に離し、耐熱性のある安定した台に置きます。
点火中はその場を離れず、子どもやペットが触れないようにしてください。
集合住宅やイベント会場では、管理規則や主催者の案内も確認しましょう。
火を使用できない環境では、電池式やLED式の明かりを選ぶ方法があります。
伝統的な形を大切にしながら、現在の住環境に合う安全な道具へ置き換えることも、祭典を長く受け継ぐための工夫です。
使わなくなったディワリ用品を生かすには
ディワリ用品を使わなくなったときは、すぐに廃棄するのではなく、家族、知人、地域のコミュニティへ譲れるか考えてみましょう。
入手した場所や使い方、宗教的な意味を伝えて譲れば、モノだけでなく物語も受け継げます。
金属製ランプ、銀器、彫像、刺繍布、古い工芸品などは、素材や文化的背景に詳しい専門店へ相談する選択肢もあります。
相談前に過度な洗浄や研磨を行うと、表面の仕上げや来歴を示す痕跡を損なうことがあるため、そのままの状態で見てもらうのが基本です。
一般的な器や装飾品であれば、普段のインテリアや小物入れとして再利用できる場合があります。
ただし、礼拝に使われた神像や祭具は、元の持ち主や信仰者の気持ちを尊重し、用途の変更を慎重に判断してください。
どうしても処分する場合は、陶器、金属、布、紙、電気製品など、素材ごとに地域の分別ルールを確認します。
宗教的な品については、寺院やコミュニティに適切な扱いを相談できる場合もあります。
日本でディワリを楽しむときの心構え
日本でもディワリ関連のイベントが開催され、音楽、舞踊、料理、衣服、ランゴリなどを通じて文化に触れられます。
参加するときは、礼拝の場所や展示品へ勝手に触れず、人物や儀式を撮影する前に許可を確認しましょう。
ディワリの衣服や装飾を楽しむことは、文化を知るきっかけになります。
一方で、特定の宗教的な印や神聖な祭具を意味も知らずに小道具として扱うことは避けたいものです。
由来を学び、地域や宗教による違いを尊重する姿勢が、より深い文化交流につながります。
まとめ
ディワリは、光が闇に、善が悪に、知恵が無知に勝利することを祝う祭典です。
ディヤ、ランゴリ、トーラン、神像、礼拝用品など、祭典を彩る品々には、祈り、職人の技、地域文化、家族の記憶が込められています。
古いディヤの煤や金属の変色、布飾りの使用感は、単なる劣化ではなく、毎年の祝いに使われてきた証でもあります。
手入れして翌年も使う、由来とともに次の人へ譲る、専門家に相談するなど、品物に合った方法を選ぶことで、その価値を未来へつなげられます。
ディワリを知ることは、華やかな祭典を眺めるだけでなく、人々が明かりやモノに託してきた希望を理解することでもあります。
一つの小さな灯火から、その背景にある長い歴史と多様な文化へ目を向けてみてはいかがでしょうか。
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(KOBIT編集部:Fumi.T)
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