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ビリヤニとは?起源・種類・材料・作り方・プラオとの違いを詳しく解説

ビリヤニとは、香りのよい米、肉や魚介、野菜、スパイスなどを組み合わせて作る、南アジアを代表する米料理です。

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インド料理として紹介されることが多いものの、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパールなどにも、それぞれの土地に根付いたビリヤニがあります。

日本ではスパイス炊き込みご飯やインド風ピラフと説明されることがあります。

しかし、本格的なビリヤニの特徴は、単に米へカレーを混ぜるのではなく、米と具材を別々に調理したり、鍋の中で層状に重ねたりして、香りと味に濃淡を作る点にあります。

代表的な製法では、固めにゆでた米と、スパイスで味付けした肉などを交互に重ね、鍋を密閉して蒸し上げます。

炊き上がった米には、白い部分、サフランなどで色づいた部分、肉汁やグレービーを吸った部分が混在します。

一口ごとに香りや味が変化することこそ、ビリヤニならではの魅力です。

ただし、世界各地に多様な製法があるため、すべてのビリヤニに共通する唯一の定義があるわけではありません。

使用する米、具材、スパイス、調理法は地域や家庭によって異なります。

その幅広さも、長い歴史を持つ料理としての価値といえるでしょう。

ビリヤニの名前の由来と歴史

名前の由来には複数の説がある

ビリヤニは、英語ではBiryaniやBiriyaniなどと表記されます。

名称の由来については、ペルシャ語の米に関係する言葉から生まれたという説や、炒める、焼くといった意味を持つ言葉につながるという説があります。

もっとも、語源や発祥地については複数の見解があり、一つの説だけを確定的な事実として扱うことはできません。

少なくとも、ビリヤニの成立にペルシャ圏の食文化が関係していることは、広く指摘されています。

複数の食文化が交わって発展した

ビリヤニは、ペルシャ圏や中央アジアで食べられていた米料理がインド亜大陸へ伝わり、現地の香辛料や食材、調理技術と結び付いて発展したと考えられています。

ムガル帝国の宮廷で洗練されたという説は有名です。

一方で、軍隊へ効率よく食事を提供するために米と肉を一つの鍋で調理したという説や、南インドの港湾都市に伝わった米料理が独自に発展したという見方もあります。

つまり、ビリヤニは特定の人物が一度に完成させた料理というより、交易、移住、宮廷文化、宗教、各地域の生活などが重なって形成された料理と捉えるのが自然です。

現在見られる多彩な種類は、その歴史の積み重ねを映しています。

ビリヤニを構成する主な材料

香りと粒立ちを生む米

代表的に使われるのは、インドやパキスタンなどで栽培される長粒種のバスマティライスです。

細長い外観と豊かな香りを持ち、適切に調理すると粒同士が付着しにくく、軽やかにほどけます。

ビリヤニでは、収穫後に一定期間熟成させたバスマティライスが好まれる場合もあります。

適度に乾燥した米は炊飯時に粒が立ちやすく、スパイスや肉汁を受け止めても重くなりにくいためです。

ただし、バスマティライスだけが正解ではありません。

南インドの一部では小粒の香り米が使われ、バングラデシュなどでも土地固有の米が用いられます。

米の種類は地域性を示す重要な要素です。

肉・魚介・野菜

具材には鶏肉、マトン、ヤギ肉、牛肉、魚、エビ、卵などが使われます。

ジャガイモを大きく切って加える地域もあります。

宗教や土地の食習慣によって使用される肉が異なるため、同じ名称でも内容は一定ではありません。

肉を使用しないベジタブルビリヤニも広く親しまれています。

ニンジン、インゲン、カリフラワー、グリーンピースなどの野菜に加え、豆やパニールを使うものもあります。

具材は単に食べ応えを増やすためだけのものではありません。

加熱中に出る肉汁、脂、野菜の水分とうま味が米へ移り、料理全体の風味を形作ります。

ホールスパイスとパウダースパイス

ビリヤニには、カルダモン、クローブ、シナモン、クミン、ブラックペッパー、ベイリーフ、コリアンダーなどが使われます。

粉末のスパイスだけでなく、原形を保ったホールスパイスを油で加熱して香りを引き出すのも代表的な方法です。

華やかな香りを加える材料として、サフラン、ミント、コリアンダーリーフ、ローズウォーター、ケウラウォーターなどが用いられる場合もあります。

ターメリックや唐辛子だけで味を作る料理ではなく、異なる香りを何層にも組み立てることが重要です。

そのため、ビリヤニのおいしさは辛さの強さだけでは判断できません。

唐辛子が控えめでも、スパイス、米、肉、ハーブの香りが調和したビリヤニには豊かな奥行きがあります。

ヨーグルト、ギー、フライドオニオン

ヨーグルトは肉の漬け込みに使われ、酸味やコクを加えます。

ギーや植物油はスパイスの香りを引き出すとともに、米をしっとりと仕上げる材料です。

薄切りのタマネギを濃いきつね色になるまで揚げたフライドオニオンも重要です。

タマネギの甘みと香ばしさが加わることで、スパイスの刺激だけではない複雑な味わいが生まれます。

ビリヤニの代表的な調理法

カッチ式

カッチは、生の状態を意味する言葉です。

カッチ式では、ヨーグルトやスパイスでマリネした生肉と、固めに下ゆでした米を鍋の中で重ね、一緒に加熱します。

肉へ十分に火を通しながら、米を過度に柔らかくしないよう仕上げる必要があるため、火加減と水分量の管理には技術が求められます。

その一方、肉のうま味が米へ移りやすく、一体感のある味わいになります。

ハイデラバード式ビリヤニで知られる製法です。

パッキ式

パッキは、加熱済みの状態を表します。

あらかじめ調理した肉やグレービーと、固めにゆでた米を層状に重ね、最後に蒸し上げる方法です。

肉と米の火入れを別々に調整できるため、比較的仕上がりを管理しやすいのが利点です。

白い米と、グレービーを吸った色の濃い米が混ざり合い、見た目にも美しく仕上がります。

香りを閉じ込めるダム調理

ダムとは、鍋を密閉して蒸気を逃がさず、弱火で蒸し上げる調理技法です。

伝統的には、小麦粉などで作った生地をふたの周囲へ貼り付け、鍋の内部を密閉することがあります。

閉じ込められた蒸気が鍋の中を循環することで、肉やスパイスの香りが米全体へ行き渡ります。

家庭ではアルミホイルを挟んでふたをするなど、簡易的な方法でも再現できます。

ダムはビリヤニを象徴する技法の一つですが、すべてのレシピで必須というわけではありません。

一つの製法だけを基準に本物かどうかを決めず、地域ごとの違いを知ることが大切です。

代表的なビリヤニの種類

ハイデラバード・ビリヤニ

インド南部の都市ハイデラバードを代表するビリヤニです。

マリネした肉と米を重ねるカッチ式が特に有名で、スパイスの力強い香りと肉のうま味を楽しめます。

サフラン、ミント、フライドオニオンなどを用い、ダム調理で香りを閉じ込めるものがよく知られています。

ただし、ハイデラバードにも調理済みの肉を使う方式があり、すべてが同じ作り方ではありません。

ラクナウ風ビリヤニ

北インドのラクナウ周辺で発達したビリヤニは、アワディ・ビリヤニとも呼ばれます。

肉と米を別々に調理してから重ねる方法が多く、だしのうま味と繊細な香りを重視する傾向があります。

強い辛さで押し切るのではなく、米粒の食感や上品な香りを生かすのが特徴です。

宮廷料理の洗練を感じられる種類として知られています。

コルカタ・ビリヤニ

インド東部のコルカタで親しまれているビリヤニです。

ラクナウの食文化から影響を受けながら独自に発展しました。

大きなジャガイモが入ることがよく知られており、ゆで卵が加わる場合もあります。

ジャガイモは単なるかさ増しではなく、肉やスパイスのうま味を吸収する重要な具材です。

比較的穏やかな香りのものが多く、米や具材の味をじっくり楽しめます。

マラバール・ビリヤニ

インド南西部、ケララ州のマラバール地方に根付いたビリヤニです。

細長いバスマティライスではなく、ジーラカサラなどと呼ばれる小粒の香り米が用いられる場合があります。

鶏肉やマトンのほか、海に面した地域らしく魚介を使う例も見られます。

カシューナッツやレーズンを加え、甘みや食感の変化を作ることもあります。

シンディー・ビリヤニ

現在のパキスタン南部に位置するシンド地方に由来するビリヤニです。

トマト、ヨーグルト、青唐辛子などを使い、酸味や辛みをはっきりと感じられるものが多くあります。

ジャガイモやドライプルーンなどが加えられることもあり、スパイシーな香りの中に酸味や甘みが重なります。

パキスタンにはほかにも多様なビリヤニがあり、都市、店、家庭によって味付けは変わります。

ビリヤニとプラオ・ピラフの違い

プラオとの違い

プラオは、米と具材をスープなどで一緒に炊く方法が多く、ビリヤニより穏やかな味付けに仕上げる料理として説明されるのが一般的です。

一方のビリヤニは、米と具材を別々に調理したり、層にして蒸し上げたりすることで、香り、色、味に濃淡を作る傾向があります。

口へ運ぶ場所によって味が変化することが、特徴の一つです。

ただし、地域によって名称や製法が重なり、両者の境界が曖昧な例もあります。

重ねて炊けば必ずビリヤニ、一緒に炊けば必ずプラオと、調理工程だけで完全に分類することはできません。

ピラフとの違い

日本で一般的なピラフは、米を油脂で炒め、スープで炊く洋風の米料理を指します。

プラオやピラフ、ビリヤニには歴史的・言語的なつながりがあるとされますが、現代の料理としては、米の種類、スパイス、具材、香りの構成が異なります。

ビリヤニをインド風ピラフと説明すれば大まかな姿は伝わるものの、複雑な調理工程や地域性までは表現できません。

カレーライスとの違い

カレーライスは、通常、炊いた米へ完成したカレーソースをかけて食べます。

ビリヤニは調理中に肉汁やスパイスの香りを米へ移し、米そのものを料理の中心として仕上げます。

炊いたご飯にカレーを混ぜたものとは、作り方も食感も異なります。

ビリヤニでは、すべてを均一に混ぜ切らず、米の部分ごとの味の違いを残すことも大切です。

おいしいビリヤニを味わうポイント

米粒の食感を確かめる

バスマティライスを使ったビリヤニは、米粒がつぶれず、ふんわりとほどける食感が理想とされます。

べたつきが少なくても乾燥しているわけではなく、米の内側には具材のうま味が含まれています。

ただし、小粒米などを使う地域もあるため、細長い米だけが優れたビリヤニの条件ではありません。

使われている米の個性に注目すると、地域ごとの違いが分かりやすくなります。

香りと味の変化を楽しむ

食べる前に全体を激しく混ぜるのではなく、まずは白い米、色づいた米、肉の近くの米をそれぞれ少量ずつ味わってみましょう。

サフランやハーブの香りが強い部分、肉汁を吸ってコクのある部分など、味の層を確認できます。

その後、全体を軽く混ぜれば、香りのまとまりも楽しめます。

一皿の中で異なる味わいに出会えることが、ビリヤニの大きな価値です。

ライタや付け合わせを少しずつ加える

ビリヤニには、ヨーグルトへキュウリ、タマネギ、トマト、ハーブなどを加えたライタがよく添えられます。

ライタの酸味と冷たさは、スパイスの刺激を和らげ、口の中をさっぱりさせます。

地域や店によっては、サランと呼ばれるカレー状の付け合わせ、ゆで卵、サラダ、ピクルスなどが添えられます。

最初からすべてを混ぜず、少量ずつ加えると、ビリヤニ本来の味と付け合わせによる変化の両方を楽しめます。

家庭でビリヤニを作るときのコツ

米は固めに下ゆでする

重ねた後にも加熱するため、米を下ゆでの段階で完全に柔らかくすると、仕上がりがべたつきやすくなります。

バスマティライスはやさしく洗い、適度に浸水させてから、芯がわずかに残る程度にゆでます。

ゆで上がった米は水を切り、強く混ぜないよう丁寧に扱います。

米粒を折らず、粘りを出さないことが軽やかな食感につながります。

スパイスは量よりバランスを重視する

使う種類を増やせば必ずおいしくなるわけではありません。

カルダモンの華やかさ、クローブの強い香り、シナモンの甘い香りなど、それぞれの役割を考える必要があります。

初めて作る場合は、市販のビリヤニマサラを利用するのも一つの方法です。

製品ごとに塩分や辛さが異なるため、表示を確認し、少量から加えましょう。

水分量と火加減に注意する

肉や野菜のグレービーに水分が多すぎると、重ねた米が水を吸いすぎて柔らかくなります。

反対に水分が少なすぎると、米が乾燥したり鍋底が焦げたりします。

蒸気が上がるまでは適切に加熱し、その後は弱火で蒸らすのが基本です。

厚手の鍋を使うと熱が穏やかに伝わり、焦げを防ぎやすくなります。

火を止めた後にしばらく休ませると、蒸気が落ち着いて米粒が崩れにくくなります。

日本米でも作れるが食感は異なる

日本米でもビリヤニ風の料理は作れます。

ただし、日本米はバスマティライスより粘りが出やすく、吸水性も異なります。

水分を控え、やや固めに加熱し、混ぜすぎない工夫が必要です。

本来の軽やかな粒立ちや香りを体験したい場合は、インド食材店や通販などでバスマティライスを探すとよいでしょう。

米を替えるだけでも、仕上がりの印象は大きく変化します。

ビリヤニの保存と温め直し方

調理後のビリヤニは室温に長時間放置せず、食べない分を清潔な容器へ移して、できるだけ早く冷蔵または冷凍します。

特に肉、魚介、卵を含むものは、温度管理に注意してください。

電子レンジで温める場合は、少量の水を振り、ふんわりとラップをかけて中心部まで十分に加熱します。

鍋やフライパンを使う場合は、少量の水を加えてふたをし、弱火で蒸すように温めると米の乾燥を抑えられます。

何度も冷却と再加熱を繰り返すのは避け、食べる分だけ取り分けましょう。

保存期間にかかわらず、においや見た目、粘りなどに異変がある場合は食べないことが大切です。

ビリヤニについてよくある質問

ビリヤニは必ず辛い料理ですか?

必ずしも辛い料理ではありません。

多くのスパイスが使われますが、香りを付けるスパイスと唐辛子の辛さは別のものです。

地域や店によっては、辛みを抑えて香りやだしを重視したビリヤニもあります。

ベジタブルビリヤニもビリヤニですか?

肉を使わないベジタブルビリヤニは、インドをはじめとする各地で広く作られています。

野菜、豆、パニールなどを使用し、スパイスやハーブの香りを米へ重ねます。

プラオとの分類をめぐる意見はありますが、実際の食文化で定着した料理名として尊重するのが適切です。

ビリヤニにカレーをかけてもよいですか?

ビリヤニはそのままで完成した料理ですが、地域によってはサランなどの汁気のある付け合わせと一緒に食べます。

最初は何も加えずに米と具材の香りを確認し、その後、付け合わせを少量ずつ加えると魅力が分かりやすくなります。

ビリヤニはインドだけの料理ですか?

インドを代表する料理の一つですが、インドだけのものではありません。

パキスタン、バングラデシュ、スリランカなどにも豊かなビリヤニ文化があります。

さらに、交易や移住を通じて中東、東南アジア、アフリカなどへ伝わり、現地の食材を取り入れた料理へ発展しています。

ビリヤニは地域の歴史を味わえる米料理

ビリヤニとは、米、具材、スパイスを一つの鍋で調理するだけの料理ではありません。

米粒の食感、肉や野菜のうま味、スパイスやハーブの香りを層として組み立て、一口ごとに違った表情を生み出す料理です。

その背景には、ペルシャ圏との文化的なつながり、インド亜大陸の宮廷文化、交易、移住、宗教、地域の農産物などがあります。

ハイデラバード、ラクナウ、コルカタ、マラバール、シンドなどのビリヤニを比べれば、同じ料理名の中に驚くほど多様な価値があることに気付くでしょう。

一つの作り方だけを本物と決めるのではなく、使われている米や具材、調理技法、土地の歴史へ目を向けることが、ビリヤニをより深く楽しむ近道です。

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KOBIT編集部:Fumi.T)

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