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ロイクラトンとは?タイの灯籠流しに込められた意味とクラトンの素材・作り方

ロイクラトンは、タイ各地の川や運河、池などに、灯りをともした小さな灯籠を浮かべる伝統行事です。

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タイ語のロイには浮かべる、流すという意味があり、クラトンは葉などで作られた小さな器や灯籠を指します。

そのため、日本ではタイの灯籠流しと紹介されることがあります。

ただし、日本の灯籠流しや精霊流しと、歴史的・宗教的な背景まで同じというわけではありません。

ロイクラトンには、水の恵みへの感謝、水を汚したことへの謝意、災いや過去の過ちを手放す願いなど、いくつもの意味が重ねられています。

夜の水面を進む無数の明かりは幻想的ですが、ロイクラトンの魅力は景観だけではありません。

クラトンに使われる植物の性質、葉を折って装飾する技術、地域ごとの表現、行事後の回収まで知ると、一つの灯籠に込められた文化的価値が見えてきます。

ロイクラトンはいつ開催される?

開催日は毎年変わる

ロイクラトンは、一般にタイの陰暦12月の満月の夜に行われます。

現在使われている太陽暦では11月ごろに当たることが多いものの、日にちは毎年同じではありません。

また、大規模な催しは満月当日だけでなく、前後数日間にわたって開催される場合があります。

旅行中に参加したい場合は、タイ国政府観光庁、開催都市、会場、宿泊施設などが公表する最新情報を確認しましょう。

地域によって催しの内容が異なる

ロイクラトンでは、クラトンを水に浮かべるほか、伝統舞踊、音楽、パレード、花火、クラトンの美しさを競う催しなどが行われます。

ただし、すべての地域で同じ内容が実施されるわけではありません。

静かに祈りをささげる場所もあれば、観光客を含む多くの人でにぎわう会場もあります。

ロイクラトンは全国一律の形式ではなく、地域文化を反映しながら受け継がれている行事です。

ロイクラトンに込められた意味

水への感謝と謝意

タイでは暮らしや農業と水が深く結び付いてきました。

ロイクラトンには、水の恵みに感謝し、日々の生活で水を汚してしまったことについて謝意を表すという解釈があります。

川や運河にクラトンを浮かべる行為は、水を単なる資源としてではなく、人の暮らしを支える大切な存在として捉える機会にもなっています。

一方で、感謝を示すためのクラトンが水域のごみになれば、行事の趣旨との矛盾が生じます。

現在のロイクラトンでは、祈りの意味と環境保全をどのように両立させるかも重要な課題です。

災いや過去を手放す願い

クラトンが自分から離れて水面を進む様子に、災い、悲しみ、過去の過ちなどを手放す意味を重ねる人もいます。

新たな幸福やよい未来を願いながら、家族、友人、恋人と一緒にクラトンを浮かべることもあります。

ただし、ロイクラトンの意味は一つに限定されません。

仏教的な解釈、地域の水への信仰、個人の願いなどが重なっており、参加者によって受け止め方は異なります。

ロイクラトンの起源と歴史

起源は一つに断定できない

ロイクラトンは、タイ北部に存在したスコータイ王朝の時代に始まったと説明されることがあります。

しかし、現在知られている形式がいつ、どこで確立したのかについては複数の見方があり、単一の起源を確定するのは困難です。

水に関係する土着の習俗、仏教的な物語、宮廷文化、各地域の祭礼などが、長い時間をかけて結び付いた可能性があります。

ロイクラトンを理解する際は、有名な説をそのまま史実とみなすのではなく、伝承と確認可能な歴史を分けて考えることが大切です。

ナーン・ノッパマートの伝説

ロイクラトンの由来としてよく語られるのが、王に仕えた女性ナーン・ノッパマートの物語です。

彼女がバナナの葉などを使って美しいクラトンを作り、王に献上したことが行事の始まりになったと伝えられています。

もっとも、この物語には後世に成立した文学や伝承との関係が指摘されており、すべてを歴史的事実として扱うことはできません。

それでも、ナーン・ノッパマートの物語は、クラトンを美しく飾る文化や現代の関連行事に影響を与えた重要な伝承といえます。

クラトンはどのようなモノ?

基本となる構造

クラトンは、水に浮かぶ土台と、その上に取り付ける葉、花、ろうそく、線香などから構成されます。

水上で安定させるには、土台に十分な浮力を持たせ、重心を中央付近に置く必要があります。

装飾は、中心から外側へ広がる花のような形や、葉を規則的に重ねた形が代表的です。

明かりをともすための道具でありながら、植物を使った小さな工芸品としての側面もあります。

手作業で作られたクラトンには、制作者の技術や美意識が表れます。

バナナの幹と葉が使われる理由

伝統的なクラトンの土台には、バナナの幹を輪切りにしたものが使われます。

バナナの幹は加工しやすく、水上で浮力を得やすい素材です。

その表面をバナナの葉で覆い、折り畳んだ葉や花を取り付けて仕上げます。

バナナの葉は、折る、巻く、重ねるといった加工がしやすく、葉の光沢も装飾に生かせます。

身近な植物を目的に合わせて使う知恵と、限られた素材から立体的な形を作る技術が、クラトンには凝縮されています。

現代のクラトンに使われる素材

現在はバナナの幹や葉のほか、パン、花、トウモロコシ由来の素材など、さまざまな材料で作られたクラトンがあります。

過去には、安価で浮かべやすい発泡スチロールやプラスチックが広く使われた例もありました。

ただし、土台が自然素材でも、針、ホチキス、金属線、接着剤、ラメ、プラスチック製の飾りが混ざっていれば、回収後の分別は難しくなります。

環境への影響を考える際は、土台だけでなく、固定具や細かな装飾まで確認することが重要です。

クラトンの基本的な作り方

土台を整えて葉で覆う

植物素材を使う場合は、まずバナナの幹などを円形に整えて土台にします。

次に、土台の表面や側面をバナナの葉で覆います。

葉の向きや重なりをそろえると、自然素材でも端正な印象に仕上がります。

その上に、折った葉や花を外周から配置し、中央へろうそくや線香を立てます。

現地の制作体験に参加する場合は、使用できる素材や固定方法について主催者の指示に従いましょう。

水上で安定するバランスを考える

美しく見せるだけでなく、浮かべたときの安定性も大切です。

重い花や背の高い飾りを一方向へ集中させると、クラトンが傾いたり転覆したりする原因になります。

装飾を均等に配置し、ろうそくや線香を中央付近に設置するのが基本です。

大きく豪華にすればよいわけではなく、少ない素材でも安定して浮き、回収しやすい構造にすることが、現代のクラトン作りでは求められます。

ロイクラトンとコムローイの違い

ロイクラトンの写真を探すと、夜空へ無数のランタンが上がる景色も見つかります。

この空へ上げる紙製のランタンはコムローイと呼ばれ、水に浮かべるクラトンとは別のモノです。

タイ北部のチェンマイ周辺では、ロイクラトンと近い時期にラーンナー文化に由来するイーペン祭りが行われます。

そのため、水面のクラトンと空のコムローイが同じ時期の風景として紹介され、両者が混同されることがあります。

コムローイは、内部の熱気によって浮上する仕組みです。

火災、航空機への影響、落下物などの危険があるため、自由に上げてよいものではありません。

実施できる日時や区域が規制される場合があり、参加するときは必ず公式イベントの案内に従う必要があります。

地域によって異なるロイクラトン

バンコク

バンコクでは、チャオプラヤー川沿い、公園、ホテルなどで関連イベントが行われます。

都市ならではの華やかな演出を楽しめる一方、会場の混雑や水辺での転倒、交通規制に注意が必要です。

公園の池など、クラトンを回収しやすい管理された水域が利用されることもあります。

スコータイ

スコータイでは、歴史公園周辺で行われる催しがよく知られています。

遺跡と灯り、伝統芸能などが組み合わさり、歴史的な景観の中でロイクラトンを体験できます。

ただし、スコータイを発祥地とする説明は有名な説の一つであり、確定した起源として単純化しないことが大切です。

チェンマイ

チェンマイでは、水にクラトンを浮かべるロイクラトンと、北部のイーペン祭りが近い時期に行われます。

灯籠、ランタン、地域独自の装飾など、多様な光の文化に触れられる場所です。

コムローイを体験したい場合は、許可された会場かどうかを必ず確認しましょう。

ロイクラトンが抱える環境問題

自然素材でも流せば終わりではない

水に浮かべたクラトンは、その場で消えてなくなるわけではありません。

植物素材は時間とともに分解されますが、一度に大量のクラトンが流されれば、水質、景観、水生生物、航行などに影響する可能性があります。

行事の後には、自治体や関係者がクラトンを回収し、素材ごとに分別します。

天然素材だから回収しなくてもよいという考え方ではなく、回収まで含めて行事を成り立たせる必要があります。

パンで作られたクラトンも、すべてが魚の餌になるとは限りません。

水域の広さや生息する生物に対して量が多ければ、食べ残しが水質へ負担を与える可能性があります。

素材名だけで環境に優しいと判断せず、会場の方針に従うことが重要です。

人工素材は回収と分別が難しい

発泡スチロールやプラスチックは軽くて浮きやすい一方、壊れて細かな破片になると回収が難しくなります。

針や金属線は、生き物だけでなく回収作業をする人を傷つけるおそれもあります。

環境負荷を抑えるには、公式会場が認めたクラトンを利用する、異素材を多用しない、家族やグループで一つのクラトンを共有する、回収体制のある場所で浮かべるといった方法が考えられます。

数を増やすことより、一つのクラトンへ丁寧に願いを込める姿勢が大切です。

使用済みクラトンは再利用できる?

個人で持ち帰る再利用には向かない

水に浸かったクラトンには、泥、ろう、燃え残り、金属、接着剤などが付着している可能性があります。

衛生面や安全面を考えると、使用済みのクラトンをそのまま室内装飾や生活用品として再利用するのは現実的ではありません。

また、水上に残ったクラトンを無断で拾うと、地域の回収作業を妨げる可能性があります。

記念品にしたい場合は、流す前に写真へ残す、未使用の工芸品を正規の店舗で購入するなどの方法が適しています。

生の植物を日本へ持ち帰る場合は植物検疫の対象となる可能性があるため、事前確認も必要です。

素材と技法を次のモノ作りへ生かす

ロイクラトンにおけるリユースや利活用は、使用済みのクラトンをそのまま使い回すことだけではありません。

回収後の植物素材は、異物を適切に取り除ける場合、地域の処理方法に応じて堆肥化などへつなげられる可能性があります。

さらに、葉を折る技法、花の配色、放射状に飾る構成、身近な植物を無駄なく使う知恵は、テーブル装飾や短期間のディスプレイなどへ応用できます。

モノの価値は、売買価格や保存年数だけで決まるものではありません。

作る体験、地域文化への理解、技術の継承も、クラトンが持つ大切な価値です。

参加するときのマナーと注意点

ロイクラトンへ参加するときは、水辺ならどこでも自由にクラトンを流せると考えず、指定された会場と時間を確認しましょう。

素材や火気の使用に独自の規則を設けている会場もあります。

ろうそくや線香によるやけど、衣服への着火、暗い水辺での転倒や転落にも注意が必要です。

子どもだけで水際へ近づかせず、撮影中も通路や回収作業の場所をふさがないようにします。

寺院や祈りの場では、観光写真を撮ることだけを目的にせず、地域の人々への敬意を持って行動しましょう。

人物を近距離から撮影する場合は同意を得ることが望ましく、寺院へ入る際は過度な露出を避けた服装が適しています。

まとめ

ロイクラトンは、タイの陰暦12月の満月ごろに行われる、水と灯りの伝統行事です。

水への感謝や謝意、災いを手放す願いなどが込められ、参加者は植物などで作られたクラトンを水面へ浮かべます。

クラトンは一夜限りの灯籠でありながら、植物の性質を生かす知恵、葉を折る技術、花の装飾、祈りの文化が集約されたモノです。

一方、自然素材であっても、流した後には回収と分別が欠かせません。

ロイクラトンを未来へ受け継ぐには、華やかな景色だけでなく、使われる素材と行事後の行方にも目を向けることが大切です。

公式会場のルールを守り、必要以上にクラトンを増やさず、地域文化と水環境の双方を尊重して参加しましょう。

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KOBIT編集部:Fumi.T)

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