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不動産は寄付できるの? 現在の不動産贈与税制の課題とは?

#不動産の寄付#遺贈寄付

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土地・建物のままNPOに寄付できる?

終活を意識するような年代や健康状態になると、「今住んでいる土地や建物は、そのままNPOに寄付して役立ててもらおう」と考える人もいるかもしれません。全く不可能ではないものの、現実にはいくつかのハードルがあるようです。

現物のまま受け入れているNPOは少ない

土地や建物をそのまま受け取るNPOは決して多くはありません。不動産だけではなく、株券・国際・家財道具・貴金属なども同様です。中には、「相続財産からの寄付」として、遺産による寄付を歓迎しているような案内を出しているNPOもないわけではありません。しかし、よく読んでみると、「受け取るのは現金化してから」といったことが多いようです。

たとえば、「特定非営利活動法人 国境なき医師団日本」の場合にも、「不動産や有価証券など現金以外の寄付は、原則として遺言執行者となられる方に現金化をお願いしております」と明示されています。現金化しないで受け取るのは、「遺言執行者による換価処分が困難である際」と例外扱いでしかありません。

土地・建物のまま受け入れた場合の問題点

現金以外ではなかなか受け取ってもらえない理由のひとつに、「みなし譲渡所得課税」があります。

不動産や貴金属などをNPOが受け取った後に売却し、それが寄付者が入手したときよりも高額だった場合、その差額分に対して税金がかかります。これを「みなし譲渡所得課税」といいます。支払い義務があるのは、寄付した側(遺産の相続人)です。つまり、土地や建物だけではなく、それにプラスしていくらかのお金まで支払うことになる可能性が少なくありません。

もしも、その土地や建物がそのままNPOの施設として使えるのならば、また話も変わってくるでしょう。しかし、そうなるのはよほど条件が合った時だけです。特に、山林や田畑は「もらっても、そのまま置いておくと、固定資産税など経費ばかりがかかる」といったことになりかねません。

「遺贈寄付」には税制上の優遇がある

現金化してからにせよ、そのままの不動産などにせよ、こういった寄付の仕方を「遺贈寄付」といい、パターンは3つあります。

  1. 遺言による寄付=死後、自分の財産を、NPO法人・公益法人・学校法人などに寄付するように指定しておくもの。その内容は、遺言(できれば、公正証書遺言)に残しておく必要がある。
  2. 相続財産の寄付=本人は手紙やエンディングノートや言葉で、寄付の意向を伝えておく。実際に寄付をするのは相続人。
  3. 信託による寄付=信託を受けるもの(信託銀行など)と契約。資産を先に預けておいて、死後に信託会社などから寄付の手続きを取ってもらう。

これらの場合、「当人が亡くなってから10カ月以内に、相続人がNPO法人・公益法人・社会福祉法人・学校法人などに寄付した場合、相続税が非課税になる」などの優遇を受けることができます。

一部だけを遺贈寄付に回すなどうまく使えば、そのまま相続するよりも遺族の手元に残る金額が多い場合まであります。

ただ、この遺贈寄付は法律や税制上の扱いが非常に複雑です。まずは、弁護士・税理士、あるいは遺贈寄付を受け付けているNPOなどに相談するようにしたほうがいいでしょう。

遺贈寄付も終活のひとつ

国などの統計があるわけではありませんが、NPO法人の担当者などの実感では、遺贈寄付も増えてきているようです。おそらくは、「終活」という言葉が一般的になり、生前から自分の遺産の行方を気にする人が増えたのでしょう。

こうした流れを汲んで、国の制度も変わる動きを見せています。先日2020年2月14日には、税制改正法案に「寄付に関する非課税制度を拡充する案」が盛り込まれたことがニュースになりました。
「NPO寄付方法を多様に 不動産など非課税」 – 2020/2/14付 日本経済新聞 朝刊

多くの人にとって、不動産は最大の財産でしょう。じっくりと行き先を考えたいものです。今では、個々のNPOも対応が整いつつあるほか、相談窓口も増えています。これに加えて法改正がなされれば、大きな追い風となりそうです。

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