世界遺産とは?登録基準や種類など意外と知らない基礎知識
歴史的な建造物や絶景というイメージのある世界遺産ですが、どのような基準で選ばれるのか、世界や日本にはどのくらいの数の世界遺産があるのか知らないことも多いのではないでしょうか。
本記事では「世界遺産とは?」をテーマに基礎知識をお伝えしていきます。
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世界遺産とはどういったもの?選定基準や種類について
世界遺産は、1972年第17回UNESCO総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(通称:世界遺産条約)に基づき、世界遺産リストに記載された建造物や遺跡、景観、自然遺産のことを言います。
世界遺産リストに登録されるためには、下記登録基準のいずれか1つ以上に合致することのほか、真実性や完全性、適切な保護管理体制がとられていることが求められています。
<世界遺産の登録基準>
(出典:公益社団法人日本ユネスコ協会連盟[1])
(i)
人間の創造的才能を表す傑作である。
(ii)
建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又はある文化遺産圏内での価値観の交流を示すものである。
(iii)
現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化遺産的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。
(iv)
歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。
(v)
あるひとつの文化遺産(または複数の文化遺産)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの)
(vi)
顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。
(vii)
最上級の自然遺産現象、又は、類まれな自然遺産美・美的価値を有する地域を包含する。
(viii)
生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然遺産地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。
(ix)
陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。
(x)
学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然遺産の生息地を包含する。
世界遺産は「有形の不動産」を対象として、次の3つの種類があります。
文化遺産
人類が作り上げた遺産として、記念物、建造物群、遺跡などで、代表的なものとしてはエジプトのピラミッドやインドのタージ・マハールがあります。日本の世界遺産の中では、この文化遺産の登録が最も多く、日本で最初に登録されたのは奈良県の法隆寺地域の仏教建造物と兵庫県の姫路城でした。
自然遺産
地形や地質、生態系、絶滅のおそれのある動植物といった、自然遺産や地域の遺産で、オーストラリアの「グレート・バリア・リーフ」やエクアドルの「ガラパゴス諸島」、日本では「屋久島」や「奄美大島」などが自然遺産に登録されています。
複合遺産
文化遺産と自然遺産の両方の価値を兼ね備えているものが複合遺産とされ、代表的なものとしてペルーの「マチュピチュ」、パラオの「ロックアイランド」、エアーズロックの名で知られるオーストラリアの「ウルル=カタ・ジュタ国立公園」などがあります。日本には現在複合遺産の登録はありません。
日本の世界遺産の数はどのくらいある?
1972年に採択された世界遺産は、2023年1月現在で世界194カ国に1,157件登録されています[2]。
そのうち、日本では文化遺産が20件、自然遺産5件の計25件が登録されています。
No. | 資産名 | 所在地 | 記載年 | 区分 |
---|---|---|---|---|
1 | 法隆寺地域の仏教建造物 | 奈良県 | 平成5年 | 文化遺産 |
2 | 姫路城 | 兵庫県 | 平成5年 | 文化遺産 |
3 | 屋久島 | 鹿児島県 | 平成5年 | 自然遺産 |
4 | 白神山地 | 青森県・秋田県 | 平成5年 | 自然遺産 |
5 | 古都京都の文化遺産財(京都市、宇治市、大津市) | 京都府・滋賀県 | 平成6年 | 文化遺産 |
6 | 白川郷・五箇山の合掌造り集落 | 岐阜県・富山県 | 平成7年 | 文化遺産 |
7 | 原爆ドーム | 広島県 | 平成8年 | 文化遺産 |
8 | 厳島神社 | 広島県 | 平成8年 | 文化遺産 |
9 | 古都奈良の文化遺産財 | 奈良県 | 平成10年 | 文化遺産 |
10 | 日光の社寺 | 栃木県 | 平成11年 | 文化遺産 |
11 | 琉球王国のグスク及び関連遺産群 | 沖縄県 | 平成12年 | 文化遺産 |
12 | 紀伊山地の霊場と参詣道 | 三重県・奈良県・和歌山県 | 平成16年 | 文化遺産 |
13 | 知床 | 北海道 | 平成17年 | 自然遺産 |
14 | 石見銀山遺跡とその文化遺産的景観 | 島根県 | 平成19年 | 文化遺産 |
15 | 小笠原諸島 | 東京都 | 平成23年 | 自然遺産 |
16 | 平泉‐仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群‐ | 岩手県 | 平成23年 | 文化遺産 |
17 | 富士山‐信仰の対象と芸術の源泉‐ | 山梨県・静岡県 | 平成25年 | 文化遺産 |
18 | 富岡製糸場と絹産業遺産群 | 群馬県 | 平成26年 | 文化遺産 |
19 | 明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業 | 福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・鹿児島県・山口県・岩手県・静岡県 | 平成27年 | 文化遺産 |
20 | ル・コルビュジエの建築作品‐近代建築運動への顕著な貢献‐ | 東京都 ※フランス・ドイツ・スイス・ベルギー・アルゼンチン・インド | 平成28年 | 文化遺産 |
21 | 「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群 | 福岡県 | 平成29年 | 文化遺産 |
22 | 長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産 | 長崎県・熊本県 | 平成30年 | 文化遺産 |
23 | 百舌鳥・古市古墳群‐古代日本の墳墓群‐ | 大阪府 | 令和元年 | 文化遺産 |
24 | 奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島 | 鹿児島県・沖縄県 | 令和3年 | 自然遺産 |
25 | 北海道・北東北の縄文遺跡群 | 北海道・青森県・岩手県・秋田県 | 令和3年 | 文化遺産 |
(出典:文化庁-日本の世界遺産一覧より編集[2])
ご存知の場所もあれば、はじめて知った世界遺産もあると思いますが、日本の歴史を考えると、意外と数が少ないと思う方もいらっしゃるかもしれません。
まとめ
世界遺産は「顕著な普遍的価値」を持つものが選ばれています。しかしながら、武力紛争、自然災害などを理由に、その普遍的な価値を保つことができない「危機遺産」が増え続けていることが問題視されています。
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世界遺産は一国のものではなく、私たち人類が共通の財産であり、維持し続けることが人類の未来の存続につながると考えても言い過ぎではないと思います。
世界遺産とは何かを改めて理解したことをきっかけに、人類が築き上げてきた文化や歴史を後世へつなげていくために、私たちができることを考えてみてはいかがでしょうか。
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<参考文献>
[1] 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟,「世界遺産の登録基準」,available at https://www.unesco.or.jp/activities/isan/decides/
[2] 文化遺産庁,「世界遺産」,available at https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/sekai_isan/
[3] 文化庁,「日本の世界遺産一覧」,available at https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/sekai_isan/ichiran/
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