1950年代後半から1970年代、高度経済成長期で日本の生活が豊かになっていった時代に起きた負の遺産とも称される「四大公害病」。

あれから50年以上が経過した現在、その当時の記憶を覚えている方はだんだんと少なくなってきました。

四大公害病とは、イタイイタイ病、水俣病、新潟水俣病、四日市ぜんそくを言いますが、それぞれ、どのような場所で、何が原因で起こったのか、そしてその地域に住む人々にどんな深刻な症状を引き起こしたのかについてまとめました[1][2]。

四日市ぜんそく

1960年頃から1970年頃までに三重県の四日市市を中心に起きた公害です。

石油コンビナートから出る煙に含まれていた硫黄酸化物が原因で、地域住民に喘息（ぜんそく）の症状をもたらしました。

最終的に認定された患者数は、1,700人になり、最もひどい時期には、50歳以上の10％以上が発病した地域もあったとされています。

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イタイイタイ病

1910年から1970年代前半までと、四大公害病の中で最も長く影響を及ぼしたとされるのが、富山県の神通川下流域で発生した公害です。

長く原因不明とされてきましたが、1955年に新聞で紹介されたことをきっかけに研究が進み、三井金属鉱業の鉱山や製錬工場から排出されたカドミウムが神通川に流されたのが原因と特定されました。

手足の骨がもろくなる骨軟化症を引き起こし激しい痛みを伴うことから、イタイイタイ病と名が付けられたことでも知られています。

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水俣病

1953年から1960年頃にかけて熊本県の水俣市で発生した公害です。

付近の工場から出た廃液に含まれる「メチル水銀」が原因とされ、メチル水銀を蓄積した魚や貝を食べた人々が手足や口のしびれを訴える症状が出たことから発覚しました。

最終的に認定された患者数は2,200人と、四大公害病の中でも最も多くの被害者を出した公害であり、当時の政府が認めたのは発症からおよそ15年以上経った1968年と大きな遅れを取ったことも問題となりました。

新潟水俣病

1964年頃から新潟県阿賀野川流域で発生した公害で、原因は熊本県で起きた水俣病と同じメチル水銀であったことから、第二水俣病とも言われています。

先に起きた熊本県の水俣病の原因究明と対策が遅れを取ったことが原因で防げなかった公害で、公害問題に対する国民世論を加速させた事件とも言われています。

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まとめ

四大公害病に共通するのは、高度経済成長期にあった日本が企業利益を優先したことが原因です。

私たちは、この深刻な公害を乗り越えて現在がありますが、世界の発展途上中の国々では、当時の日本と同様のことが起きている地域もあります。

私たちが学んだ当時の教訓は他国を救う力になります。そのため、四大公害病をはじめとした負の教訓は、風化させずに次世代へとつなげていく必要があります。

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（KOBIT編集部：Fumi.T）

＜参考文献＞
[1] 富山県，「産業の振興と公害」，available at https://www.pref.toyama.jp/1291/kurashi/kenkou/iryou/1291/100035/virtual/virtual03/virtual03-7.html#:~:text=%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%82%A4%E7%97%85%E3%81%AF%E3%80%81%E5%90%8C%E6%99%82%E6%9C%9F%E3%81%AB,%E7%97%85%E3%81%A8%E3%81%84%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
[2] 国立環境研究所，「用語解説：4大公害病」，available at https://www.nies.go.jp/nieskids/oitachi/yougo02.html