障がいがあっても、みんなが一緒に楽しめる「インクルーシブ公園」とは
ここ最近、「インクルーシブ公園」という言葉を耳にする機会が増えた方も多いのではないでしょうか。
欧米では20年以上前から広がってきたこの公園ですが、日本では2020年に初めて東京都に誕生し、徐々に拡大しつつあります。
今回は、インクルーシブ公園の特徴や社会に果たす役割についてお伝えしていきます。
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インクルーシブ公園とは?従来の公園との違い
インクルーシブとは、直訳すると「包括的な」という意味になりますが、東京都建設局のガイドラインから定義を引用すると、
「誰もが自分らしく輝くことのできるダイバーシティの実現に向けて、障がいの有無に関わらず、子ども達が安全に遊ぶことができる遊び場」
という役割を担う公園のことを言います[1]。
従来の公園は、自治体の計画によって作られるものでしたが、インクルーシブ公園は計画から完成後まで、利用者からのヒアリングを重ねて検証と改善を繰り返していく違いがあります。
つまり、作ったら終わりではなく「進化し続ける公園」というのが、インクルーシブ公園の大きな特徴となります。
また、これまでも年齢、国籍、性別、障害の有無や身体的能力などを問わないユニバーサルデザインの遊具など、一部が整備されている公園はありましたが、公園全体がユニバーサルデザインで整備を進めていくことが、インクルーシブ公園であるための条件となっています。
首都圏から広がりを見せるインクルーシブ公園
インクルーシブ公園は、現在首都圏を中心に徐々に全国的に広がりを見せつつあります。具体例として、東京都と神奈川県にある3つの施設をご紹介します。
都立砧公園(東京都世田谷区)
東京都世田谷区の環八通りと東名高速道路が交差する場所に位置する砧公園は、日本で最初のインクルーシブ公園です。
391,777㎡の敷地内には、「ユニバーサルデザイン」の遊具が揃う「みんなのひろば」や芝生の上でのんびりとした時間が過ごせる「ファミリーパーク」、アスレチック要素が盛り込まれた「子供の森」などがあります。
また、サービスセンターや隣接する世田谷美術館には授乳スペースやおむつ替えスペースがあり、園内のトイレの多くが車椅子対応になっているなど、赤ちゃんから大人まで、誰でも安心して利用できる環境が整っています。
としまキッズパーク(東京都豊島区)
東京都豊島区東池袋駅から徒歩5分、サンシャインシティにほど近い「としまキッズパーク」は、遊具や建物が赤で統一されたデザインの「真っ赤な」公園です。
鉄道ファンには馴染み深い、JR九州の観光列車をはじめ、数多くの鉄道デザインを手掛けてきた水戸岡鋭治氏が園内のデザインを担当したことでも話題となりました。
園内の赤色は、IKEBUKURO RED(イケブクロレッド)と命名され、「人々に元気を与える色」として、としまキッズパークのテーマカラーとなっています。
一般的な公園とは違い、予約が必要な1時間の入れ替え制で、未就学児から小学校低学年向けの子どもが安心して遊べる環境が整っています。
秋葉台公園(神奈川県藤沢市)
神奈川県秋葉台公園は、スポーツ施設が集まる総合的な運動公園で、2021年3月にインクルーシブな遊具が体育館横の約2,700㎡の「トリム広場」に設置されました。
遊具などの使用に規制は設けない代わりに、各遊具が十分な間隔で配置されていることから、視覚障がいや発達障がい、知的障がいなどのある子どもたちでも、遊びに集中することができたり、保護者の目が行き届きやすいよう配慮されています。
問題点や課題も。障がい者支援に必要なこと
首都圏を中心に広がりを続けるインクルーシブ公園ですが、改善すべき問題点や課題も出てきていると言います。
例えば、障がい者やその家族にとっては、インクルーシブ公園にある遊具で遊ぶことはできるかもしれませんが、障害のない子どもたちとの関わり自体が、そもそも心理的負担が大きいことも少なくありません。
インクルーシブ公園という場所に、いかにして”みんな”を集めるかがまずもっての課題であり、その上で集まった人たち同士でインクルーシブな社会を作っていくことが必要とされます。
これは、日本全体の障がい者支援のあり方にも求められていることであり、公園という小さなコミュニティーの場での成功事例が、今後の障がい者支援にも活かされていくのではないかと考えられ、全国的な拡大が期待されます。
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(KOBIT編集部:Fumi.T)
<参考文献>
[1] 東京都建設局,「だれもが遊べる児童遊具広場の整備」,available at https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jigyo/park/tokyo_kouen/kouen0086.html
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