世界的に深刻な大気汚染。四日市ぜんそくの経験から未来を考える
途上国の経済発展の裏で深刻な環境問題を引き起こしている大気汚染。
現在日本は世界トップクラスの大気汚染対策に取り組んでいると言われていますが、PM2.5、黄砂など、大陸を越えた影響も課題とされています。
実は、こうした他国で起きている深刻な大気汚染の問題と全く同じ現象が、高度経済成長期の日本でも同様に起きていたことはご存知でしょうか。
それが、三重県の四日市市で発生した「四日市ぜんそく」です。
今回は、世界的に深刻化している大気汚染の問題について、かつての日本が引き起こしてしまった四日市ぜんそくという公害の歴史を紐解きながら考えていきたいと思います。
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日本の発展の代償として起こった四日市ぜんそくの歴史
日本が先進国の仲間入りを果たす好景気に突入した1960年代。
三重県四日市でも高度経済成長の勢いそのまま、日本を代表する石油化学工業都市へと発展していく中で、コンビナートの操業直後から、煙、振動、悪臭といった生活環境の問題が次々と起こっていきました。
とくに、当時の石油は硫黄分の多い中東原油を使っていたため、大気中に高濃度の二酸化硫黄が撒き散らされ、このガスを吸い込んだ人たちが次々とぜんそくになってしまったことから、「四日市ぜんそく」という公害問題へと発展していったのです。
経済発展の代償として、四日市に暮らす住民の健康や命まで奪うことになってしまった四日市ぜんそく。
くしくもこの経験によって日本が世界に誇る「大気汚染”対策”国」となるきっかけとなったわけですが、三重県では現在まで各環境対策として1兆円規模の費用を投じて、着実に環境改善を進めてきた歴史があります。[1]
大気汚染に国境はない。誰もが健康で住み続けられる世界を実現するために
日本人の記憶からは、だんだんと薄れつつある四日市ぜんそく。
しかしながら、ネパール、インド、パキスタンといった、急速な経済発展を遂げている南アジアの国々では、今まさに四日市ぜんそくと同じような大気汚染問題に直面しています。
事実、国連の報告によれば、2016年時点で大気汚染は420万人の早死の原因と言われています。[2]
こうした深刻な状況を目の当たりにすれば、教科書の1ページの歴史的事実になりつつある四日市ぜんそくの経験は、決して風化させてはいけないものではないでしょうか。
よりよい世界の実現を目指して世界的な取り組みが行われているSDGsでも、目標11に「大気や廃棄物を管理し、都市の環境への悪影響を減らす」が掲げられていますが、
私たち日本が公害問題を乗り越えた経験、大幅な環境改善を実現した技術を他国につなげていくことが、持続可能な社会の実現には必要なことだと思います。
▼四大公害病についてまとめた記事も合わせてご参考ください
四日市ぜんそくの現在は?日本の歴史を教訓に私たちにできること
「四日市公害」で患者らの全面勝訴となった訴訟の判決から、50年以上が経った現在。四日市ぜんそくを知る「語り部」は、わずか3人にしかいないと言われています[3]。
しかしながら、かつて日本が経験した四日市ぜんそくのような大気汚染に直面している国々は現在数多く存在しています。
こうした私たち日本が経験してきた教訓を活かすために、個人レベルで果たして何ができるのか。自国における環境問題には意識を向けやすいものの、他国のことになると、何をしたらよいか分からないという方も多いかもしれません。
大気汚染をはじめとした環境問題は、国や企業だけでなく、NPO(非営利団体)もたくさん活躍しています。
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<参考文献>
[1] 四日市公害について|四日市公害と環境未来館 公式サイト
[2] SDGs報告2020 | 国連広報センター
[3]語り部は3人に…四日市公害での患者ら勝訴判決から50年 地球温暖化等は「“経済か命か”共通する所ある」 | 東海テレビNEWS
KOBIT編集部:Fumi.T KOBIT公式サイト
広告営業のサラリーマン時代から一転、鹿児島県の離島に移住して10年。現在はWebフリーランスとして活動中。妻の無類の猫好きが高じて、先住猫と保護猫合わせて7匹を飼っている他、地域のTNR活動にもWeb担当として参画中。
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