世界遺産・富岡製糸場の「工女」の歴史から見る。女性活躍社会の必要性
群馬県富岡市にある富岡製糸場は平成26年(2016年)6月に世界遺産登録された、近代日本を象徴する場所です。
当時の日本の躍進を支えた存在が「工女」と呼ばれた女性たちでした。
今回は、富岡製糸場と工女の歴史を紐解きながら、今世界的に課題となっている女性の人権確立や女性活躍社会の必要性を改めて考えていきたいと思います。
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日本の近代化を支えた世界遺産「富岡製糸場」の歴史
富岡製糸場は、明治5年(1872年)に、日本で初めての官営(国営)の製糸場として群馬県の富岡市に作られました。
当時の日本は江戸時代の鎖国が終焉を迎え、海外との貿易を積極的にはじめようとしていた時代です。
製造業の技術に乏しかった日本は、唯一世界トップクラスの技術であった製糸業の輸出を皮切りに、諸外国と対等の立場に立ち、近代化を加速させようとしました。
富岡製糸場は、日本近代化の象徴と位置づけられ、長さ約140.4メートル、幅12.3メートル、高さ12.1メートルと、当時、世界最大規模の大きさを誇りました。
女性活躍社会の原点。世界に誇る品質を生み出した「工女」の存在
この富岡製糸場で作られた生糸は世界一とも言われる品質と評され、またたくまに欧米諸外国へと大量に輸出されました。
こうして日本経済発展の原動力となっていった製糸業ですが、この産業を支えていたのが富岡製糸場で働く女性の存在だったのです。
古くから上州(群馬県)は絹産業が盛んで、女性が養蚕・製糸・織物で家計を支えてきた地域でした。
特に繭から生糸をとるためには女性の繊細な指での作業が欠かせなかったため、良質な糸を大量生産するために全国から女性を募集し、彼女たちは「工女」と呼ばれて製糸の技術を磨きながら懸命に働きました。
工女と聞くと、映画『あゝ野麦峠[1]』の過酷な労働条件を想像する方もいらっしゃるかもしれませんが、富岡製糸場は他の工場と比べると労働環境は恵まれていたと言われており、
寄宿舎制度、1日3食の支給、週休や盆・正月の長期休暇など福利厚生が整備され、休日・祭日には女性たちは街に出て娯楽を楽しむ時間もしっかり持てたと言われています。
そうした整った環境であったからこそ、工女としてのプライドを持って働き、努力を重ねて技術を磨くことができ、後に富岡製糸場で得た経験と技術を各々の地元に持ち帰って、地域の製糸業の普及に貢献したのです。
「かかあ天下」という言葉[2]はここ上州(群馬県)で誕生したものですが、当時の日本経済の発展を支えた日本の女性たちの姿そのものを表した敬意ある言葉だったと言えるかもしれません。
女性がもっと輝ける社会を実現するために。私たちができること
現在世界的な取り組みとして行われているSDGsの目標の中で女性の人権確立や女性活躍社会の実現が掲げられています。
参考:SDGs5「ジェンダー平等」の具体的な取り組みと私たちにできること|支援先におすすめのNPOまとめ 2022年6月度
日本でも「すべての女性が輝く社会づくり」として女性活躍・男女共同参画は重点方針として各所で取り組みが行われていますが、令和3年(2021年)時点では女性の就業率は約7割にとどまっており、依然として課題が多く残されています。
しかし、私たちが歩んできた歴史を紐解いていけば、富岡製糸場で働く工女たちのように、女性が働きやすい環境づくりのヒントはあるのではないでしょうか。
ただ、当時の日本のように全て国や政府だけの力だけでなく、企業や各自治体との連携、さらにはNPOや私たち個人の力も「ジェンダー平等」社会の実現には必要不可欠です。
私たち個人レベルでできることは限られていると思う方もいらっしゃるかもしれませんが、支援という力で後押しすることが可能です。
「お宝エイド」では皆さまから郵送いただいた物品を換金し、NPOの活動原資として送り届ける取り組みをしています。 あなたのご自宅に眠る「お宝」を通じて、行動の第一歩をはじめてみませんか。
※もし、ご支援される際に「譲渡所得税」や「寄付金控除」についてご心配の場合は、ご支援される団体様までお問い合わせください。 お宝エイドでは、さまざまな社会課題の解決へのチャレンジするNPOやNGOといった非営利団体とパートナーシップを組み、物品寄付型ファンドレジングプログラム『お宝エイド』事業を展開しています。
<参考文献>
[1] Amazon,「あゝ野麦峠 [DVD] ,available at https://www.amazon.co.jp/%E3%81%82%E3%82%9D%E9%87%8E%E9%BA%A6%E5%B3%A0-DVD-%E5%A4%A7%E7%AB%B9%E3%81%97%E3%81%AE%E3%81%B6/dp/B00HWT9X0K
[2]文化庁,「かかあ天下|日本遺産ポータルサイト」,available at https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/stories/story002/
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