石油や石炭など、限りあるエネルギー資源に変わる新エネルギーとして注目されている、再生可能エネルギー。

2030年までの世界的な持続可能な開発目標・SDGsでも、再生可能エネルギーの導入が積極的に進められています。

そのような中で、宮崎県の焼酎メーカー、霧島酒造による「サツマイモ発電」の取り組みが国内外で注目を集めています。

ものづくりの裏側にある「廃棄物」という問題

霧島酒造は、1916年（大正5年）創業のさつまいもを原料とした芋焼酎を製造する老舗の蔵元です。

焼酎メーカーの売上高ランキングで9年連続（2020年度時点）のトップと全国的に知られた企業で、1日400トンのサツマイモを使用して、一升瓶で実に20万本の焼酎を製造しています[1]。

かねてより、この大量の焼酎製造において課題となっていたのが「廃棄物」の問題でした。

霧島酒造で製造過程において、1日あたり、芋くずが約15トン、焼酎かすが850トンも出ており、45年ほど前までは、焼酎かすを焼却するために1日約数百万円と莫大なコストもかかっていたそうです。

こうした廃棄物の問題は、食品加工業全てに通じる問題で、日本では年間約2500万トンもの食品廃棄物等が排出されている現状があります[2]。

芋くずや焼酎かすをエネルギーに。国内初サツマイモ発電の取り組み

長年に渡って、芋くずや焼酎かすの再利用にトライ・アンド・エラーを繰り返していた霧島酒造がようやく行き着いたのが廃棄物からのエネルギー化でした。

2003年から焼酎かすの廃液処理に取り組み、2006年にリサイクル事業を開始。

その後、2012年には、芋くずや焼酎かすをメタン発酵させることで作り出したバイオガスを焼酎製造の熱源として活用し、2014年に国内初となるサツマイモ発電として、地元電力会社に売電を実現しました。

さらに、現在ではバイオガスを抽出した後の残りかすも堆肥や浄化によって土に還すなど、ゼロエミッション（排出量ゼロ）を達成しています。

今後2030年度までに、社用車約130台をEVに切り替えるなど、CO2排出量を2013年度比の50%まで削減するための目標を掲げており、新しい挑戦を続けています[3]。

あなたが捨てるものにもお宝が眠っている。新たな価値へとつなげるために

何もしなければ、ただ捨てるほかない廃棄物。

霧島酒造では、この芋くずや焼酎かすを廃棄物ではなく、「大切な宝」と考えたことで新たな価値を見出し、社会貢献へとつなげています。

この考え方は、私たちの普段の生活にも活かすことができます。

例えば、ご自宅にあって今は使い道がなくなって処分を検討しているもの。これらは、かつてあなたにとって価値ある大切だったものに違いません。

そうした、あなたの自宅に眠る「お宝」をそのまま捨ててしまうのではなく、社会貢献という新たな価値を見出してみてはいかがでしょうか。

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＜参考文献＞
[1]焼酎メーカー売上高ランキング（2020年） | 帝国データバンク[TDB]
[2]食品ロス削減関係参考資料（令和3年3月9日版）
[3]サツマイモ発電で資源循環サイクルを確立