シングルマザーの貧困の現状とは。自己責任では語れない課題多き実態
現在日本では、貧困に悩み、経済的な不安を抱えるシングルマザーの増加が社会問題となっています。
自ら離婚を選択したのであって、生活が大変になるのは自己責任という声もありますが、果たしてそんな一言で語れる問題なのでしょうか。
今回は「シングルマザーの貧困の現状」をテーマに、その実態と支援の必要性を見ていきたいと思います。
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シングルマザーの貧困の実態を追う
厚生労働省が公表している「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告[1]」によると、母子世帯の数は119万5,128で、父子世帯のおよそ10倍の数となっています。
シングルマザーになった理由の約8割は離婚によるもので、現状日本では、離婚したら子どもは母親が親権を持つ割合が非常に多いことが分かります。
離婚に至る過程はさまざまありますが、この現状こそがシングルマザーの貧困を自己責任では語れないことを表しているのではないでしょうか。
母子世帯と父子世帯の就労年収を比較していただければ、その実態がお分かりいただけると思います。
- 母子家庭の平均年間就労収入:236万円
- 父子家庭の平均年間就労収入:496万円
このように母子家庭は父子家庭に比べて2倍以上の年収が低いのです。
さらに、就業状況を見ていくと、ひとり親世帯になる前の母親の就業率が78.8%で、その内パート・アルバイト等の非正規雇用が50%なのに対し、父親は就業率96.7%、その内73.1%が正規雇用となっています。
現在、世界的に推進が進められているSDGs(持続可能な開発目標)でジェンダー平等社会の実現がテーマに掲げられていますが、
日本において子育てに対する女性への負担は大きな改善は見られておらず、シングルマザーになってしまうことで、より表面化してしまうことが問題となっているのです。
シングルマザーはまず住宅が必要
このように離婚後に収入面で生活が苦しくなってしまうシングルマザーが多い中、新しい仕事に就きたくても、まずは安心して住める場所の確保が難しい現状もあります。
生活費の支出の中でも住居費のウエイトは特に大きく、離婚後に実家など頼れる場所がある方はまだしも、それができない方には相当な負担が強いられます。
現在ひとり親家庭に対して、収入面を補助してくれる下記のような手当が用意されており、住宅に関しては家賃補助や市営住宅・県営住宅などの優先入居といった形で支援している自治体もあります。
- 児童手当
- 児童扶養手当
- 特別児童扶養手当
- 住宅手当
- ひとり親家庭の医療費助成制度
- 障害福祉手当
- 児童育成手当
しかしながら、こうした支援は受けられても保証人が立てられなかったり、収入が安定しないことやシングルマザーを理由に賃貸を断られてしまうといったケースもあります。
誰しも一度は経験したことがあると思いますが、経済的に逼迫した状況では目の前のことしか考えられず、この先どうして良いのか分からなくなってしまいます。
実際にこうした悩みを抱えるシングルマザーは非常に多く、自治体ではカバーできない問題として深刻化しています。
こうした現状を解決するべく、最近では離婚後の住まい確保を支援するNPO法人も活躍しています。
住まいのサポートを行うNPOの力
ここではその一例として、「特定非営利活動法人 LivEQuality HUB」の活動をご紹介します。
名古屋市に本社を置く総合建設会社の千年建設株式会社が株式会社LivEQuality大家さん、そしてNPO法人LivEQuality HUBを立ち上げ、それぞれが連携して母子家庭の居住支援サポートを行っています。
住まいのサポートだけでなく、地域の支援団体や各企業と連携することで、子どもの環境だけでなく、悩みを抱えるシングルマザー自身の安心と生活再建に向けた総合的な支援に繋がるサポートをしています。
日本のシングルマザーの貧困問題解決は子どもの未来にも通じる
世間的には、ひとり親家庭の最大の被害者は子どもだと言われることが少なくはありません。
しかしながら、ひとり親に至る過程はひとそれぞれであり、特に生活面で苦しむことの多いシングルマザーは「子どものために頑張らなければいけない」という気持ちが焦りや心の余裕を失ってしまう状況を作り出してしまうことも少なくありません。
環境を選択できない子どもの未来を本当に考えるのであれば、シングルマザーになってしまった方の生活再建をいち早く整えることこそが大切なことなのではないでしょうか。
お宝エイドでは、今回ご紹介したLivEQuality HUBはじめ、シングルマザーや貧困で苦しむ子どもたちに手を差し伸べる活動をするNPOを支援する活動を行っています。
あなたがお持ちのお役目を終えた物品を通じて、国内外問わず、さまざまな場所で苦しみや悩みを抱えている方たちへの支援をはじめてみませんか。
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KOBIT編集部:Fumi.T KOBIT公式サイト
広告営業のサラリーマン時代から一転、鹿児島県の離島に移住して10年。現在はWebフリーランスとして活動中。妻の無類の猫好きが高じて、先住猫と保護猫合わせて7匹を飼っている他、地域のTNR活動にもWeb担当として参画中。
<参考文献>
[1] 厚生労働省,「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」,available at https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188147_00013.html
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